ケーキを描いた絵画の中で
初めて「これは面白い!」と感じた作品は
高校の美術教科書に載っていたWayne Thiebaudの”Cakes”でした。
http://voices.washingtonpost.com/blog-post/2010/09/wayne_theibaud_google_cakes_an.html
(The Washington Postより)
1963年の作品ですが、いま見ても新しい。
ケーキはその存在自体がポップなので
どうしても絵画ではなくイラストに転びがちですが
彼(御年94歳!)の作品はしっかりと「絵画」。
強いマチエールで描かれたケーキそのものは勿論、
静かでフラットで明るくて、そして時間帯を感じさせる「影」の存在も
作品を面白くさせている大きな要素だと思います。
私は日本画を描くのですが(http://yuko-kurihara.com)
日本画では一般的に影を描く事はありません。
つまり 光も描きません。
正確に言うと、何か別の技法で光や影を感じさせはするのですが
直接的に描く事はしません。
量感を表すには輪郭線の強弱を用います。
「対象物がある世界」ではなく「対象物そのもの」を描きたいから
自然と余計なものを排除した。
その結果なのかしら、と自分の制作スタイルを重ねてみても思うのですが
Thiebaudの作品を面白いと感じるのは
「ケーキがある世界」ではなく
「ケーキ」という対象物と「影」という対象物、その2つだけを描いた
日本画的な感覚の作品だからかな、と思います。
私には彼がそういう物の見方をしているように見えます。
私のケーキスケッチはまだどっち付かずでイラスト寄りかな。
まだ僅かに残っている桜を愛でながら頂くのも良いかもしれません。
これは見事な和と洋の融合ですよ。
日本オリジナル!抹茶のケーキです。