全然読書家ではない私ですが、本屋に行くと中身は関係なく、装丁の美しい本を思わず手にとってしまいます。とくに布張りの本が好きで、読めない外国語の本でも装丁がおもしろかったりすると、手元に置いておきたい衝動にかられることがあります。
今回は自分が染めた紅茶染めと鬱金染めの布を使って豆本を作りました。豆本ではなく普通サイズでもよかったのですが、最近自分の描いていた絵に合う、手のひらに収まる大きさにしたかったのです。
まず、布に裏打ちをします。裏打ちをしないで布に直接糊を塗ると、布の織目から糊がはみ出してベトベトになってしまいます。
厚紙を芯にして、裏打ちした布でくるみます。これが表紙と裏表紙になります。
豆本と言っても、鬱金本は10センチ角、紅茶本は大きめのマッチ箱くらいのサイズです。豆よりはずいぶん大きいサイズです。
表紙の絵は布に直接油性ペンで描きました。以前、豆本が完成してから何かのペンで表紙を描いたら滲んでしまったので、今回はさすがに一度試して大丈夫なペンを選びました。本当は一番初め、裏打ちする前に表紙を描いておいたほうが失敗してもやり直しがきくのでよいのでしょうね。
紅茶本は表紙と裏表紙の間に、厚紙をジャバラに折ったものを貼り付けました。
上から見るとこうなっています。両面使えるお得なタイプ。裏表を使って始まりも終わりもない、無限にループするような話を描いたらおもしろいかと思いました。
鬱金本の中の頁はジャバラではなく、普通に一ページずつめくっていくタイプです。中の頁の紙はところどころ糸で背表紙に縫い付けてあります。紙を縫う、というのは少し不思議で面白い感触でした。針がすっと通るので縫いやすいけれども、あまり糸を強く引っ張ると紙が破れてしまいそうで、注意も必要です。
鬱金本は背表紙を例によって我流でつけました。ずっと昔に製本の仕方を教わった時、背表紙の部分が一番面倒だったので、手順をしっかり覚えていないという。。。けれど背表紙がきっちりしていないと中の頁がバラバラになってしまうのでとても重要な部分です。
最後に背表紙を糊付けしてクリップではさんで一晩置き、次の日の朝手にとったとき、二次元の紙に描いた自分の絵が、豆本という三次元のものになったんだな、とちょっとした充実感を味わいました。