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当番ノート 第36期
自分自身の変化に対して、人は鈍感である。 屁をしながら、最近そのような事に気付いた。 と言うより、屁をしたから気付いたのだった。 なぜなら、自分の屁にただならぬ違和感を感じたからである。つまり、屁が臭くないのである。 今年の冬は屁が臭くない。毎年何故か、冬になるときまって屁が臭かったのである。「冬の屁」とかなんとか、自分の中での季語にしてもいいくらいのものであった。 それは衝撃の変化であったのだ。…
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当番ノート 第36期
1997年の2月。 帆船での初めての航海は、一週間ほどかけて大阪から鹿児島まで太平洋を越えていくものでした。 それまで海や船に興味があったわけではありませんでした。 ほんの数回フェリーに乗ったくらいが、これまでの航海経験の全てでした。 そんなぼくが自分たちで船を動かすことを目的としたセイルトレーニングというプログラムを受けて感じたこと。 船という完全に外部に閉じられた環境。 初めて知り合った、年齢…
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当番ノート 第36期
一片の詩の中に、数学は、たぶん存在しないけれど、数学の中に、詩が見え隠れすることがある。 おとなの五教科、最終回のお題は[命題:逆裏対遇/真と偽]です。 ——— 命題 「p ならば q」 この命題の逆は 「q ならば p」 この命題の裏は 「pでない ならば qでない」 この命題の対遇は 「qでない ならば pではい」 * 命題が、真(正しい)…
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当番ノート 第36期
Film by Takahiko Watanabe 昨年の5月に、東京で催し物をした。 ムリウイという特別な場所があった。 その空間で作りたいことにしっくり来るものを探りながら、その日その時間の外枠として必要なことと、骨組みと、衣装を用意する。 「塔」という曲のミュージックビデオのために衣装を作って以来、よく歌を聴いているSatomimagaeさん(htt…
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当番ノート 第36期
搭乗時間まで珈琲を飲むためにカフェに入ろうとした時。 ナオミ!と私の名前を呼ぶ声が後ろからする。振り返ると、ちょうど四年前に大雪のJFK国際空港で乗り継ぎのシャトルバスのことを尋ねたフランス人の女性に再会!ええービックリ!どうしたの?日本にいるの?私のことを覚えていてくれてたの?と立て続けに質問をする私に、遠くからでもあの時の子だってすぐに分かったわ!と。 とても賢くて優しい心の持ち主の彼女は、こ…
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当番ノート 第36期
「あなたは神を信じますか?」 一昔前、そのようにいきなり路上でガイジンさんに聞かれたものだった。 ガイジンさんと言うことで、何故かたじろいでしまう由緒正しい日本人な私である。 ちゃんと日本語で話しかけてくれているにも関わらず、 「アナタハカミヲシンジマスカ?」という音の連なりにしか聞こえてこず、意味を解すことが出来なかった。 たぶんガイジンさんに対する怯みもあるけれど、 信仰、宗教というものを自動…
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当番ノート 第36期
1997年の2月、初めて帆船で航海しました。 大阪から鹿児島まで、四国の南側、太平洋を超える一週間ほどの航海でした。 全部で25人ほどの乗船客がいました。 6,7人の3チームに分かれて、チームごとに様々な作業をして船を動かしていきます。 ぼくのチーム(船ではワッチと呼ばれていました)は、 高校生男子、大学生女子、20代男子(ぼく)、30代女子、40代男子、60代男女各ひとり、とものすごく年齢のバラ…
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当番ノート 第36期
photo by rika minoda 2015/9 in domeki-river mashiko-cho tochigi pref. 私が生まれ育った家の玄関の小上がりに、サンタクロースが抱えていそうな白い大きな袋が二つ三つ置かれるのは、 毎年決まって元旦の朝だった。 父が郵便局で働いていたので、 地域の家々に年賀状を届けに行く配達の人たちの拠点になっていたのだ。 配達の人たちは、「失礼しま…
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当番ノート 第36期
ふと、携帯に残っている服飾の学生時代からの写真をざっと見返してみた。 たいがいそれらはどれも微笑ましい。 スマートフォンで写真を撮るというのは基本的には良い思い出を残すためにするし、思い出したくないことと関連するものは後から消してしまえるからというのもあるだろう。 楽しかったこと、感謝していること、心動かされたことをたくさん思い出せる。 ものを作る純粋な喜びを知ることができた。 学生…
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当番ノート 第36期
生姜の入ったお茶の美味しい季節。すでに新年に入ってから今日で18日が経過。日に日に寒さが深まりながら、でも日も長くなってきて春が近付いてきてもいるのを鼻にツーンとくる冷気とともに感じています。 自然の中で、朝早く起きて瞑想や座禅をして、カフェイン・アルコール・五葷を避けたピュアな菜食料理をいただいて、のんびりゆっくり過ごした中で、徐々に自分の意識が透明になっていったように感じてとても幸せだった。 …
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当番ノート 第36期
昨年末、連日にわたるラジオの通販番組の「カニいかがですか?」攻撃に私は曝されていた。 曰く、「お送りするのは、氷の重さは除く正味のカニの重さです」とか、 曰く、「年々水揚げ量が減り、ご用意するのが大変なんです」とか、 曰く、「水揚げ量が減っているので、近年ますます高値になっているんです」とか、 曰く、「そんな貴重なカニを3キロに加えて、もう1キログラムおつけします」とか、 曰く、「これだけのお値段…
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当番ノート 第36期
1995年の1月にフリーランスになって1年半ほどが経っていました。 仕事は順調でしたが、少しずつ追い詰められているような気持ちになっていました。 しかも、何に追い詰められているのかもわからずに。 ずっと同じことをやり続けることが苦手で、いつも新しい何かを作り続けていたい。 舞台という非日常な時間のなかでずっと暮らしていきたい。 そんな気持ちもあって舞台照明家になりましたが、人生の全てを夢の時間で暮…
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当番ノート 第36期
photo by rika minoda 2014/7 in ashinuma mashiko-cho tochigi pref. 北から東京へ向かう新幹線の車内、 通路を挟んで隣の席に、おそらく30代前半の両親と、小さな女の子の3人が座っていた。 お父さんは、とても良い姿勢で、ずっと静かに新聞を読み続けている。 女の子は、なにか動物のぬいぐるみを手にしていて、…
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当番ノート 第36期
恋人と知り合ったとき、自分はこういう人と出会うために生まれて生きてきたのかもしれない、と思った。 浮世離れした人だ、という印象を最初に持ったのを憶えている。 直接会って言葉を交わした人の中で、浮世離れしているなどと思った相手はあまりいない。 たくさんいたって困る。 知り合ったあと、私たちはときどき何人かの友人たちと共に食卓を囲んだり、映画を観たりした。 コンビニでお酒を買って飲みながら、あても無く…
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当番ノート 第36期
タイトルの “fail, fail again, fail better” はサミュエル・ベケットさんという劇作家・小説家の言葉。 最近読んだ本の中で心に残った言葉です。 世の中には、こんな風にしたら成功するよとか、もっと早くできるよという元気いっぱいの本も沢山出回っていますが この本はその方向ではなくて。 生きていると悲しみや失望、挫折が次から次に形を変えてやってくることもある。 いろいろ思うよ…
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当番ノート 第36期
家人がタートルネックのセーターを買ってきた。 タートルネック…日本語だと「とっくりのセーター」となる。 …とここまで書いて、疑問が湧いた。 昭和56年生まれの私でも「とっくりのセーター」と言うとき、少し気恥ずかしく、若干の躊躇いを伴う。 疑問とは、英語圏において、タートルネックはその気恥ずかしさを伴わないのか?つまり、タートルネックと言う呼び方は古びてないのか?その場合の「とっくりのセーター」に対…
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当番ノート 第36期
1995年の1月にフリーランスになりました。 それからも仕事は順調でした。 前回のコラムで書いたような長い旅回りの仕事の割合はだんだんと増えてきました。 家庭の事情などで長く家に帰れない仕事を嫌う同業者も多かったからです。 一方ぼくは、そうした地方を転々とするような暮らしが性にあっていたのでした。 また長い期間拘束されるので細々と仕事を取る必要がなくて楽だったというのもあります。 また年齢の近い演…
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当番ノート 第36期
以前、ライターとして高校生向け情報誌の仕事をしていた時に、物理の定理や法則の名前を知る機会があった。 高校で物理なんて無縁の科目であったし、物理用語が意味するところは、まったく理解不能だったのだけれど、 なぜか時々、仕事の段取りや人との関わり方のことなどをぼんやりと考えているときに、 法則の名前なんかが不意に頭に浮かんだりすることがある。 そうして勝手な解釈で、その定義をつらつらと紡ぎ始める超文系…
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当番ノート 第36期
来年の目標はなに?と友人に唐突に訊かれて、ほとんど頭を抱えたい気持ちになった。これを書いている今はまだ、2017年だ。 一年の抱負を決めてそれを実現することが、恐らく私はめっぽう苦手だ。 2017年の抱負は、英語を上達させることだった。どの程度なら上達したということになるのか曖昧だったせいもあり、これを達成できたかどうか、正直なんとも言えない。 留学して半年が経つけれど、授業は毎日難しくて毎日唸っ…
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当番ノート 第36期
You can drop your names, identity, your job… etc., for now and just be. – 自分の名前も、社会的立場も、仕事や役職も手放して、今はただまっさらな自分として。 新しい一年、数字がめくれたからといって急に何かが大きく変化するか。 きっと、そういうことでも無いんでしょうけど まっさらなところから 自然に生まれてくる変化のひとつひとつ…
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当番ノート 第36期
常に自分に課題を課す漢、それは私。 かれこれ3年間にわたり、毎日、1日1問の質問をし、答える。そんな課題を自分に課すと言う遊びをしている。 事の発端は「質問」と言う1冊の本との出会いだった。2014年の晩秋だった。 この本、開くと1ページに1つの質問だけが書いてあって、全部で365ページある。つまり365の質問が書いてある。答えはない、質問だけの本。とても潔い本である。 ちょうど年末に差し掛かって…
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当番ノート 第36期
1995年の1月、立ち上げから3年間勤めた会社を辞めてフリーランスとしての第一歩を踏み出しました。 自分が舞台業界で暮らし続けていいのかを確かめたいというのが、フリーランスになった動機の根底にありました。 なので周囲の方や取引先の方に、フリーランスになったことを積極的には伝えていませんでした。 それで仕事がこなくなったら商売替えしてもいいやと覚悟を決めていました。 そしてどうなったかというと、会社…
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当番ノート 第36期
photo by rika minoda 2014/5 in dogairisawa mashiko-cho tochigi pref. パーチクリン!! 何度、そう怒鳴られたことだろう。 中学2年のころ、週に数回、放課後を 学校の図書室の横にあった小さな小部屋で、小一時間を過ごしていた時期がある。 静かに読書をしていたわけでも自習をしていたわけでもなく、その小部…
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当番ノート 第36期
カナダへ来てからしばらく経って気付いて、愕然としたことがある。ここにはミニシアターが無い。 東京にいた頃、ミニシアターで映画を観るのは月に一回程度の習慣だった。人と一緒に行くこともたまにはあったけれど、一人になって映画を観に行き、余韻をぼうっと持ち帰るのは今思えば自分にとって大事な時間だった。 本当に好きな映画は何度でも観るのでDVDを買う。レンタルして観ることもよくあるし、大きい映画館にも時々は…
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当番ノート 第36期
昼下がりのジャーマンベーカリー。メガネをかけた坊主頭が、くわえ煙草で目の前の席に座った。 読書中の私。他にも席はたくさん空いてるっていうのに。 タバコをふかしながら話し始めようとする彼に、一緒に座るならその臭いのを消すように言うと「これは自分で買ったんじゃなくて人からもらったんだ」とぶつぶつ言いながらもみ消した。 「日本人?ここに住んでるの?」と質問をされ、しばらく滞在して近くのスタジオで絵を描い…
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当番ノート 第36期
蕎麦っ食いな私。 そんな私が住まいしているのは、長野県上田市。 そう、言わずと知れた蕎麦処・信州。 しかし、そんな蕎麦処・信州に居を移してから、蕎麦を食べる機会が激減した。皮肉な悲劇である。 では、何故そのような悲劇が起きたのか? それは長野県が車社会だからである。車社会とは主たる移動手段が自家用車の社会の事である。 どこに行くにも車で、バスや電車などの公共交通はほぼ利用しない。我が上田市も公共交…
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当番ノート 第36期
大学5年生の秋に、サークルの先輩たちと会社を立ち上げました。 メンバーは全員が20代で、先輩方はそれぞれフリーランスの照明家として活躍していました。 それまでもお互いしょっちゅう一緒に仕事をしていて、気心の知れたメンバーでした。 経営とかビジネスとかなにも分かっていませんでしたが、会社を作るにあたって少なくともぼくにはそんなに不安はありませんでした。 それぞれがフリーランスでやっていけてるメンバー…
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当番ノート 第36期
photo by rika minoda 2017/4 in tokushima pref.kamiyama-cho 好きとか嫌いとか、相性が合うとか合わないとかそういうことの、その前に、 とにかくキミとは向き合いたくないのよね。 中学1年の後半くらいから、次第に私の方…
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当番ノート 第36期
以前の投稿にも書いたように、現在カナダのトロントに滞在している。 渡航してから日本と違うなと感じることは勿論たくさんあるけれど、少し印象に残っていることを今回書こうと思う。 渡航してすぐに語学学校に通い始めてから、半年になる。 考え方の違う人とやり取りするのは骨が折れるけれど、知らない価値観を知るのは基本的には面白い。 人生に対する考え方の違う相手と対話すると、自分の心のどこか深層に…
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当番ノート 第36期
香港から2時間でハノイに着く。そこから足を延ばし、高速バスで移動をしてハイフォン近くの村で過ごして来ました。 当初はゆっくり過ごす予定だったけれど、降り立ってこの国の喧噪に混ざったら色々行ってみなくちゃ!と欲求が。沢山歩いています。 毎晩、星空がどこまでも綺麗に広がるヴェトナム沖合の小さな村。 マングローブの木に囲まれた絶えず流れる大きな川を前に、パンチャカルマを受ける。 パンチャカルマを体験する…
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当番ノート 第36期
クリスマスが大嫌いだ。 (↑新明解国語辞典) いつから大嫌いなのか、その起源は定かではない。 私史上、最大級の謎と言われている。 これだけの嫌悪感なのだから、私の身の上にきっとすごい事があったのかもしれない。 だから、覚えてないのが恐ろしくもある。 あまりの出来事に精神を自衛するために、 自ら記憶を抹消しているのだろうか。 でも、記憶のフラッシュバックとかは起きない。 親に聞いてみたらわかるのだろ…
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当番ノート 第36期
高校生の頃に好きだったファンタジー小説に「最後のユニコーン」というのがあります。 いつの間にかユニコーンがいなくなった世界で、たった一人残ったユニコーンが仲間を探して旅をする物語です。 ストーリーはほとんど忘れてしまっています。 だけど、ひとつのフレーズだけは、今でも心に残っています。 「夢見るのではなくて、夢に見られる存在」 それがユニコーンだと。 生きる指針になったとか、人生観が変わったとか、…
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当番ノート 第36期
コロンブスが、新大陸を発見したように、 間宮林蔵が、樺太が島であることを発見したように、 ブルース・チャトウィンが、オーストラリアで見えない道にソング・ラインを見出したように、 中学1年の私は、退屈な社会の授業中、 帝国書院地図帳の巻末索引で、ンジャメナを発見した。 あいうお順に並んだ、都市や山や川の名前。 日本の部は、【あ】で始まり【わ】で終わる。 海外の部を、続けてパラパラと見ていくと、 【ア…
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当番ノート 第36期
先日完成したばかりの、とあるショートフィルムを見た。 撮影にあたって衣装デザインを担当した作品である。 茫漠とした風に巻かれて消えそうな存在と、痕跡と。 私たちはなぜ生きるか。 誰も知らない、誰かの物語が無数にあるということ。 滅びること。 優しい雨の音をぼんやりと聴くように、それらのことが頭を巡った。 映像作品のための衣装に、デザインの構想から携わったの…
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当番ノート 第36期
昼食をとるために外国人旅行者達がたくさん集まる安宿街に向かう。 この時期の香港は陽射しが穏やかでとても過ごしやすい。 どこの国でも安宿街の近くの食堂は食べ物が安くて美味しい所が多いし、どこの国も裏通りが一番面白い。 隣のテーブルに座っていたヴェトナム人の女性が突然「ああ、チャイが飲みたい!」と叫んだまさにその瞬間に、巡回しているチャイ屋さんが入ってきた。 口笛を鳴らして喜ぶ女性に 『欲しいものがあ…
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当番ノート 第36期
あれは忘れもしない4年前のよく晴れた秋の朝の事だった。 いつも通りに出勤しようと、家の真ん前に停めてある愛車の軽トラに乗り込んだのだった。 ただ、いつもと違ったのは、何故かその時「最近ウンコ踏まないなぁ」と思っていた事だ。 妻と今朝のお互いの大便の具合について話していたというのでもなく、 全く脈絡もなく、ふとそんな思いが胸に去来した。 (↑現場写真) エンジンを始動しようしたところで、車内に漂う異…
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当番ノート 第36期
かつて「小劇場ブーム」と呼ばれた時代がありました。 といっても、演劇に興味のない人にはなんのことやらという感じでしょうが。 ものすごく簡単に(そしていい加減に)日本の演劇史を説明すると、 明治時代までの日本でポピュラーだった演劇様式というと歌舞伎なんですが、 明治の末ぐらいにもっとリアルに行こうぜ!と新派が生まれ、 昭和になってもっと芸術的に行こうぜ!と新劇が起こり、 1960年代くらいからもっと…
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当番ノート 第36期
古文|月の異名【居待月】 昨夜(3日)は、スーパームーンが師走の空に浮かんでいたらしい。 らしい、というのは、私は見ていないし、それを知らなかったし 今日になって、ネットニュースで知ったから。 日没後の18時台と、20時台に、車で移動していたので、 ビルの隙間とか、陸橋の上とか…自宅に近づいてからは山の上とか どこかで視界に入っていたかもしれないけれど…。 スーパームーンねえ・・・。 大きく見える…
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当番ノート 第36期
6月にカナダのトロントへ来て、今に至る。 まだそれほど寒くなる前、真冬用の防寒具を求めて友人と出かけたアウトレットモールで、盛大に体調を崩した。 東京にいた時も、並んでいる膨大な数の新品の服をずっと見ていて気分が悪くなることはしょっちゅうあったのに、完全に油断していたなと今になって思う。 出かけたアウトレットモールは巨大だった。 新潟の実家から時折車で出かけていたショッピングセンターの、5倍くらい…
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当番ノート 第36期
旅をして作品を作るという生活を送っています。 今年の8月にオレゴンの森の中で皆既日食を観て来ました。(写真は友人ダイちゃんが撮影したもの) 他人の共感ではなく自分の信じるものは何たるかを確かめる場所だと思っていたので、電波も何も繋がらない一週間はとても貴重で、その時にもっと人生を遊ぼう、必要なものだけでもっともっとシンプルに生きていこうとより強く思いました。 帰国してすぐに借りていた部屋を解約し、…
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当番ノート 第36期
皆さん、はじめまして、杣Booksこと細井と申します。 長野県の上田市で林業をしていて、たまに山の上で本屋さんをやっています。 今日から2ヶ月、水曜日にこちらで連載させて頂くことになりました。 どうぞ宜しくお願い致します。 (↑極めてわかりやすい林業の風景) …と3行書くやいなや、英語で言うとas soon as possible. とにかく、3行書くやいなや、空々しさに襲われている私。 自分で書…
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当番ノート 第36期
「願い」 「世の中の役に立たずに生きていきたい」 高校生の頃、そう願っていました。 どうしてそう思うようになったのか、今となってはまるで分かりません。 けれどひたすらにそう思っていたことだけは、はっきりと覚えています。 神戸という海沿いの街で暮らしていました。 通っていた高校は小高い丘の上に建っていました。 教室の窓からは大阪湾が一望できました。 授業中、ぼくはずっと海を眺めていました。 晴れた日…
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当番ノート 第36期
高校までに教わる教科の勉強なんて、 社会で生きていくには、ちっとも役に立つはずがない、と思っていた。 目に前のテストや受験に「使えたら」、それでいいと。 それは多分まちがっていなくて、 だけど、この歳になるまで(どの歳だ?)生きてくると なぜか、ふと、突然、 「ああ、あの定理って、こういう人生の文脈の中では、 つまり、こういうことを説明してくれていたわけね!」と、 まったくもって、正解からは程遠い…
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当番ノート 第36期
魂のどこかが繋がっているかのような、心が不思議に近しく感じる種類の友人が、ここ一年ほどで数人できた。 そのうち一人は、同い年の女の子だ。 私たちは同居人だった。 今年の春先に、東京のとあるシェアハウスに3ヶ月間だけ住んでいた。 元々実家に帰る予定だったのだけれど仕事の都合などもあって、どうしてももうしばらく東京に留まる必要があった。 留学を控えていて、ほとんどのものを実家へ送り、仕事の道具と少ない…