-
当番ノート 第14期
二ヶ月間ってあっという間。 最後の投稿なので、モノプリントを始めた最初に描いていたラインドローイングを描いた。 モノプリントの、薄くて繊細な線とアクシデントで出来てしまう点々が、私が描く線に感情を足してくれているような気がして、地味だけどこの手法が好きです。 これからもブログは毎日アップしていく予定なので、ぜひみてください。 二ヶ月間ありがとうございました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
-
当番ノート 第14期
出かけ先で猫たちに出会うとついシャッターを押してしまう。 その場に住みつく猫と、風景とがマッチしていて、どこか物語を感じる。 この猫はいったいどこで生まれて、どこからきたんだろうとか、 猫の世界では人間関係のごとく猫関係などあるのだろうか、とか。 猫って一匹狼のイメージはあるけれど、よく何匹かでたむろっているところを見かける。 昔から、猫会議だ、とか聞くけれど、見た感じわりと、京都の賀茂川のカップ…
-
当番ノート 第14期
何日か振りの休日。しばらく仕事が立て込んでいて、のんびりとした時間を過ごせていなかった。近所で遊んでいる子供達の声が、この薄暗い寝室まで届いているけれど、僕はときおりまどろみながら、ここ1年くらいに起こったことを反芻する。 夢とも覚醒とも言えない半透明な時間が、ゆっくりと意識を浮き沈みさせる。 恋人の実家を訪ねてから数ヶ月後。首都圏から少し離れた山間の街に仕事が決まり、生活の拠点をそちらに移すこと…
-
当番ノート 第14期
またはじまる 平吹 正名 あてどなく自転車を走らせていた 知らない道 何もはじまってない一日のはじまり 雑木林とも名づけられない恐怖 瞬間的に淫靡な空間も乾いた笑い声 戸惑う間もなく 歩くことに真剣な老人 雪の日に出会った 頼りないきみの姿を重ねる 予感の背中 透明な会話 笑っちゃう雪道 差し出し忘れた手 二つに分かれる道 振り返りそうな足音 シンクロする わたしたちの音の…
-
当番ノート 第14期
早いもので最終回となってしまいました、このケーキシリーズ。 これまでお付き合いいただき、本当に有難うございました。 少しでも束の間の息抜きになったならば嬉しいです。 今回は最後、ということで奮発して フルーツ盛りだくさんのタルト・オ・フリュイ。 しかも最後だからね、とちゃっかりホールを購。 小さい頃からフルーツが沢山乗ったケーキには憧れがありました。 カットのケーキを数種類頂いたときは 私はどれで…
-
当番ノート 第14期
このアパートメントの連載を開始してもうすぐ2ヶ月になる。 お話を頂いた時はとても長い期間に感じたが、振り返ってみるととても短く感じる。 一瞬という表現をしてもいいくらいだ。 飛躍した話をしてみよう。 私は33年生きているが、振り返ってみるとやはりこれまでの生も一瞬だったように思う。 いや、いろいろ思い出すと一瞬ではないことは理解できる。 小学校の時の放課後の時間は永遠にあるかのように長かったし、 …
-
当番ノート 第14期
1989年7月31日 最高気温29℃ 最低気温23℃ 快晴 その日はとても気温が高く、蒸し暑い日であった。空調の効いた部屋で、レモンの輪切りを入れた薄荷水を飲みながら考えることは南極での極寒の日々のことばかりだった。年間を通して気温がプラスになることはおろか、零下30度を上回ることのない天然の冷凍室。無菌室。フランスでの生活にも慣れて来たところだったが、毎日夜眠りにつく頃には頭上に南極への憧れが…
-
当番ノート 第14期
最近断捨離する人が多いけど、私はコレクタータイプなのでそんな事絶対できない。 物が捨てられないというわけではなくて、すごく好きなものしか持たないようにしているので物を整理するときは捨てられないものばかりという感じ。 でも小さい頃から引っ越しの際は物を最小限に減らさなければならなかったし、やっぱりボロボロになってしまった物とか全く着ない服を持ち続けても仕方ないから結局捨てなきゃいけない時はある。 最…
-
当番ノート 第14期
少年の友達は一羽のフクロウ。 少年は、フクロウの瞬きを忘れたようなまん丸の目と、微動だにしない姿が好き。 二年前の冬のある日、二人は街の小さな動物園で出会った。 フクロウは、足首をぐるぐるの紐に巻かれて、小屋の隅にたたずんでいた。 そんなフクロウをみた少年はなんだかかわいそうで、黙ってフクロウをさらってきてしまった。 それ以来二人はいつも一緒にいる。 白い雪の街で二人はまるで双子…
-
当番ノート 第14期
カーテンの隙間から差し込んだ光が、所々色褪せた青緑色の絨毯に反射していた。その光は朝日と呼ぶには少し明るすぎていて、時間は午前の半分を少し過ぎてしまっているようだった。高速道路の集中工事というハプニングに巻き込まれ、予定よりもだいぶ遅く(日付が変わる前頃)にホテルに到着した僕らは、軽く温泉に入って冷えた体を温めた。そのホテルはよくあるビジネスホテルチェーンではあったけれども、大浴場には天然温泉が入…
-
当番ノート 第14期
賞賛と思考停止と溢れそうなコップの水 勢いと妥協と苛立ちと諦めと全力で喧嘩してもその水は掬う えぐれた頬骨饒舌の疲労がそこに溜まるのだとしたら色気と呼んでみよう ものまねのものまねの反復練習で自分を再確認 欠けまくった歯に沢山の欲望を溜め込み舌で開閉バランス あったのか、新しい朝なんて、 引きちぎられた性愛のまとわりついた毛布猫も食べない アレルギーでも見えないものでも精神でもない、そこに…
-
当番ノート 第14期
パンケーキブームの次はコレだ、 としばらく前から言われ続け じわじわ浸透しつつあるのがカップケーキ。 これこそデザインが大事。 味より見た目の方が重要視されてる気も。 他のケーキなら躊躇してしまうような鮮やかな色、 スプリンクルなどのトッピングも カップケーキだったら不思議と受け入れられています。 むしろカラフルでデコラティブで可愛らしいものほどサマになる。 ペーパーカップで遊べるのも特徴です。 …
-
当番ノート 第14期
冒頭の宣伝で恐縮だがいま展示をしている。 「ボンマルシェ(Le Bon Marché)」というパリで一番古いデパートの二つの建物を繋ぐ橋のスペースにグループで展示させて頂いてる。デーマはパリの左岸。パリはその街の中心をセーヌ川が東から西に流れ、川を下る方向から下流を見た際に観た右側(北)を右岸と呼び、左側(南)を左岸と呼んでいる。ルーブル宮殿やオペラ座、凱旋門といった国家的な建築物を始め、プランタ…
-
当番ノート 第14期
1989年7月31日 最高気温27℃ 最低気温21℃ 小雨 その日、行きつけの自然史博物館へ立ち寄った後、アイスクリームスタンドで買ったよく分からない味の青いアイスを片手に彼の居る動物園の園長室へ行くと、入り口近くの掲示板にこんな貼り紙があった。 “風邪が流行っています” 大きく書かれたその文字の下にはマスクをしたクマの絵が描かれ、「職員は全員マスク着用の事」とあった。その貼り紙のすぐ近くの白…
-
当番ノート 第14期
Something unexplainable. 説明できないもの。 —————————————
-
当番ノート 第14期
友人にプレゼントした絵日記。 昔から、らくがきが好きで、よく電話しながら、授業中など何かしら描いていた気がする。 落書きの方が、本番で描くよりいい感じになるし、発想が豊か。 もともとは、日記を書きながら、こういった絵を添えていた。 それを見た友人が、このらくがき絵をほめてくれたのがきっかけで、プレゼントすることにした。 日記といえば、十代の頃から一応続けている。 日記を始めた理由は、自分の忘れっぽ…
-
当番ノート 第14期
「あと5分。。。」 その日は仕事を時間通りに終える事ばかり考えていた。というのも、僕は定時の10分後に発車する電車に乗らなければならなかったからだ。週末の夕方はまだまだ人が多くて、お店のあるショッピングセンターは、たくさんのお客さんで賑わっていた。働いている場所は特別田舎ではなかったけれど、利用者のわりに電車の本数が少なく、タイミングを計って駅に向かわないと、次の電車まで30分待つ事も珍しくなか…
-
当番ノート 第14期
俺には身分を証明するものがない、いまさっきまで、二日ほど。 何て心もとなくて何て心晴れやかだったろう。 切っ先に立ってへらへらしたって胸ぐらは絶対放さない。 よく分からないがそんな感覚、夜の玉川上水のせいですね。 あ、財布、 ルイヴィトンなんですよね?、な、財布がぺしゃんこだったから、たぶん。 戻ってきましたがね、美しいカードのまとまりと。 お金に同じものなんかないのでそれだけは使えない使えないと…
-
当番ノート 第14期
ケーキというものは 美味しくある事が まず大前提。 さらにそこに「カワイイ」がついて 完成する気がします。 ただ、カワイイの基準は人それぞれ。 色の綺麗なもの フルーツが盛られたもの 細工が施されたもの カワイイデザインは溢れていますが 私がケーキの中で最もカワイイと思うのがこれ、モンブラン。 元々ヨーロッパでは モンブランの山に見立てて山型に作っていたものを 日本で作られるようになってから 麺状…
-
当番ノート 第14期
パリに住んでいて、愛用しているものがある。「ナビゴ」という定期券だ。日本の定期券と違うのは、厳密に区間を決めているのではなく買った範囲のゾーンはメトロ(地下鉄)でもバスでもRER(近距離鉄道)でも乗り放題ということだ。 私はあても無くどこかに向かうことが好きなのでとても愛用している。パリ市内はどこまでも大丈夫なゾーンを買っている。なので通りかかったバスに乗り、気ままに降り、また違うバスに乗ったり、…
-
当番ノート 第14期
1989年7月4日 最高気温26℃ 最低気温20℃ 小雨 今朝、ピゴの元へ行くと珍しく不在であった。 ドアに貼り紙があり、見ると見慣れた筆跡で「先に入って待っているように」とあった。 中へ入ると淹れたての紅茶の入った大きな硝子のポットが置いてあり、私がいつも座る席と、ピゴの椅子の前にカップが置いてあった。 ピゴの椅子のすぐ隣には二回りほど小さな赤い硝子のカップがあった。多分、クローナの為に…
-
当番ノート 第14期
She, Drinks, Smokes, Dreams and Runs away fast. ————————————————-
-
当番ノート 第14期
猫の名前は ”チロ” わたしが10歳の頃に我が家にやってきた。 肩にちょこんと乗ってしまう程の小さな小さな猫だった。 あっという間に、たくましい大人の雄猫になったチロ。 わりと人懐っこく、でも淡々としているような性格だった。 家と外を行き来するチロはたくさん野良猫とけんかしては、顔や体に傷をおって帰ってきた。 野ネズミを捕ってきては、何度もプレゼントしてくれた。 夜はほとんど、外で過ごした。 …
-
当番ノート 第14期
薄いピンクで、1-1から順番に番号がふられている5階建てのマンションに僕たちは住んでいる。冬は早くから朝日が入るのと、夏は直接光が射し込まないのでとても快適だった。そして、ソファに座ると、窓からは空しか見えないというところも気に入っていた。クリスマスが終わった頃に引越しをして、一度契約を更新したから僕は3年半近くここで過ごしたことになる。 部屋は古いけれど真っ白にリフォームされていて、二人で住…
-
当番ノート 第14期
こんにちは、GWが空けましたね。 皆さんがお休みのときに働いて楽しませてナンボ、平吹正名です。 動いた動いてたよ、僕は。 御殿場、富士山、須走途中のコンビニで自衛隊とゴルフに向かう人達に、何故か、 僕は東京人っすよ田植えの手伝いに来ているのですとめっちゃオーラを出してみたりした。 こういった、人間の自意識過剰な可笑しみに塗る薬あったら、こっそりネットで買いますわ。 はい。 田んぼに関わる業務をゴッ…
-
当番ノート 第14期
ケーキ類はどうしても茶色の占める割合が多いので 色の鮮やかなものを見つけると 気持ちが上がります。 もちろん着色料は出来るだけ使っていないもので。 この潔く鮮やかな赤のイチゴのムースケーキも 一目惚れで即買いしたもの。 フルーツをそのまま使って色を見せるのではなく 果汁を使ったゼラチン質で包み見せたところが 想像力と創造力だと思います。 色もですが味も本物のイチゴよりイチゴを感じさせて ワクワクで…
-
当番ノート 第14期
今回は作品づくりについて書きたいと思う。 ※ このあたりの部分は作家それぞれが設定しているところなので、 あくまで私の認識というのを留意して頂ければ幸いです。 光を透す作品は、写真自体に穴をあけ、それをさらに太陽などの光源に向けて再撮影する方法で作成している。 なので、作成方法自体はとてもシンプルでアナログな方法だ。 私は作品作成方法はなるべくシンプルにしたいと考えている。それは、「作品」は実体と…
-
当番ノート 第14期
1989年6月27日 最高気温24℃ 最低気温17℃ 曇りのち晴れ 「自室であるものを飼いだしたので、見に来るように」 自宅のドアにそう書かれたメモが挟まっていた。差出人の名前は無い。誰の仕業であるかはこのダ・ヴィンチの手稿の文字に似た筆跡を見れば一目瞭然であるのだが。 その日の仕事を終えた19時半、私はいつものように鮮魚店で仕入れた魚を片手に彼、ピゴの元へと向かった。 ピゴの住む動物園はも…
-
当番ノート 第14期
この間「とうとうブログに文章書くのやめたんだね」といわれたんだけれど、 そういう訳じゃなくて、絵を説明するのって本当に難しい。私は特にかなりパーソナルな日記のようなものを毎日描いているし、「よし、この絵を描こう!」と決めて描いている訳ではないし。 ただ、「あるフレーズが頭の中に浮かんで、その文を繰り返しながら描くこと」が殆ど。 今回の絵はうまく説明できないけれど、「You can’t …
-
当番ノート 第14期
「 フクロウ 」 丸い輝く目を持つフクロウの名前はアルト。 動物園から逃げ出して、自由に生きている。 二度と檻の中では暮らさないと心に決めて。
-
当番ノート 第14期
「起きてる?」 「起きてる。天気は?」 「朝から雨だって。多分もう降ってる。」 「わー。さむそうね。」 くるりと毛先がはねた寝癖。少し腫れぼったい瞼。ソロソロと寝室から出ていく後ろ姿は頼りなさげで、リビングからうっすらと射し込む光が透過しそうだった。時計を見て安心する。恋人は早番、僕は遅番。 抜け殻のような形をした掛け布団にはまだ暖かさが残っていて、広くなったベッドで何度か寝返りをうつと、僕…
-
当番ノート 第14期
携帯電話のない一週間を過ごしていて、復活したら、世界はやっぱり回っているのですね、平吹正名です。 簡単に繋がれないからこそのストレートな感情の発露、会えることの喜び、抱きしめること。 やっぱり、自分の知らない感情を知ることに喜びを感じてしまいます。 今日で四月が終わります。春になると、ゆらゆら帝国というバンドの曲を聴いてしまいます。 春×ムサビ×ゆら帝 が、四年前に役者として、初めてムサビの授業に…
-
当番ノート 第14期
シュークリームは「おやつ」色が強い。 でもそのシュークリームがプチサイズになって 重なり、土台となったサントノーレは しっかり「ケーキ」感がある。 同じシュークリームだけど 手掴みで食べても良い気楽さと フォークという 1ステップを介して食べる違いでしょうか。 それとも単にデコレーションの加減かな。 スポンジの有り無しだけでもないし ケーキの定義って、人によって異なりそうですね。 シュークリームが…
-
当番ノート 第14期
誕生日を迎えた。 33歳。 そんな年齢になったなんてやはり実感があまりない。私は相変わらず子供だ。 周りの同じくらいの世代、上の世代の人もそれぞれ子供な面をみることは多い。子供の時には、33歳なんて完全に大人で、自分とは全く異なる存在で、ただただ別な存在な存在として仰ぎ見るものだったから見えなかったのだろう。同じ標高に登るとこの年齢でもそれほど完璧な存在にはなかなかみんななれていなと分かる。 誕生…
-
当番ノート 第14期
1989年5月1日 最高気温18℃ 最低気温9℃ 曇りのち雨 先日ピゴの部屋を訪れた時、彼が昔クローナと二人でした小旅行の話を聞いた。旅の写真の数々を囲み、夜通しアルコールを飲みながら(ピゴは海水ばかり飲んでいたが)語り合った。アルバムに几帳面に貼られた写真に写る彼と彼女はとても楽しそうだった。アイスランド、フィンランド、グリーンランドなどの寒い地方の写真がとても多く、オーロラの写真がびっしりと…
-
当番ノート 第14期
今日も夢に見たものを描いた。 小さい男の子から赤ちゃんをもらった夢。変な夢だったなあ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
-
当番ノート 第14期
「 オオカミと少女 」 少女とオオカミはいつも一緒。 深い森の奥でひっそりと暮らしていた。 少女はだんだん大人になり森の寂しい暮らしより 街に出て知らない世界をみたくなった。 オオカミは森の入り口で少女の帰りを待ち続けていた。
-
当番ノート 第14期
僕はいつもより早い時間にトーストを焼き、恋人はカフェ“ラテ”を淹れていた。小さいクモの「タジマさん」の姿はここしばらく見ていない。ぐっと寒くなってきているから、どこか薄暗い隙間の奥でじっとしているのだろう。「タジマさん」がそうしてくれていることは「タジマさん」にとっても、僕らにとっても都合がよかった。というのも、恋人はクモに限らずムシの類いが得意ではなかったからだ。もし、「タジマさん」が不用意に…
-
当番ノート 第14期
こんにちは、平吹正名です。正名という名前は、母親が大学生のときのゼミの先生から頂きました。 と、 春に文句のひとつも言いたくなる寒さの毎日、皆様いかがお過ごしでしょうか? この一週間、武蔵野美術大学映像学科の授業に行っていました。 僕は主に、生徒たちがお芝居をするのをみたり、自分もお芝居のデモンストレーションをしたりしました。 お芝居は、携帯電話を見た見られたという状況の、短いテキストを用いました…
-
当番ノート 第14期
アメリカで過ごした高校時代、 ケーキと言えば ほぼホールで箱買いでした。 クリームとカスタード山盛りなバナナパイ。 食べ物なのに「自然界にはありえない」ドぎつい着色のバースデーケーキ。 舌に砂糖のザラっとした食感が残る、 チョコレートフロスティングたっぷりのデビルズフードケーキ… などなど記憶の中のケーキは全てインパクト大で 味はともかく、見かけと 皆で切り分けて食べる楽しさがありました。 トルコ…
-
当番ノート 第14期
-
当番ノート 第14期
1989年4月20日 最高気温16℃ 最低気温7℃ 快晴 今朝、アパートのポストを開けてみると手紙が入っていた。白い封筒には私の名前が書かれていたが、切手も差出人の名前も無かった。 銀の封蝋を丁寧に剥がし、開けてみるとケント紙のような厚めの紙が一枚入っていた。 “恒例・ミクロ天体観望会ご招待のお知らせ” 聞き覚えのない会合だった。その文字のすぐ下を読んだ。 “満月、日没後より開催。各々、夜食…
-
当番ノート 第14期
先日夢をみた。 「赤い風船を十五個用意して」と頼まれたから用意して渡したのに、風船のことをすっかり忘れられて、風船はどんどん萎んでる。どうしようどうしよう、と思ったけれど、しぼんでもしぼんでも風船は浮いたままで、ずっと見ていたらクランベリーの木みたいになった。 今回は、その夢で見たものににいろいろ混ざった絵と詩。 ——————…
-
当番ノート 第14期
わたしのおばあちゃん、「玲子さん」と呼ぶ。 何でも、玲子さんの兄弟二人とも、外国に住んでいて、外国では名前で呼び合うらく、 名前でよんでほしいとの要望で、中学生の頃から名前で呼ぶようになった。 そんな玲子さん。 眼鏡をかけていて、小柄でかわいらしいおばあさん。 でも頑固で几帳面でさっぱり明るい性格。 気さくな方で、よく電車で横になった人に話しかける。 昔は学校の国語の先生。 子供が生まれるも、ベビ…
-
当番ノート 第14期
僕は魚釣りが好きで海や川へよく出かける。 ジリジリと肌を焼き、あちこち虫に刺されながら刻々と変化する潮や風を読み、 朝早くから夜遅くまで水辺に立つ。 そんな釣り人の心理は単純なもので、遠くのポイントには手前よりも大きな、そしてたくさんの魚がいるように錯覚する。 全力で投げて、巻きとり、少しでも遠くのポイントを狙う。 そのほとんどは空振りとなってルアーだけがするすると返ってくるのだけど、 小刻みに震…
-
当番ノート 第14期
はたち 平吹正名 A はたち。 B そうね。 A はたちかあ。 B そうだね。 A はたちだよ。 B うん。 A 。。。 B ゴールが見えた。 A 見えた。 B 。。。 B あおいね。 A お腹空いたなあ。 B ラーメンかな。 A 簡単だな。 B 簡単じゃないものってあるんだね。 A 何それ? B お姉ちゃんは、みそじになって本当の大人なんだって言ってた。 A え? B 現実…
-
当番ノート 第14期
まだ少し寒さが残るので 今回は濃厚なガトーショコラを選んでみました。 湿り気を含んで みちみちに詰まった重厚感あるチョコレート生地と 新雪の様にキメ細かく柔らかで、表面に僅かな艶のあるクリームの 黒檀と白の対比。 またそのクリームの、垂れそうで垂れない ギリギリの緊張感を留めた曲線フォルムに一目惚れです。 まるで彫刻のような佇まい。 近寄って色々な角度から見たいと思わせる盆栽的面白さもあって ケー…
-
当番ノート 第14期
今回は前回に引き続き、私の作品について書きたいと思う。 私の光のシリーズは前回書いたように祖父の記憶からスタートした。 現在私は祖父以外の写真でも同じように光を透す作品をつくっている。 そこに祖父の時とは共通するところや、また違う意味を込められると感じているからだ。 この作品は友人から頂いた写真がもとになっている。昔の結婚写真だ。よくみると男性は軍刀を持ち、軍服を着ているので出征前の姿だと思う。友…
-
当番ノート 第14期
“偽一番星注意報” 1989年4月1日 最高気温16℃ 最低気温5℃ 快晴 午后2時、動物園内にある食堂にて遅めの昼食をとる。今日は新鮮なサラダとボロネーゼ。本来ならメインデッシュはボロネーゼの方だが、私にとっては新鮮な野菜をふんだんに使ったサラダが食べられることの方が嬉しかった。南極で最も寒さが厳しい地域にある私の観測所では、生鮮野菜を食べることができなかった。年間の気温がプラスになることもな…
-
当番ノート 第14期
私は海外育ちなので、日本語の文章を書くのが苦手だ。苦手というか、自分ではわからないけれど文章を書くと必ず誰かに「英語を直訳した様な感じだね」と指摘されるので、書くのが恥ずかしい。先週の投稿も早速妹にそう言われた。 文章以外にも、周りから言われて初めて気づいた事がたくさんある。よく言われるのが、 1.相づちの「うん、うん」が集中してくると「aha, aha」になる 2.話しているときに寿司を握ってい…
-
当番ノート 第14期
「 黒豹と少女 」 ほんの少し意地悪な少女は 黒豹を騙して、奴隷にしてしまった。 見えない鎖が二人を繋いでいる。
-
当番ノート 第14期
その日もたぶん同じ朝ご飯を食べていた。 まだ、ビールをおいしく飲めていたころだったのでトーストと冷たいカフェオレ。 ジャムはイチジクだったような気がする。 僕は販売の仕事をしている。一応「長」がついていて、部下だって少ないけれど2人いる。 毎日それなりに忙しく、販売という仕事特有の苦悩も少なくなかった。 繰り返される日々に加えて、仕事を無理矢理こなした時に感じる違和感。 例えていうなら動かせるか、…
-
当番ノート 第14期
わたしの左手と握手しましょう 平吹正名 伝染りたくないものほど伝染ってしまうものだ。 ずしりと重いわたし、 羊羮のようにまとまるわたし、 のたっと天井まで持ち上がりあの日の木目を探す。 「がんばれ」左手のわたしのシャーペンの軌跡。 攻めてばかりの毎日だから今日は右手を撫でてあげる。 昨日のあなたは発疹と喧嘩しただけ。 わたしもワンサイズ余裕のあるシャツを着るようになったから大…
-
当番ノート 第14期
ケーキを描いた絵画の中で 初めて「これは面白い!」と感じた作品は 高校の美術教科書に載っていたWayne Thiebaudの”Cakes”でした。 http://voices.washingtonpost.com/blog-post/2010/09/wayne_theibaud_google_cakes_an.html (The Washington Postより) 196…
-
当番ノート 第14期
写真が好きだ。 私が世界と繋がる橋を架けてくれたからだ。 私は写真に私は穴をあけ、光を透すことで作品を制作している。 光の空白は、空白だが無ではない。 空白は観る人それぞれの心に繋がっていってほしい。 思い、過去、託したかったこと、葬りたいこと、願望、悲哀、歓び。。 その空白の中にいくつもの物語を込めてほしい。 私がこのように考えだしたのはきっかけがある。 私が小学校の時に亡くなった祖父の存在。 …
-
当番ノート 第14期
#01 巻層雲を食む これは奇妙なアパートメントの住人にして、偏屈な哲学者でもある、私の唯一の友人の話である。 彼はフランスに住んでいる。私は南極に住んでいる。 私は南極大陸の沿岸部にある観測基地、昭和基地よりも1300kmも南に位置する、とある観測所の研究員である。私はそこで、ずっと単独で観測と研究を続けている。ご近所さんはアメリカの観測基地、プラトー基地だが私が南極へ移り住んだ時にはもう…
-
当番ノート 第14期
最初だからセルフポートレートを描くことにした。折角なので友人のイラストレーターから教えてもらったドローイングエクササイズをやりながら描くことにした。 「描いている最中は一切紙を見ず、顔(鏡)だけを見て絵を描く」 彼が主催者の1人であるドローイングワークショップではペアになってお互いの顔を描きあうのだけれど、今回は一人鏡相手にやってみた。自分の顔なんて毎日見ているし、メイクする際にも触るから、顔のパ…
-
当番ノート 第14期
-
当番ノート 第14期
トーストを2枚と温めた牛乳にインスタントコーヒーを溶かしたカフェオレ。 もう少し暖かい陽気になってくると、冷たい牛乳に変わるくらいでこの組み合わせは基本変わらない。 今日の朝ご飯。正確には僕の朝ご飯。 毎日同じような服をきて、同じルートをとおって、同じ車両に乗って仕事にいく。 休みの日にはお気に入りのパンを買いに行くし、たまに飲むビールだっていつも同じ銘柄を選んでいる。 日常を変えることはとても難…
-
当番ノート 第14期
はじめまして、平吹正名(ヒラブキマサナ)と申します。本名です。役者をやっています。 寺島大輔くん(2014年2-3月コラム担当)の推薦で朝弘さん、森山さんを紹介してもらい、 今回のコラムを担当させてもらうことになりました。 この場を借りてお礼を言わせてもらいます。 2ヶ月という、短い間ですがどうぞ宜しくお願い致します。 皆様に何かを感じて頂けて、自分自身も何かの気付きを得られれば、最良のことに思い…
-
当番ノート 第14期
数ある食べ物の中で 昔から特別な存在なのがケーキ。 ウエディング、誕生日、クリスマス、 あの人へのお土産どれにしよう…と迷う時間の楽しさ。 3食のご飯は「日常」ですが ケーキは単なる「食後のデザート」「おやつ」の枠に納まりきらない スペシャルな空間を作り上げる力を持っています。 そこには彫刻のような芸術性と甘美な味覚の層、 誰かと祝いごとを分かち合う幸せが。 これからしばらく その週にお誕生日を迎…