入居者名・記事名・タグで
検索できます。

2F/当番ノート

週刊ボツ 第3号

当番ノート 第60期

「欲しいような、いらないような…」

ハズレ(いらないもの)をアップデートした作品を、ハズレの上位互換品と命名して制作している私ですが、
その制作過程でいくつものボツ案が生まれています。

「ボツ案とはいえ、形にしたらそれなりに面白いのでは?」
「私がボツにしているだけで、意外とボツじゃなかったりするのでは?」

という考えで始まったのが、この週刊ボツです。

第2回では便箋のボツ案を3つ公開しました。

今回は「USBメモリのボツ案」

週ボツ 第3号の今回は、

「ルームキー型USBメモリ」が完成するまでに思いついていた、USBメモリのボツ案公開

ちなみに説明しておくと、ルームキー型のUSBメモリは
「データが一時的に滞在して、入れ替わる場所=データにとってのホテルみたいだな〜」
というアイデアから制作しました。

我ながら、「欲しいような、いらないような…」

週ボツ、今回もネタ帳に書いてあった走り書きのボツ案を、それなりに見せられる形にしてお届けします。

ボツ!茄子のUSBメモリ

名付けて、ユーナスビー!

ネーミングから思いついたアイデアです。
一富士二鷹三茄子にちなんで、3GBモデルでどうでしょう。

これどうせなら一般的な茄子のサイズで行きたいところですが、「ノートパソコンのUSBポートに挿さるのか…?」とか考えてみると、ちょっと難しそう。(別に使い勝手がどうとかで良し悪しを決めているわけでもないけど)

そんなに悪くはないけど、一発ギャグみたいな感じなので、私の中ではボツです。

ボツ!付け爪のUSBメモリ

付け爪の先がUSBメモリになっている、というアイデア。

山崎ナオコーラさんのエッセイ集「指先からソーダ」が大好きなのですが、そのタイトルからのインスパイアで「指先からデータ…」って口に出してみたら、付け爪のUSBメモリが頭に思い浮かびました(笑)

そして、こちらのアイデアですが…めでたく脱ボツです!(連載中2回目)

「わざわざ指先につけてまで持っておきたいデータってなんだろう?」って考える面白さ。形状も可愛いし、「こんなにスマートじゃない感じで、人間の機能拡張ができるのは愛おしいな〜!」と思ったので。

私なら、上手く撮れなかった写真データを入れておくかも。メインの会話には関係のない、ちょっとしたコンテンツを入れておくみたいな。接続したとき、その人からデータが転送されてるように見える感じも面白いし、生活しているうちにボロボロになって読み込まなくなる感じもいいじゃん!ってね。半透明の本物っぽい爪バージョンもあったらいいな。

ボツ!ダンボール箱風のUSBメモリ

「USBメモリってデータを運ぶ箱だもんね」ということで、ダンボール箱風のUSBメモリ。
宅配便に使われる「壊れやすいですよ」ってステッカーが貼ってあったり。

ん〜ベタだし、あんまり魅力的に感じなかったので、これはやっぱりボツだな〜と思いました。
作るならダンボール風じゃなくて、本当にダンボールで中身を包んでガムテープでフタをする…くらいしないと、手に取った時の満足感はないかも。でも、いくつか無造作に重ねて机の上に置いてみたら、なんか良さそう。 

ボツ!ギターピック型USBメモリ


「データは最悪、飛んでもいいぜ!」ってマインドで使うUSBメモリってどんなものだろう、と考えたときに思いついたギターピック型のUSBメモリ。ある程度、ギターをガンガン弾けるくらいの強度があったら面白いよね。

まあそんな使い方はしないにしても、たとえば音楽データを入れて売るためのメディアとして使えそう。バンドのロゴ入れたり。オリジナルデザインにしてしまえば、コレクションする楽しさもありそうだし、サイズ感もいい。

この場合のボツは、「ハズレの上位互換品」というコンセプトには当てはまらないな〜というボツです。

私は「P←」ってバンドでトラックメイカーをやっているので、バンドのロゴ入れてみましたが、いい感じ!
アルバムとかEPとか、これでリリースしてみたいな。

(いい流れでバンドの宣伝をねじ込むことに成功しました。やったね!)

「はい、ボツ!」とは言うものの

連載用に4つのボツ案を形にしてみましたが、ネタ帳には他に

・将棋の駒USBメモリ → 「将棋を指す」と「USBを挿す」でなんかいけるかな?
・おむすびUSBメモリ → 具材としてのデータ
・巻尺のUSBメモリ → 目盛とメモリ、でどうですか?

みたいなことが書かれていました。

他の人がどう思うかはいったん置いておいて…ボツかどうかを自分の基準で決めることで、何を大事にしているかがより明確になるような気がします。作るものにブレがなくなるというか。

「これはボツだ!」と強めに突き放してみると、もう一人の自分が「そうかな?ボツかな?」って、良さを見つけようとするので、そこからまた違うアイデアが生まれたりもするでしょうしね。

突き放したり歩み寄ったり、ボツとの生活は続く。

いま いませんのボツが読めるのはアパートメントだけ!次回もおたのしみに

いま いません

いま いません

不在です。

Reviewed by
北枕 ふか子

ふかこんばんは、北枕ふか子です。

さて、いまいませんさんの「週刊ボツ」、略して「週ボツ」第3号!

今回は「USB」のボツ案。
わたしはギリギリフロッピーで育ってきた世代です。いや、世代が、というよりは父がフロッピー大好き人間だったので、その流れでわたしもフロッピーを使っていました。高校生のときに、データCDを通り越してUSBに移行。はじめて姉からUSBを見せられたときの衝撃はなかなかでした。こんな小さいのに、本当にデータが入るのかと。使うごとにその衝撃も薄れていき、最近はクラウドばかり使っています。もはやUSBですら使うことが減ってきている今日この頃です。

余談ですが、わたしの通っていた大学では、入学時にUSBメモリが配られます。ここに文章ファイルを入れたり、デザインデータを入れたりして使ってね、とのこと。
4年生になり、卒論提出のガイダンスに行くと「卒業論文は印刷して製本したものと、USBに入れたデータを提出すること」との説明がありました。多くの人は適当に買った安いUSBに入れて提出していたのですが、一人、友人が入学時にもらったUSBで提出していました。「入学時にもらったものを、卒業時に返すって、かっこよすぎない!?!?」とやたら感動し、大騒ぎするわたし。「USBってただのデータを入れて持ち運ぶだけのものなのに、こんな物語性が生まれることあるんだ?」と言うと、友人は「いや、これしかなかったから使っただけなんだけどね……」と気まずそうにしており、その雰囲気も最高でした。

さて、余談がかなり長くなってしまいましたが、ボツ案の話をしましょう。
ユーナスビー、段ボール箱風、ギターピック型など、今回も可愛くてユニークな作品が出てきましたが、全部可愛い。「ぜんぜん、ボツじゃなくていいよ!」と抱きしめたくなる気持ちになります。
この連載でいくつものボツを見ていると「どうしてこれがボツなのだろう」と不思議に思います。わたしなら全部「行ける!!!」と思ってしまう。しかし、今回、いまいませんさんのこの言葉を読んで、ハッと気づかされました。

「ボツかどうかを自分の基準で決めることで、何を大事にしているかがより明確になるような気がします。作るものにブレがなくなるというか。」

良い言葉だ……。

自分が大事にしていることや自分の基準というのはとても大事。わたしなんかは「面白そう!これやろう!」「これ飽きた!」とコロコロ変えてしまうことがあるのですが、そういうのって信用をなくしたり、何をやっているのかわからなくて不信感を持たれがち。「この人はこういうことがしたいのだな」という指針が一つがあると強い信頼に代わります。わたしもきっと信念を持ってフリーペーパーを作ればたぶんもうちょっと信用を持たれるけど、コロコロ形態を変えるから全然ダメ。反省。

最後にもう一つ余談ですが。
「ギターピック型USB」を見て、元カレからもらった「ギターピックのネックレス」を思い出しました。自作だそうで、自分で穴を開けて、糸を通して作ったとのこと。自分が愛用しているギターピックをわたしのネックレスにすることでお揃いとか云々……。もしあれにUSBついてたらめっちゃ怖いけど、ロケットペンダントの現代版みたいになりそう〜と思いました。あんまり欲しくないですが……。

自分の指針は自分にのみあるもの。来週の週ボツもお楽しみに☆

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る