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当番ノート 第27期
フジコの一生は散々だった。一生、と銘打ってはみても、まだ人生を終えずにちゃっかり生きているのだから、それが情けない。 フジコは三重県四日市市の生まれ。兄弟は居らず、一人っ子。フジコと呼べども男の子である。幼い頃はよく女の子に間違われた。本当は女の子が欲しかった両親が、フジコに女の子の格好をさせていたせいもある。無理も無い事だ。本名は藤原雅美。これも両親の計らいにより、男の子でも女の子でもどちらでも…
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当番ノート 第27期
映画「恋人たち」を観ましたか。 公開当初香川での上映予定がなく、しかしどうしても「劇場で観なければ」という気持ちに急きたてられていたわたしは、鞆の津ミュージアムで「障害(仮)」展を観たあとで、福山での最終上映回ならばその日のうちに高松に戻ることができると気付き(翌日朝から仕事だったので)、劇場に滑り込みました。 「どうしても」と思ったのは、この映画が「ぐるりのこと」以来7年ぶりの橋口亮輔監督の長編…
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当番ノート 第27期
今回は、最後なのでアパートメントで記事を書くきっかけをくれた大見謝さん(みじゃさん)と対談形式で、これまでと今、これからのことを話していこうと思います。 —————————————————R…
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当番ノート 第27期
七月もあっという間に最終週・・・ということはこの連載も今回で最終回。 このクールの当番ノートの中で一番最後に現れ、早々(二番目)に去りゆき、寄稿自体も多くの皆様より一本少なく、コンパクトにまとめるこの潔さをアピールしながら綴っていきましょう。(ただのカレンダー上の都合ですが笑) さて最終回にあたり、自分の書いたものをじっくりと振り返ってみると、「何か」に対して物申したり、「何か」を諭そうとしたりと…
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当番ノート 第27期
只今7月18日(月)の6:40。起床は4:45ながら弾けだした蝉の声にまどろみを 拭われて、そろそろお尻にチャッカマンな祝日の朝。 先週は京都での2日間の出店を終えて荷下ろし、片付けからスタート。 平生は家業である工場のお客さま主体の糸屋の仕事(地元奈良や各地での営業、受発注、納期管理&折衝、 工場さま向けリサイクルコットンの梱包出荷、計数管理に資金繰り etc…)に追われ、sared…
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当番ノート 第27期
わたしは随分長い間、誰かからの手紙を待っていました。 どんな内容なのかはわからないけれども 確かにある、素晴らしい何か。 想像もできないゆめのような何か そんなものを 月を見上げるたび、街を歩くたびに 祈って 願っていました。 そうして長い長いトンネルを抜けた時、 目の前に現れたのです。 それは例えばお茶の時間 毎朝目覚めること 働くことができること 足元のお花 話し合える友達 ほおばったパンの味…
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当番ノート 第27期
季節の話をしましょうよ。ほんのちょっとだけ。 息抜きですよ。 あなたはいつが好きですか? 春?もし春だったら、春のどこが好き? 緑とか桃色とか、見上げて広がる青と白とか。 ある日突然気付く色の豊かさの、その瞬間が好き? あ、わかった冬でしょ。 そんな顔してる。 あなたにだけ聞こえる雪の音とその理由。 窓の外の色が失せたせいで、やっと心の色が見えるから? 寂しさを、美しさと呼んでも許されるところ? …
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当番ノート 第27期
「虹がきた!」 電話越しに聞こえる声が、あまりにも嬉しそうで笑ってしまった。 夏の夜に、仕事を抜け出してかけなおした電話。 その声の主を、いつの間にか「ひろしくん」と呼ぶようになったけれど、出会ったばかりのその頃は、「ひろしさん」と呼んでいた。 ひろしさんは、尾道で小さな珈琲屋をやっている。 尾道へ行こうと決めたとき(どうしてそう決めたのだっけ?)一緒に行った人が、友人に教えられたその珈琲屋へ行き…
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当番ノート 第27期
前回は、これまでふわふわと使っていたファシグラを、言葉で定義して、その存在の輪郭を明らかにしようと試みました。 グラフィックレコーディング、ファシリテーショングラフィック、グラフィックファシリテーションの3つの類型を合わせて、 日本ではファシリテーショングラフィックと呼ぶことが多いと書いたので、今回は残りの2つを紹介しようと思います。 そして、僕自身が目指しているものはどこなのかをまとめることがで…
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当番ノート 第27期
飲食業などというものを営んでいると、結局のとこ「お客様に喜んでもらってナンボ」という要素が少なからずあります。 人(お客様)に喜んでもらうということは、すなわち人に認められるということ。 「人に喜んでもらいたい」から来る「人に認められたい」という欲求。 そう・・・今の私はある意味、承認欲求の塊なのです。 何を言いたいかと申しますと・・・ 本来、今回書くつもりだった内容の記事を、納得できる形でうまく…
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当番ノート 第27期
只今7月11日(月)の6:30。先週は東京出張から戻ってご依頼頂いた素材の見本帳の発送手配や 奈良県内、大阪での来春夏向け素材提案、そしてご注文いただいた saredo の ito そして糸 (手づくりをされるかたと工場さんとで ito / 糸と呼び分けています)の発送に追われる日々。 追われると言うことは仕事があると言うことなのでありがたい限り、ですが、明らかに6月とでは 倉庫内の温度が変わり、…
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当番ノート 第27期
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当番ノート 第27期
病院みたいな匂いがする。病院に行く機会なんて最近はほとんど無いけど、機械とアルコールが混ざったような、鼻を突く独特な匂いがする。アタシはカウンターテーブルの固さを背中に感じて、視線の先の天井では、ファンがクルクル回っている。仰向けになったアタシの身体に手が伸びて、色々な箇所を弄り、無抵抗を示すために目を瞑る。目を閉じても室内の明るさが瞼を透かして、さらに強く目を瞑る。早く終わって欲しいと思った。自…
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当番ノート 第27期
「誰かを傷つけている覚悟をして書く」と、作家の西加奈子さんが話していた言葉を、ここへ書き留めておきたいと思っていた。 あるテレビ番組で語られていた言葉で、(テレビを持っていないので、ネットでこの番組が配信されるのを毎週心待ちにしていたのですが、西加奈子さんの回で終了してしまいました…二期放送希望…)一緒に出演されていた作家・角田光代さんの「何度書き終えても逃げてしまったよう…
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当番ノート 第27期
何かを続けるということは、それに関連するものと継続的に向き合うこと。学び続けること。 必要なこと、もしくは一見すると必要でないことをインプットし、 それらを自分の中で寝かせて、自分がしっくりくるまでアウトプットしていく。時には、インプットを休むこともあるけど、寝かせて醸成させるために必要な大切な余白。 グラフィックの中で、時には自分がやりたいことにチャレンジもするが、 多くは場にいる人からの依頼だ…
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当番ノート 第27期
我々飲食店にとって・・・というより生きていくうえで、ですね(笑) 欠かせない存在の一つに「水」があります。 あらゆる料理に使うのはもちろん、洗う、冷ます、温める、そして飲む・・・ そんな水の恩恵を受けて生きている我々人間の体組成の大半は水からできています。 同様に、人間が生活してい地球の3分の2は水が占めていますが、そのうち97.5%は海水で飲むことができません。 我々人間が飲むことが可能なのが残…
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当番ノート 第27期
6月29日(水)の夜10:00過ぎ、新宿駅南口のバスタ新宿前、眼前に剥き出しのアスファルト、 肌色のフレコンバッグ、傘に雨がポツリ。この雨に色は無い。この雨に色は無い。 写真と文章は無関係です。只今7月6日の1:00過ぎ。この連載にも一応締め切りがあって、 優にその日にちを過ぎており誠に面目ない限り。 1週空けて2日間の東京行脚を終えて(今回もありがとうございました)冒頭の景色と僕の仕事場のパソコ…
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当番ノート 第27期
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当番ノート 第27期
21時30分。 旧校舎の前に立つアタシは、無印の袋を手に提げて腕時計ばかりが気になる。七夕の翌日。 アタシの願い事といったらなんでしょう、それは、思いつかない。強いていうなら、名前を付けて欲しいと思う。自分が何者かもわからないままで生きていくのは、とてもしんどいことだから、誰かに名前を付けられて、ちんけだなんだとそやされても良いし、名前があれば安心する。名前というのはどうやら自分でつけるものではな…
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当番ノート 第27期
本を買ったタイミングって、突き詰めてみるとけっこう面白い気がする。自分の興味がよくわかる。わたしは、普段あまり本を買わない(書店員なのに)から、尚更。 ほんの数日前、働いているところよりもずっと大きな書店へ行って、勢いづいてレジまで持って行ってしまった一冊が、李龍徳『報われない人間は永遠に報われない』。 「恋愛そのものが根源的に抱える出口のなさを映し出す」「現代を見事に映した秀作だ」と帯に寄せられ…
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当番ノート 第27期
いつの頃か、ファシグラが終わると参加者の方に「どうしたらファシグラできるようになるの?」と聞かれるようになりました。 正直な所、この質問をされるとかなり困りました。 僕自身は、試行錯誤しながらかき続けてきた経験があったから、1歩づつ前に進んでいけた。ファシグラが自分の生活の中で日常化しつつあったからこそ、ファシグラしてる時に自分の中に起こっているプロセスを言語化はしていませんでした。 それは食べる…
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当番ノート 第27期
毎回、私の駄文という欠陥だらけの素材を、ヤカさんという素敵な女性が絶妙な味付けと盛り付けで本来のポテンシャル以上の仕上がりへとdish upしてくれています。 Link(ヤカさんのページ) その包み込むような文章からも伺える、優しく、そして人を幸せにする能力に溢れていること間違いないご本人とは、まだ直接お会いしたことがないのですが・・・ うっかりお会いして口説き始めてしまってもご迷惑でしょうから、…
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当番ノート 第27期
只今6月27日(月)の2:30。草木も眠る丑三つ時、と言いたいところゲコゲコ蛙が啼いてます。 今晩からフタビの東京出張 one more 行脚、先週は一週間奈良に居ましたが隔週での東京と 来SS向けのご提案も佳境、7月にもう一度伺って一旦落ち着く感じです。 その間に関西や中部のお客様にも伺わねば。 先週は月曜から品質トラブルにて泉州出張、直前の先週土日も同じく泉州の友人夫妻宅で 素敵なディナーにお…
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当番ノート 第27期
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当番ノート 第27期
”こんばんは。定時制の時間にこの学校へ通っている者です。あなたの家でも女の子のお股についているアレはおちょんちょん、というんですね。なぜ性器の名前というのは男女に限らず、こんなにも間抜けた名前に甘んじているのでしょうか。やっぱり何か、コレとアレが結合すると子が産まれる、という生命の根源的事象を秘めた一物は、名前をつけるにはあまりに神々しく真に迫り過ぎるために、名前だけでも茶化さねば股に抱えるのはし…
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当番ノート 第27期
朝起きたら、8時半。 映画が始まるのは、9時半。 家から映画館まで、自転車で15分。 (休みの日にまで、せかせか準備したくない) 来週の上映スケジュールを見る。 上映予定、午前中の一本のみ。 行けない。 大抵の場合、上映が午前中に一本のみの映画は見逃す。 休みの日に、朝起きられないからだ。 (起きるか否かもぞもぞしている間に寝てしまう) それでも、今回は、起きた。 急いで準備をして、観に行ったのは…
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当番ノート 第27期
6月26日。 3か月ぶりに、長時間のグラフィックをしてきました。 人の持つ可能生が広がる瞬間を伝えていくメディアであるsoar(http://soar-world.com)。 そのsoarを支える人々のために開かれたspecial thanks eventでかいてきました。 この4月から、拠点も、時間の使い方も、変わったのでなかなかファシグラだけに時間を使えることは少なくなって、ちょっと寂しくもあ…
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当番ノート 第27期
育ちなのか、仕事柄なのか、食材や料理の廃棄には人並み以上に抵抗があります。 お気づきの方がいらっしゃるかどうかわかりませんが、前回と同じ書き出しで始めてみました。 うーん、どう転がしていきましょうか・・・ どんなところに着地できるでしょう?(笑) さて「廃棄」といえば、飲食店にいる以上避けて通れないのが「食べ残し」です。 お店により程度はだいぶ違いますが、食べ残しによる廃棄はなかなかゼロにはなりま…
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当番ノート 第27期
只今6月18日(土)の5:00、から書き始めようとしながら色々この連載に関連すること 見たり探したりしてると6:30。 時間が経つのはあっちゅう間、遅筆の僕はやや焦る、な Saturday morning 、 皆さまいかがお過ごしでしょうか。 と、書き出すも遅々として進まず、日付は変わり父の日の Sunday afternoon、 さぁそろそろお尻に火が点いて参りました。 今週は水木と単独東京出張…
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当番ノート 第27期
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当番ノート 第27期
忘れられない言葉があるの。 別に覚えていなくても人生に問題はなさそうだし、全然輝いていなくて、ましてや本当にそんなこと言われたのだっけか、頭の中の引き出しを引っ掻き回すと、言葉と一緒に、車内のヤニ臭い匂いも、バックミラーに下げられた、古いダッコちゃんストラップも、その揺れ方も、シートの肌触りも、隣で寝息を立てていた妹の顔、その濃い眉、全部、余計な感傷と混ぜこぜになって大事にしまわれていて、埃にもま…
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当番ノート 第27期
書くのが嫌になってしまった。これまでに書いた三回分の記事を読み返しても、言葉が散らばって並んでいるだけで、書いた人の姿が遠い。自分から出てきた言葉なのに。 征三さんのことを書こうと読み返した三年前の日記には、その日、誰に会って何を話したか、それだけのことを書き連ねていた。嬉しいことを忘れないように、ただそれだけのために書いていた日記は、素直に面白いと思えた。 本棚に並ぶタイトルを一冊ずつたどりなが…
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当番ノート 第27期
生きてると、思いもよらないことは何度も訪れる。抜き打ちテスト、地元の友達との突然の再会、にわか雨。 いつも、こちらの気持ちの準備ができていない時にふいにやってくる。 僕にもその時は突然やってきた。 「はる君、企業のミーティングでファシグラしてみない?」 SNSを介して送られてきた突然のメッセージ。送り主は、今も僕がずっと影響を受け続けているファシリテーターの方。 送られてきた時は、自分がこれまでや…
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当番ノート 第27期
育ちなのか、仕事柄なのか、食材や料理の廃棄には人並み以上に抵抗があります。 例えば今年の節分・・・「恵方巻き」の廃棄量のすさまじさにネット上に嵐が吹き荒れていました。 特別な日でなくとも深夜のコンビニに行くと、賞味期限をチェックしながら廃棄物を集めているのであろうカゴに、まるでモノのようにパンやおにぎり、惣菜などの食品を投げ入れている姿を目にします。 買う方はもちろん期限切れのものなどわざわざ買い…
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当番ノート 第27期
只今6月12日(日)の8:00。 凪、波風立たず穏やかに、と行きたいところですが今置かれている状況は この連載の締め切りを前にただただ焦りながらパソコンの前。 今週はおかげさまでご好評いただいているネットでの ito の販売強化週間と言う事で、 倉庫に入荷して来た糸を通常在庫と別にネット用在庫として振り分けたり、 引き続き工場さんからオーダーいただく秋冬商品向けの原料となる糸の出荷。 そして嬉しい…
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当番ノート 第27期
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当番ノート 第27期
大人というものがもし、世間様がよく訳知り顔で代弁している、悲しい、辛い存在だとしたら、アタシは本当に、大人になりたくないな、と思っている。いいえ、ならないと決めている。きっとアタシが大人になった時には、大人という概念が作った、誰のためかわからないルールは知らんぷりして、それでも翻弄はされるでしょうけど、波のさなかに屹っと立って、阿鼻叫喚の地獄を許して、生きていたいと思うのだ。本当ですよ。 もしかし…
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当番ノート 第27期
「人が恋におちる瞬間をはじめてみてしまった」と、これは、漫画『はちみつとクローバー』で、はぐちゃんを見つめる竹本くんの横顔を見た真山の心の声。 流れる時間を切り取って、「その人がその人である」ということを認識した瞬間が、頭の中に、写真のように残っていることがある。 その写真にはいつも、雨上がりのような、澄んだ光が差しているけれど、よくよく思い出そうとしてみると、その日が晴れていたのか雨ふりだったの…
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当番ノート 第27期
今年の4月から先生として子どもたちと関わっている。30人の子どもたちとわちゃわちゃ。30人いれば個性もそれぞれだし、その日の状態もそれぞれ。 だから、子ども同士のちっちゃないざこざはときどき起こる。 いざこざが起こった時は当事者をよんで、話を聴くのだが、子どもたちの意見は噛み合わないことの方が多い。 そんな時に、僕が用いるのがファシリテーショングラフィック(以下:ファシグラ)と呼ばれるものだ。 会…
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当番ノート 第27期
二年ほど前、この様な投稿をフェイスブックでさせて頂いたところ、こんな小物の文章を心暖かい4000人弱の皆々様がシェアしてくださいました。 Link 同業に関わらず共感して頂けた方が多かったようで、本当にありがたいお話です。 以下、転載 \\\\\\\\\\\\\\\\\ 『飲食店のキャンセルについて』 珍しく少し真面目な話をします これはおそらく「飲食店あるある」なのですが、できれば同業以外の方々…
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当番ノート 第27期
只今6月4日(土)の21:00過ぎ、改め5日(日)3:45。 長かった4月〜5月の saredo -されど- 出店集中月間も終わり (お越しいただきましたお客さま関係者の皆さま、ありがとうございました!)、 未だ展示中のイベントやお取扱店さまへのご対応、ネット通販のお客さまからの ito のご注文など、ありがたいことに少し落ち着くかと思ったのですが 月明けて工場さんからの秋冬用素材の糸の発注も本格…
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当番ノート 第27期
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当番ノート 第27期
「うそー、うっとこと一緒やわ。珍しいな。うっとこもずっと、”おちょんちょん”言うとってん。小学生の時みんなにその話ししたら、そんな呼び方せんわみたいな言われ方して、ずっとうちだけの呼び方なんちゃうやろかと思うとったわ。よかったー。」 21時前。学校。教室。本来であったなら役目を終えて、机の配列や、黒板や、ラーフルや、日直の名前や、ロッカーや、掃除用具入れや、色気のない白いカーテンあれこれが、昼間の…
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当番ノート 第27期
高松に来て、ちょうど3年が経つ。 高松に来た理由を聞かれて答えを濁してしまうのは、「瀬戸内国際芸術祭がきっかけ」という理由が、気恥ずかしいからだ。 (なんだか、「それっぽい」感じが…) 「アート」と呼ばれるものに初めて触れたのは、大学二年生。 2011年に、熊本市現代美術館で開催されていた小谷元彦という作家の個展だった。 その日は、毛皮のマリーズの解散ライブだった。「ああ!わたしは、ボロボロのTシ…
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当番ノート 第27期
前回、 ファシリテーションに出会った時、身体が震える衝撃を受けたと書いた。26年間生きてきて、震える感覚は、あの時限り。 一雫の言葉が落ちてきて、波紋のように身体全体を震わせているような感覚。嬉しくて小さく握った拳は、これから知る、まだ、ふわふわした言葉を逃さないぞという意思表示だったのだろう。 感動とはまた違う、渇望していたものに、ふとした瞬間に巡り会えた幸せ。なかなか味わえない感覚だ。 ここま…
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当番ノート 第27期
突然ですが、自己紹介が苦手です。 例えば・・・ 「スパゲッティ カルボナーラ」 香ばしく焼き上げたパンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)とパスタが、たまご、チーズ、生クリームがベースのソースと絡んだローマの伝統料理。 黒胡椒のアクセントと濃厚な味わいと、まろやかな口当たりが特徴。 たまごに火が入り過ぎない様に加熱するのが美味しくできるかどうかのカギ。 「麻婆豆腐」 中国四川省の料理の一つ。 豆腐とひき肉…
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当番ノート 第27期
只今5月28日(土)の19:00過ぎ。 明日は2ヶ月振りの「道明寺天満宮手づくりの市」。出店準備と車への積み込みが終わり、 奥さんと市で使う麻紐をホームセンターへ買いに行き、夕食の買い出しから戻って これを書いています。 つい2日前には時折風呂に現れては我が家を離婚の危機に追い込む 黒光りするアイツのおかげで一悶着、網戸の無いほうの窓を開けた犯人は特定出来つつも このやり取り何度目?と頭の中を巡る…
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当番ノート 第27期
はいけい 絵の中の女の子たち お元気ですか? わたしは元気です。 絵が描けるようになってもうすぐ一年。 また この季節が巡ってきました。 もう一度信じてみてもいいんじゃない? もう だいじょうぶだよ。 あたなたちがそう言ってくれた あの朝のこと、 今でもはっきり覚えています。 あの時、絵はまるで魔法のようだと思ったよ。 頭で考えても描けない。 この感覚と この心を信じて紡ぐ 不思議なちから。 また…
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当番ノート 第27期
告白をしたい、と思ったのです。 告白、と言っても、愛の申し出、秘密の暴露、取るに足らないこと、重大なこと、懺悔、様々あるけれど、そうではなくて、ただ告白をしてみたい、とそう思ったのです。 ようするに、嘔吐だ。誰もいらない、アタシの心の内容物を、あたりかまわず無分別にゲエゲエ吐き散らす。見て、綺麗でしょ、など言いながら、地面に散った吐瀉物をかき集め、そうして、三越あたりの包装紙で綺麗に梱包してから、…
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当番ノート 第27期
出身地を聞かれると、愛媛県だと答える。福岡に住んでいた頃はそれだけで十分だったけれど、わたしは今、香川で暮らしているから、生まれ育ったのは同じ四国にある「愛媛」の「どこ」なのかというところまで、聞かれることが多くなった。 わたしの出身地は「愛南町」という町だ。その名の通り愛媛県の南部に位置しているが、2004年の合併で愛南町が生まれるまで、わたしが暮らしていたのは「内海村」という村で、自分の暮らす…
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当番ノート 第27期
少し、だけど遥か昔のよう。 僕は子どものころ、 クラスのみんなと同じになりたいと毎日もがいていた。 小さな集団が、あの時の僕の全てで、 そこに居場所を作るためには、 波風を立てずみんなに合わせる方法が 一番だとそう思っていた。 赤面症で、人前で失敗を犯すことの方が恐ろしく、 周りからどう見られているかを自分でも嫌になるくらい 意識していて、今、思えば自分で勝手に作り上げた 脅迫じみた固定観念と向き…