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当番ノート 第12期
私にとって大切な一冊となった絵本「ずーっと ずっと だいすきだよ」 父が亡くなった時、傷心しきっていた私宛への 友人からのおくりもの。 ぼくと一緒に成長してきた かけがえのない家族である愛犬エルフィーが亡くなる。 好きだという想いを言葉にして伝えていなかったことに気づき 悔やむ家族たち。 その中で ぼくだけは、毎晩おやすみの前に大好きだという想いをエルフィーに 伝えていたからか悲しみも癒され な…
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当番ノート 第12期
…ン 思えばこれまで、それなりの数は恋をしてきた。 結ばれた恋も、結ばれなかった恋も、 千切れた恋も、自ら解いた恋も、 …ポーン こうして並べて見てみると、どの恋もそれぞれ刃を隠し持ち、 輝いていた頃の思い出を抱きとめながら、皆同様に鈍色に光って見える。 …ピンポーン 全て輝いて見えたということを裏返せば、 どれも突出して光っていないとも言える。 差異が無いこと。 全部同じに見えること。…
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当番ノート 第12期
※女性蔑視ととられかねない発言があることを自覚しておりますので、先にお詫び申し上げます。 先日、俺は20対20の合コンに行った。 まずは居酒屋和民。 俺たちの向かいに座る女共を見渡す。 左からべっぴんさん、べっぴんさん、ブス、ブス、ブス、ブス、ブス、ブス、ブス、オカマ、ブス、石原さとみ、ブス…… ……石原さとみ!!!! そう、なんとブスだらけの合コンに石原さとみが来ていたのだ。 しかも、俺の真正面…
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当番ノート 第12期
僕たちは生まれたときから、そこにあるものが当然のように、 何の疑問も感じずに過ごしています。だって、それが当たり前だから。 でも、それって本当に当たり前のことなんだろうか? そういうことを日々思い、考え、疑問に思うわけです。 僕は自分を含めて客観的にモノを見ているようです。 それは良いのか悪いのかはわかりません。 社会という大きな枠組みもあれば、周りのコミュニティーという小さな枠組みまで。 そうい…
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当番ノート 第12期
電車に乗る生活が日常です。 とくに、満員のぎゅうぎゅうの電車、というわけではありません。 ところで、ぎゅうぎゅう、ということばはいいなあと思うのが、 犇めくという漢字が、ぎゅうが3つも使われていて、そのようすとそっくりだから、 いいなあと思います。 そんな風に、どこに行くにも電車に乗るのが常で、 毎日電車でどこかに行ってます。 電車なんてものがなくて、みんなが一様に歩くのが常であれば、 きっと電車…
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当番ノート 第12期
仕上げはお土産 できてしまった絵は、 発表します。 一枚の紙の中に、 今まで過ごした時間全部が詰まっています。 人生全部が詰まっています。 それはもう、なかなかすごいことなんだと思います。 いろいろあった中のほんの一部分が、 紙の上にでてきています。 旅のあとの、お土産話のようなものだね。 ……………. 最終回です。 最終的に文字がなくな…
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当番ノート 第12期
彼女に出会ったのは今から5年程前。 初めて会ったその日から彼女の放つ何かに引きつけられ写真を撮り始めた。 目の奥に潜む脆さや闇のようなもの、屈託のない笑顔、芯の強さ 会うたびに 距離が近づいていくたびに 魅せる表情が変化していくのを感じていた。 はじめてだからこそ撮れる 緊張感のある写真 お互いに歩み寄りを重ねたからこそ撮れる写真 年月の流れの中で距離感と表情は変化し続ける それを残していくには続…
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当番ノート 第12期
世界は毎分のように傷付いたフリをして、まやかしのような希望を抱きながら流転する。 光指す方向へと走るように生きてはいけない僕達も、 せめて誰かが落としていった光を辿るように生きることは出来る。 「あなたは、死んだのに」 みみこちゃんのその一言のお陰で、僕は大事なことを忘れていたことに気が付いた。 たった一日、物を見たり聞いたり考えたりするだけで 自分が死んでいたことを忘れるなんて、思ってもみなかっ…
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当番ノート 第12期
俺はギャンブルの類は一切やらないのだが、競馬が好きだ。 スポーツとして観戦している。 というかスポーツ全般だいたい好きで、ぶっちゃけると競馬と野球と相撲に関しては、ロック音楽よりもよっぽど詳しいと思う。 だいたい家に帰るとロック音楽をほぼ聴かない。 ずっとライブハウスにいるので、もうそれでお腹一杯になるのだ。 レッドツェッペリンとローリングストーンズをちゃんと聴いたことが無い。 そういうわけで今日…
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当番ノート 第12期
自分の育った街がどんどん変わって行く。 幼い頃からそこに存在したスイミングスクールが解体され、 パン屋は無くなりテナント募集の看板が貼られていた。 変化は悲しい面もあるが嬉しい面もある。 今までのものが無くなる寂しさもあるけれど、 新しいものが生み出されることに対してはやっぱり期待してしまう。 この事は街だけでなく、人にも当てはまる。 安定することでチャレンジをしなくなることが多い。 歳を重ねれば…
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当番ノート 第12期
玄関を開けると、女性の手が目の前の塀から出ています。 わ、 と思って思い返してみたら、 前の日の晩に、真っ暗なアパートの廊下に黒い染みがふたつついてて、 なんだろうなあと思って触れたら柔らかくて、それをじぶんで塀の上に置いたのでした。 ああ思い出したと安心してその女性の手をそのままにして、 ぼくは近ごろ出かけたりしているのですが、 そんな安心した朝はもう一週間ほど前のことで、 いまだに玄関を開ける…
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当番ノート 第12期
色。いろ。 それはどうやら 組み合わせ ということです。 白い画用紙 に 赤い色鉛筆 クリーム色の紙 に こげ茶色のインク オレンジのような赤 と ほとんど黄色の黄緑 という具合です。 色は色ひとつではなりたたなくて、 必ず隣の色が とても重要なのです。
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当番ノート 第12期
人間の心や行動のほとんどが無意識で占められているという 抑圧された潜在意識とは 表層意識下の深層意識とは 何処まで深い深いものなのか
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当番ノート 第12期
すっかり陽の落ちた室内にて、ランプを灯しては街を沈め、 窓ガラスに映り込む部屋を隠すように、ねこたくんはカーテンを閉めました。 その拍子に、カーテンの外側に付けられていた鳥を模したオーナメントは まるで鳴いているかのように身体を揺らします。 バン バン と、お腹の深くに響く音をあげ、ゆっくりと扉が開きます。 「こんにちは…いえ、もうこんばんはですね。 どうぞ、こちらへ来てお名前を」 最後の訪問者…
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当番ノート 第12期
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当番ノート 第12期
八年前、俺はギャンブル、それも他人に言えないくらいリスクのでかいギャンブルが原因で、 1200万の借金を背負っていた。 まずどうしてもタバコが吸いたくなるのだが、それを買う金も無く、 というかまず飯を食うための金が無い。 しかしタバコが吸いたい。 不思議なことに、貧乏になればなるほど、 飯の心配よりタバコの心配のほうが大きくなるのだ。 これがクズ人間という奴だ。 仕方が無い。 俺は人間社会から、ク…
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当番ノート 第12期
人々はそれぞれの想いで同じ社会の中にいる。 駅のホームにいる人は何を目的にどこへ行くのか。 同じ交差点を渡っている人は渡ったあとどうするのか。 道ばたで待っている人は何を待っているのか。 カフェにいる人は休憩をしているのか、おしゃべりを楽しんでいるのか、仕事を片付けているのか。 なんてことを日々想いながら、自分も社会にいて他人とは違う人生を歩んでいる。 同じ社会にいるのに、関わる人はほんの一握りで…
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当番ノート 第12期
ことばがあるから、誤解されるのでしょうか。 それとも、ことばがあるから、理解できるのでしょうか。 ことばがなかったときのことを考えてみるのですけれど、 赤ん坊のころ、ことばがじぶんの中にはなかったのです、きっと。 それで、まわりにたくさん浮かんでいたり落ちていたりしたことばを拾ってみて、 それで、意味はわからなくたって、言ってみたんです。 何度も何度も言ってみたんです。 わからないのに、わからなく…
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当番ノート 第12期
感情に流される日 真ん中から始まります。 もう消えたい 消えたいから悲しい 消えたいから怒れる だめだってわかってるのに 全然コントロールできなくておちこむ 気を取り直して 絵でも描こう 気持ちをひきずって そのまま描こう いろ いろ? 赤だね 赤 って気分だよ はげしいんだよ いろんな赤があるね すごいね いやー本当にすごいね いつの間にかもう大丈夫です どうもありがとう
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当番ノート 第12期
鏡よ鏡よ鏡さん・・・ 美容院が苦手であります。 できることなら避けたいくらいの場所なのだけど、時にヘアースタイルも変えたくなるし 伸びてきたらカットもしたい。 髪型ひとつで印象はガラリと変わるもの、私もまだまだおしゃれを楽しみたい。 だって、女ですもの。 だというのに、どうにもこうにもいかなくなった時の最終手段的な存在とは いかがなものなのか。 それこそ女としてどうなのさ。 若かりし頃、そんなこと…
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当番ノート 第12期
トン と小さく高い音が、ただ一度だけ飛び込んでくるのが聞こえました。 過去の恋人たちとの再会を繰り返すことで、 彼が必ずいつかは現れることは分かり切っていたのですが それでも顔を見た瞬間に「ひっ」と一瞬息を止めてしまうことをみみこちゃんは避けられませんでした。 「コウくん…久しぶり」 彼の薄平べったい身体と共に、扉の隙間からは宵闇が忍び込んでくるのが見えました。 もうすぐ夜が来ます。一日が終わるの…
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当番ノート 第12期
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当番ノート 第12期
タバコがやめられるかもしれない話 みんな、明けましておめでとう。 正月は用があって東京に行った。 かつて俺も東京に住んでいたことがある。 住み始めてすぐ、夢破れて光の速さで静岡に逃げ帰ったのだが、それから東京に殆ど縁が無い。 電車を乗り継いで某区に辿り着く。 某区のとあるバス停でバスを待っている間、俺は標識の路線図をぼんやり眺めていた。 あ、そうだ。 話が急にそれて申し訳ないが、そんときムカついた…
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当番ノート 第12期
あけましておめでとうございます。 本年もどうぞ宜しくお願い致します。 Facebookで”今年は「変化の年」となりそうな気がしています。”と書いた。 根拠は無いが、何故かそういう気がしたのだ。 その後に初詣でおみくじをひいた。 自分がこうなっていくだろうなと思い描いていた内容がそこには記されていた。 神様にも後押しされているんだと素直にそう思った。 どうなるかはわからないけ…
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当番ノート 第12期
古い年と新しい年の渚である年の瀬に、地元に戻ってきました。 ぼくの地元は二つあります。 一つは18まで育った場所、姫路。 それと、18から22まで過ごした場所、京都。 そんな京都は偶然、ほんとの地元になりました。 お父ちゃんがおうちを建てたからです。 帰省するとなると、ほんとに京都に来ることになりました。 なので、年の瀬にはその二つの地元に戻ります。今回もそうでした。 今回の文章はとても日記です。…
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当番ノート 第12期
たまに 強くて、 カラフルで ドキドキしてしまうような夢を見ることがあります。 夢の話をするのが好きです。 人の夢の話を聞くのも好きです。 夢と現実で、この世は作られているのだなと思います。
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当番ノート 第12期
BRONICAという真四角の写真が撮れるフィルムカメラで 父は 母と幼き頃の私を写していた。 古いアルバムには このカメラで写されたモノクロ写真が何枚も貼られている。 しばらくして父はこのカメラを写真好きの叔父へ譲り 何十年という時を経た。 七年前、父が亡くなった。 一周忌の時だったろうか、たまたまその叔父にフィルム写真を撮っていることを話すと 何十年も使っていないので写るかはわからないけれど、父…
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当番ノート 第12期
窓から差し込む光に紅が混じっていることに気が付いたのは、 二人の着席している机に、それが反射していたからです。 静かに次のノックの音を待っていたみみこちゃんは プイと顔を背けたままのねこたくんの横顔について、 気が付いたことがあるのですが、声に出そうかと躊躇っている内に扉が大きく鳴きました。 ドンドン 「よ」 軽く片手を上げて挨拶をする彼の姿は絡み合った糸を瞬時に解すように朗らかで、 みみこちゃん…
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当番ノート 第12期
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当番ノート 第12期
禁煙して15日目、禁断症状は無くなって来たものの、まだまだ油断は禁物である。 酒を呑むと、途端に禁を犯して喫煙するのは目に見えており、 並行して禁酒に励んでいる。 天気の良い休日であったので、たまには散歩に出ようと俺は考えた。 とりあえず両替町通りを北に進むと玄南通りにぶつかる。 玄南通りを右に曲がってすぐの右手にあらわれたのがラーメン屋N川である。 ツアーミュージシャンにオススメのラーメン屋を聞…
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当番ノート 第12期
今朝まで瀬戸内海に浮かぶある小さな島にいた。 たくさんの星空、海に沈む濃厚な夕陽、美味しいご飯。 そして、一番強く感じられたのは「ひと」と「ひと」との繋がりであった。 地元では出来ないようなことをたくさん経験した。 一気にこの島が大好きになった。 しかし、島には若いひとがあまりいない。 いま数少ない若いひとで島を何とかしようと奮闘している。 これまでの人生経験で知り得なかったことを見聞き、この縁を…
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当番ノート 第12期
声でこころが震えることがあります。 誰にでも好きな音楽があると思います。 ぼくも音楽が好きです。いろんな音楽が好きです。 うたはことばになっていて、ことばは意味を持っていて、 それがとてもいい塩梅に旋律に絡んでいくことで、 こころがぐっとせかいと同化させられるようなくらい、 すばらしいものになることもしばしばあります。 そのなかで、声、だけで、すべてを語り尽くしてしまったような、 そんな音楽に出会…
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当番ノート 第12期
自分と紙と道具 基本の三角関係 目の前にある紙と話します。 道具たちが、紙とどのように話しているのか、聞きます。 ちゃんと声を聞くことが大事なのです。忘れてはいけません。 どうしたいですかー どうなりたいですかー 三角のスタートはいつも自分から。 紙から始まることも、道具から始まることもない。
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当番ノート 第12期
「存在を証明するための揺るぎない証拠たち」 2013年5月 個展「標本」で作成した写真集「標本」より 断片的にいくつかの写真を。 夏休みの標本作り、それがとても好きだった。 特別に珍しいわけでもなく どこにでもいそうなそれらを幾度と無く並べ替え ひとつの箱の中に閉じこめる。 子供の頃夢中でしていたその行為は 写真を撮ることととてもよく似ている気がした。
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当番ノート 第12期
トン トン 音は扉にじんわりと吸い込まれ、差し込んだ微かな日差しと共に覗いたのは、 しっとりとしたノック音によく似合う落ち着いた男性でした。 「場所はこちらで合っていたかな」 はい、大丈夫ですとねこたくんがエスコートする傍らでみみこちゃんは どうして自分がこの人のことを好きだったのかを、即座に思い出しました。 音を立てずに扉を締める腕の振る舞い、椅子へどっしりと腰掛ける体勢、 彼の所作全てが、十九…
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当番ノート 第12期
<本能寺の変 前夜> ※『ぶっ殺すぞコラ』等の過激な表現を含んでおりますので、R-15です。 静岡駅西口徒歩20分のところに、本能寺というライブハウスがあり、 目下そのハコがうちのライバル店である(フィクションです)。 ライバルというか敵である。 本能寺という名前がまず気に入らない。まったくの非県民だと思うし、京都の方々に申し訳ないではないか。 店長の村上ハルヲには、テメーんとこで襲われて自害して…
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当番ノート 第12期
久しぶりにプリントをした。 慎重にネガをセットし、裏返した印画紙にピントを合わせる。 レンズの絞りを2、3段落として準備完了。 六切の印画紙を縦に裂き、MとYをいつもの設定に。 何枚かプリントして露光時間とM、Yの数値を決める。 そして、本番プリントをする。 印画紙に浮かぶ像はそれはそれは美しい。
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当番ノート 第12期
突然ですけれど、 ラブレターというものはほんとに存在するのですか? もしかして、「そういうものがあるらしい」 という妖怪の類いではないでしょうか。 というのも、ぼくはラブレターを書いた記憶がないんです。 そして、悲しいかな、もらった記憶もないんです。 すみません、あげたのに!ってひとがいれば、謝ります、 ぼくは鈍感なので、すみません。 敏感に誤解してよく独りで落ち込んだりはしてます。 先日、あるひ…
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当番ノート 第12期
良いクリスマスが来ますように。
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当番ノート 第12期
クリスマスまであとわずか。 サンタさんに何をもらおうかと夢を膨らませ あれこれと悩む息子に、 「サンタさんが迷わないように早く欲しいものを決めて お手紙を書くといいと思うよ」 とアドバイス。 この時期 ものによっては品切れがあり あちらこちらと探し回ることを想定しての 日にち稼ぎだったりするのが親の本音なのだけど。 「友達はサンタなんていないよっていうのだけど 本当?」 「ママはいると思うなぁ。だ…
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当番ノート 第12期
ガン、ガン と 勢いのある音がドアの中に滑り込みました。 ひょっこり覗いた顔を見るなり 「わあああああああ」 とみみこちゃんは大きな声をあげ、 髪を爽やかに刈り上げた男の人も同じように嬉しそうに叫びました。 「久しぶり!」 「二人の交際は中学生時代、みみこちゃんが当時呼んでいた貴方のあだ名は”かっちゃん”で間違いないでしょうか。」 二人の熱気を無視するように、いつも通りねこ…
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当番ノート 第12期
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当番ノート 第12期
タバコがやめられないかもしれない話 夜中猛烈に喉が渇いたのだが、 冷蔵庫に醤油しか無かったので、俺を殺す気かと憤りながらミネラルウォーターを買いに近所のコンビニに出かけることになってしまった。 だいたい俺は東京人でもないのにミネラルウォーターを飲む輩が大嫌いで、 静岡には富士山の美味しい湧き水があるんだから水道水飲めやコラと思っているのだが、 彼女と同棲を開始してから向こうサイドの習慣に毒され、水…
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当番ノート 第12期
僕は「がんばって」という言葉があまり好きではない。 本当にその人のことを思っているのだろうかと懐疑的な考えになってしまうからだ。 そもそも「がんばって」という必要があるひとは既にがんばっている場合が多い。 それなのにその言葉をかけるのは適切ではないと思ってしまう。 だから、「出来ることを精一杯やれば良い」という言葉をかけるようにしている。 そうすれば、言われたほうも気張らずに最善を尽くすことが出来…
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当番ノート 第12期
近ごろ絵が描けない日が続いているのです。 とくにそれが仕事だとかそういう身分ではないので、 絵が描けなくても、とたんにご飯が食べれないとかじゃないのですけれど、 それでも絵が描くのが好きなので、そういうときは辛いです。 ぼくの好きな映画で魔女の宅急便というものがあります。 そこに出てくる絵描きの女の子が、絵が描けないとき、 「描くのをやめる。散歩したり、景色を見たり、昼寝したり、、何もしない」 と…
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当番ノート 第12期
自分の中に入っていくのが好きなんだとおもいます。 なので扉がひつようです。 中の世界も、外の世界も、どちらも同じくらい大事。
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当番ノート 第12期
夢から覚めて 朝がはじまる 眠りについて また夢を見る 曖昧ではあるけれど 確実にそこにあった時系列を纏めた写真集「紐解く」を2012年に作成しました。 その中から断片的にいくつかの写真を。 点と点 そのあいだを埋めていく 確かでいて不確かな 曖昧な時系列 ここにあるもの その先に見える光 それぞれの一日がある
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当番ノート 第12期
コンコン ぴとぴとと、アパートメントの外縁をなぞり垂れる雨音を遮るように 少し強めのノック音が入り込みました。 「こんにちは」 見るからに優しそうな男の人が扉から顔を覗かせると、 みみこちゃんが「げっ」とでも言いたげな顔をしたので ねこたくんはほんの少しだけ不思議に思いましたが、 「かずとさんですね。さあこちらへどうぞ。」 といつも通りの顔をして、客人を室内へ招き入れました。 「やあ、元気だった?…
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当番ノート 第12期
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当番ノート 第12期
アドバルーンというバンドで、インドネシアまでライブをしに行くっていうので、 その日は朝5時に起きる羽目になった。 まったく良い迷惑だ。 前日の仕事が遅かったせいで、二時間しか寝ていない。 酷い低血圧なので、寝起きがとにかく悪い。 三十分で仕度するために、無理矢理身体を起こし、冷蔵庫のミネラルウォーターをガブ飲みする。 俺は東京人でも無いのにミネラルウォーターを飲む様な輩が大嫌いなのだが、 彼女と同…
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当番ノート 第12期
皆さんの故郷はどこですか? この質問でどういう答えが返ってくるのか、とても興味があります。 僕にとっての故郷はずっと住んでいる名古屋ですが、第2の故郷は大阪です。 母親が大阪出身ということで、高校に入るまでは長期連休のたびに大阪へ行っていました。 春休み、GW、夏休み、冬休みと合計すると1年のうちの2ヶ月以上も滞在していたことになります。 大阪という土地が無性に好きでした。 土地柄、おっちゃんらの…
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当番ノート 第12期
ある日、カレーを作ろうと思ったのです。 大阪に住んでいたとき、好きなカレー屋さんがあって、 おいしいなあ、といつも食べてたのです。 そこのカレーは20種類のスパイスを使ってました。 その日もそのお店で、 おいしいなあ、と思いながら食べてたのですが、 ふとお店のキッチンに目をやると、 たくさんのスパイスが瓶に詰まっていて、 いろんなかたちの種だったり、色とりどりの粉になっていたり、 はて、あれが、こ…
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当番ノート 第12期
みなさんこんにちは はじめまして loudly,clearly ’おおきな声で、はっきりと’ 最近の目標です。 不自由な分、言葉がまっすぐにでてくるので、 かたことの英語で書かせてもらいました。 ・・・・・・・・・・・ わたしの使命は絵を描くことです。 すごく好きだからね。 よくがんばれます。 みなさんの毎週土曜のお楽しみになりますように ∞ sae
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当番ノート 第12期
愛猫むぎお 愛称むーさん 彼は空き地に舞い降りた天使なのかもしれない むぎおは日々のんびりと暮らしている。 私の起床と共に目を覚まし ごはん頂戴と 朝のご挨拶。 ニャー。 お腹いっぱいになると家中を軽く偵察し、毛づくろいをし、 目の前を行き来している私にちょっかいを出したりしている。 一通りのことを終えると 仰向けにの格好になり またゴロゴロ。 寝転んでばかりいるむぎおだが ご主人様のお見送りは日…
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当番ノート 第12期
コツン、コツンと 弱気なノックの音がはじめに部屋の中に入ってきました。 「どうぞ」 小さな体にはややアンバランスなサイズの蝶ネクタイをつけた、ねこたくんがそう呼びかけます。 「どうぞ、こちらにおかけになってください。そしてお名前を。」 部屋の外はこの時期には珍しい、しっとりした雨が落ちていました。 ここは小さなアパートメント。 床も柱も木でむき出していて、大きな風が吹いた日にはすぐに飛ばされていき…
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当番ノート 第12期
というわけで「うさぎのまんが」始めました。 MARUUは普段、おもにイラストの仕事をしています。 このたびは「アパートメント」になるべくない感じの 異様にかる〜いスーダラな物が作れたらいいな〜と思い そうだ、ではエッセイ漫画などどうだろうか?と思いついたのです。 まず手始めに、 ものすごーく身近な ものすごーくゆるいものを描こう、とだけ決めて描き始めました。 そうしたら楽しくてしょうがなくなってし…
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当番ノート 第12期
<タバコがやめられるかもしれない話> 午前11時30分に足が攣って、激痛のうちに目覚める。 三十秒くらいうめき声をあげていると、痛みは次第に和らいでゆく。 しかし勢いよく足を動かすと、また攣りそうなので、ゆっくりゆっくり足を元の位置に戻す。 心拍数があがった状態で、とりあえず枕元のiphoneを手に取る。 LINEが8件、メールが三件、着信が1件入っている。 舌打ちをしながらそれを放っておき、性欲…
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当番ノート 第12期
今年の夏にアパートメントの住人にならないかと打診を受けた。 実はアパートメントが始まった頃にも1度あったのだが、断ってしまった。 僕はあまり文章を書くのが得意ではない。 だから、不安になってしまったのである。 そういう経緯もあり、またお話を頂けたのは不思議なことであった。 続けて、彼はこう言った。 「ふみちゃんが何を書くのかをみてみたいのです。」 そうか。興味を持ってくれる人がいるのか。 2回もお…
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当番ノート 第12期
18歳で生まれたおうちを出てから、 すでに10年以上経っていて、 そのあいだに、そのおうちがなくなりました。 そのおうちもなくなったし、じぶんの有様も、 そこに住んでたころとは幾分変わっています。 いろいろな町、いろいろな部屋に住んで、 今回はこのアパートメントに引っ越してきました。 面白いことに、これまで住んだ町や、住んだ部屋と違って、 いろいろな声が聞こえてくるようです。 もしかしたら、目が合…