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009 ラフカディオ・ハーン

ギャラリー・カラバコ

鍵を差す。
ぐっと押し込み、回す。
この鍵は普通と逆に回すように出来ている。
引き抜くと、ざらざらと内部の小さな門がひとつひとつ下りてゆくのがわかる。

「ラフカディオ・ハーン」 のことを教えて欲しいと外国人の友だちに頼まれたことがあった。
彼女は日本の幽霊について興味があったのに、アニミズムのことは解さなかった。

〈前回までの展示〉
『縫い目』
『つむじ』
『鏡』
『耳鳴り』
『植物園』
『刺繍』
『ノコギリ』
『発酵』


「ラフカディオ・ハーン」

yakumo

絵: 古林希望

文: カマウチヒデキ

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共通のタイトルだけを手がかりに2人の作家が絵と小説を別々に制作し、掛け合わせていく企画「ギャラリー・カラバコ」。
次の満月の日をお楽しみに。

Exposition Past              :Exposition Upcoming
01 桟橋                  :Getting Ready….
02 物差し
03 帯
04 時化
05 吃り
06 影絵
07 隠者
08 ウミネコ
09 うぶすな
10 蟹
「ギャラリー・カラバコ」あとがき対談 2017

古林 希望

古林 希望

絵描き

私が作品を制作するあたって 
もっとも意識しているのは「重なり」の作業です。

鉛筆で点を打ったモノクロの世界、意識と無意識の間で滲み 撥ね 広がっていく色彩の世界、破いて捲った和紙の穴が膨らみ交差する世界、上辺を金色の連なりが交差し 漂う それぞれテクスチャの違う世界が表からも裏からも幾重にも重なり、層となり、ひとつの作品を形作っています。

私たちはみんな同じひとつの人間という「もの」であるにすぎず、表面から見えるものはさほどの違いはありません。
「個」の存在に導くのは 私たちひとりひとりが経験してきた数え切れない「こと」を「あいだ」がつなぎ 内包し 重なりあうことで「個」の存在が導かれるのだと思います。

私の作品は一本の木のようなものです。
ただし木の幹の太さや 生い茂る緑 そこに集う鳥たちを見てほしいのではありません。その木の年輪を、木の内側の重なりを感じて欲しいのです。

カマウチヒデキ

カマウチヒデキ

写真を撮る人。200字小説を書く人。自転車が好きな人。

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