L’ impression

第4期(2012年8月-9月)

いま私はアルゼンチンはブエノスアイレスにいる。
南米には3年前にブラジルに来たことがあったがアルゼンチンは初めてだ。
今回はアルゼンチンからブラジルまで5都市のツアー。

南米への旅の準備は冬服と夏服。
朝4時集合。なので1時間だけ寝た。マルセイユからアムステルダムまで2時間。
アムステルダムからブエノスアイレスまで14時間。
到着するなりバスに乗って4時間でやっとやっとロザリオという街に着いた。
現地時間の深夜1時。フランス時間だと朝の6時。ということは集合から24時間以上経っている。

ロザリオで舞台を終えてここ南米のパリことブエノスアイレスにいる。
ヨーロッパとのつながりが深く建築物も興味深いものが多い。
アルゼンチンについては公用語がスペイン語、サッカー選手のマラドーナと
アルゼンチンタンゴぐらいしか知らず、お隣のブラジルと一緒のような感じだった。
まるで外人からしたら日本と中国と韓国が一緒みたいに。

街を見てみてほかのダンサーズはブエノスアイレスにハイテンションで盛り上がっていたが、
正直私はかなりのショックを受けていた。
貧富の差がとてもとても激しいこと。
野良犬が多い。
街が汚いこと。
空気が排気ガスで充満している。
古いヨーロッパ調の建物が多く残っている中、なんでもありの四角いビルがセンスなく立ち並んでいる。
人々の目が鋭いこと。これは生きることの必死さが伝わってくる。
自分がぬくぬく守られて生きていることが知らされる。
私は何にも知らないんだと知らされる。

正直ブエノスアイレスに関しては悲しい感じが漂っている。
お金の価値についても自分の中のバランスがぐらんぐらんしている。
自分が日ごろ使っている金銭感覚と訳が違う。
どうしても日本とフランスと比べてしまうから。
市民の生活を見てると貧しさが出ている。
歴史的にも混乱の時期が多く、市民は我慢を強いられていたようだ。
国有面積は世界で第8位にもかかわらず、GDPは神奈川県よりもやや小さい経済規模である。
これには驚いた。

食事に行った際に教えてもらったことがあった。
「アルゼンチンで世界で一番おいしいお肉にありつける」
いままで聞いたことがなかった。
連れて行ってもらったレストランにはグリルのお肉がほとんど。
ビフェ・デ・チョリソ(サーロインステーキ)を食べた。とても美味しかった。
日本のお肉に近い。ヨーロッパの肉と違い脂身がある。要は脂の旨みがしっかりあるのだ。

私の中では日本のお肉が世界一だと思うがアルゼンチンのお肉もなかなかのもの。

そしてアルゼンチン産の赤ワインはあまり輸出していないらしくほとんどがこの国で飲まれている。
これもまた美味しかった。
どうしても仕事できているので食事は外食になってしまう。
かれこれ毎日ステーキだときついかも。。
ここ南米では肉食が多いので、飲む野菜といわれている「マテ茶」がよく飲まれている。
日本の緑茶に似ていて私は好きだ。

初めてのoff dayの今夜はパーカッションライブに行った。
工場地跡のような場所がライブ会場で大勢の人々。
圧巻!!
10人以上からなるこのグループは指揮者がメンバーの中で変わる。
指揮者と演者のコネクトがとても面白かった。
即興部分も多いんだろうと思ったが、うまく指揮者の意図が伝わっているときと
そうでないときの差があまりにも激しいのだ。
目で見ても分かる。音ならもっと分かる!
演者と指揮者とつながっている時は会場中も一気にひとつになる。

2時間ほどのライブは熱気につつまれ、リズムが体を動かす。
体は動かされる。あのサンバのリズムは熱い。
本場のリズムだ。揺さぶられる。これがそもそもダンスだよなぁ。

時間が経つにつれて見えてくること。
最初に感じたこととこれから見えてくること。

やっぱり目で見て肌で感じないと教科書だけではわからない。
この街は本当になんでもあり。めちゃくちゃだ。
厳しい状況の中、車もごみも人も犬も必死だ。
今は冬が終わり春の始まり。
木々には緑が生えはじめ、花は綺麗な色で咲いている。
ストレートに飛び込んでくる。
いま私は普段よりももっと感覚が敏感になっている。
だから受けたものから自分の中に吸収するまで時間がかかる。

数年前に一緒にお仕事したカンパニー「パパ・タラフマラ」の小池さんの言葉。

「動くとは身体の波動である。
身体とは「精神」と「肉体」ではないのである。
精神と肉体、そしてその周りにある環境までひっくるめての身体である。
さすれば、身体を使用した作品は、いくら動きが面白くても、
心の中が出てこなければ、僕はまったくダメだろうと思っている。」

この言葉で私の中の何かがパリッと弾けたのでした。

これから数日過ごすブエノスアイレス。
さまざまな角度から
しっかり見てきます!!