白の世界

第14期(2014年4月-5月)

cake_3
まだ少し寒さが残るので
今回は濃厚なガトーショコラを選んでみました。

湿り気を含んで みちみちに詰まった重厚感あるチョコレート生地と
新雪の様にキメ細かく柔らかで、表面に僅かな艶のあるクリームの
黒檀と白の対比。
またそのクリームの、垂れそうで垂れない
ギリギリの緊張感を留めた曲線フォルムに一目惚れです。

まるで彫刻のような佇まい。
近寄って色々な角度から見たいと思わせる盆栽的面白さもあって
ケーキ屋さんで、その中でも一番曲線の美しいのを1つ購入しました。

しばらく眺めて、さて、これをどう描きましょうかと。

まずクリームをクリームらしく描くのが非常に難しい。
卵や豆腐など、白だけで出来ている 表面の凹凸が少ない物体は
その質感を描き分けるのが なかなかハード。

学生時代、初めて日本画の課題として与えられたモチーフは白い百合の花でした。
伝統的に どこの学校でも日本画のはじめの一歩は百合からの様ですが
一つの訓練なのでしょうか。
洋画専攻の人が石膏デッサンから始めるのに近いかもしれません。

影を描かない日本画で 白から入るというのは不思議な感じがしますが
逆に陰影で表現するしかない白の世界を
影を描かずに表現する事に いきなり慣れさせる為なのか。
いずれにしても白を制すれば他のものも大概捉えられる様になるのかもしれません。

そんな事を思いながらの試行錯誤の作です。
ワインでも飲みながら チビチビ味わってほしいです。
数少ない お酒に合うケーキじゃないでしょうか。