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当番ノート 第33期
僕にとっての珈琲は、 朝自分を目覚めさせる1杯だったり、好きな音楽によく合う香りだったり、それがふわりと優しい空気作ったり、大切な人に気持ちを伝えるためだったり。 二ヵ月頭の中でぐるぐると考えていてもはっきりとした答えは出なかったけれど、 でもいつも、1杯の珈琲は僕と誰かを繋いでくれるものでした。 ここで文章を書いてるのもきっかけは1杯の珈琲だったし、仕事、ワークショップやイベント出店のきっかけも…
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当番ノート 第33期
あの日、スコットランドのエジンバラでストーリーテラーを目指してからずっと、自分のストーリーテリングを模索し続けてきた。 そんな中、このアパートメントの住人、礼子さんと出会い、コラムを書かせていただくこととなったのだ。 毎回のステキなレビューは、読み聞かせ、語りをされるふきさんが担当してくださった。今回が最終コラム。 右往左往しながらも、どうにか2か月書き続けることができたのも、このアパートメントに…
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当番ノート 第33期
嘘を書かない、それが難しかった。 9回にわたって、中学と高校時代を過ごした下宿のことについて書いた。本当に居た人たちのこと、本当にあったことを、本当にあのころ感じていた通りに。それが、連載を始めるときに決めたことだった。 卒業して8年経ったのだ。いま下宿について書くということは、以後それが、私にとっての下宿の記憶になっていくということだ。書くならば、書いてしまうならばできうる限り、どんどん弱ってい…
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当番ノート 第33期
卍第8章 ありがとうございました!!!大感謝卍 大学のサークルの先輩、理さん(イケメン)に紹介していただき、6月から連載させていただいたウェブマガジン、アパートメントの水曜日の当番ノート。 この章で最後となりました。さみしいねぇ。 最後の章、何を伝えたいかなぁー・・・って思った時に出てきたのは、1番に出てきたのは「皆さんへの感謝の気持ち」です。 まず皆さん、最後までお付き合いいただき、心からありが…
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当番ノート 第33期
僕は嘘つきだ。 大層な嘘ではなく、しょうもないことを小さな嘘で繕ってしまう癖は昔からあって、そいつは痛いほどに自覚している。 もしかしたら多かれ少なかれそういう部分はみんな持っているのかもしれないけれど、僕はそれがすごく嫌いだ。 冷静に考えれば、嘘をついてしまったことにメリットは勿論なく、後々に対するマイナスの要素しか持っていない。 今ここに文章を認めている冷静な僕から言わせれば完全なる愚行に他な…
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当番ノート 第33期
四条下がった河原町通り沿いのセブンでプレモル買って鴨川行って、北に歩いて三条大橋下に着く頃にはみんなもう呑み終えているから、階段上がったとこのローソンでまたお酒を買って呑む、京都の夜は最高です。 iPhoneで適当な音楽かけて、ハワイアナスの偽物みたいな安いビーサンで、蚊に刺されながらみんなで入る鴨川が僕の大嫌いな夏の一番の楽しみなのです。 幸せを感じるレベルは人それぞれですが、僕にとっての幸せは…
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当番ノート 第33期
ストーリテラーのほかに、木工トレイ制作も私のお仕事です。 おはなしを覚えるときに欠かせないのは手仕事。手を動かしながらおはなしを覚える。 何度も何度もおはなしを繰り返しながら、木を切ったり釘を打ったり、ペイントしたり。 ストーリーテリングと木工は、切り離せないものとなっている。 ************************************* トレイを作る。 トレイの一つ一つに物語をつけ…
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当番ノート 第33期
てくてく。という言葉の愛らしさに、今朝突然気がついた。駅構内。てくてく。地下鉄の駅を出て、熱たちのぼるコンクリートロード。てくてく。神妙な顔で進む自分の身体の脇に、手書きのオノマトペ。てくてく。そういう漫画の一コマを空想して、通勤ラッシュを許そうと思った。あと、今度好きな言葉を尋ねられたら、一拍悩むふりをして、てくてくって言おう。 ・・・ 歩くことは好きだ。運動らしい運動は全部嫌いだけど、何時間も…
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当番ノート 第33期
卍第7章 ミスiD2018卍 私は7月から9月の3ヶ月間は観光海女として活動し、残ったシーズンは海女の文化について調べたり、他の海女さんのいる地域に行って交流したり、実際に三重県鳥羽市の海に潜らせてもらったり(鳥羽市は日本1海女の多い町なんですよ。)久慈市の小袖地区の人と交流したり、久慈市の観光PRをしたり、様々なことをしています。(割と何でも屋ですw) そして2年目の今年は、また新たなる挑戦をす…
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当番ノート 第33期
カルチャーなんてもんは結局のところ別に俺のことを救っちゃくれないけれど。 わかっちゃいるんだけれど、僕はそういうものが昔から好きだ。 寄り添ってくれる、なんて最初の一文につけたそうとしたけれど、それだとお粗末な感じがするし、 そういうのとはちょっと違う。 結局のところ、麻薬みたいなもんだと思う。 僕は田舎の閉じた世界で幼少期を過ごしていた頃から、あまり自分を表に出せないところがあった。 幼稚園から…
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当番ノート 第33期
スケートボードを蹴ってセブンのコーヒーとオールドファッション買って鴨川でぼうっとする、最近引っ越した僕の新しい習慣。まだ暗い朝の鴨川は涼しくて気持ちが良くて、いい場所に移ってきたなあと、心が嬉しくなります。 京都には5年近く住んでいるのですが、今年、平安神宮近くのとても古い家に引っ越しました。ちょっと傾いた一軒家。床の傾きはどうしようもないくらい傾いているのですが、ゆっくりリノベーションしながら住…
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当番ノート 第33期
今年に入って、嬉しいことに大学、短大、専門学校での若い方の前でのストーリーテリングのお仕事をいただいている。 若い方たちが私のストーリーテリングを聞いてどんなふうに感じてくださるのか、、、、、。 毎回、聴いてくださる方に、何か、何でもいい、自身にとって残るものがあってほしい、そう願っておはなしを届けている。 ああ、感想を聞いてみたい・・・・・。そう思ったこともある。 今回、ある保育・介護の専門学校…
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当番ノート 第33期
【1】 寮じゃないのよ、下宿!なのよ。 この連載の初回でも、そんな訂正を入れたが、改めて書く。寮じゃあないのよ。 下宿生時代、それは大きな違いだった。下宿とは別に、女子寮というものも存在したからだ。狭い道を挟んで向かい側に。 寮は学校経営のもので、たぶん30〜40人くらいが暮らしていた。一部屋に複数人が住んでいて、「おばさん」じゃなくて「寮監」が取り仕切っていた。学習室完備で、毎日勉強のための時間…
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当番ノート 第33期
卍第6章 北限の海女について その2卍 では、まだ時系列を戻して去年のお話から。 [2016年7月] なかなか海に潜っていくことが出来なかった私は、身体に重りをつけてみることにしました。 元々寒さ対策のために、絣半纏の下にウエットスーツ素材の薄いインナーを着ていたのですが、インナー自体がそもそも沈みにくいので2キロの重りをつけるようにしました。 重りを付け始めるとだんだん潜れるようになってきて、と…
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当番ノート 第33期
海が昔から好きだった。 僕が子どもの頃、週末の僕たちの遊び場は海だった。 両親が潮干狩りや魚釣りをしている間、僕たちは砂浜の奥に口を開けた、 恐らくは波の浸食によって出来上がった天然の洞穴を探索しながら、遊んでいた。 砂浜の砂利の中からシーグラスを見つけたり、打ち上げられたゴミの山の中からボールとバットを見つけて野球をしたり、 フナムシの大群を追い回したり(絶対にあいつらには追いつけない)、 堤防…
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当番ノート 第33期
疲れているときは、1輪でも、自分のためにお花を買います。 少しリセットできるような、優しい気持ちになれるような、いつもが特別に変化するような気がします。 お花みたいな、誰かの日常をふわりと包み込むような特別な珈琲を、淹れることができたらいいなあと思います。 好きなお花屋 ディリジェンスパーラー
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当番ノート 第33期
夏が来るといつも思い出す人がいる。中学時代の美術の古屋先生のことだ。先生の夏休みは「鍋いっぱいにトウキビ(トウモロコシ)を茹でて、誰にもじゃまされないところで、一日中、トウキビを食べながら、推理小説を読むことだ。」と言っていた。かなりの変人で、美術室で演歌を歌いながら油絵を描いて、中学生に自分の入れたコーヒーをふるまった。インスタントコーヒーがメジャーの時代にドリップコーヒーを入れていたのだから、…
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当番ノート 第33期
先日、このクラウドファンディングに支援をした。 タレは断固拒否!豆にこだわる”二代目福治郎”の納豆をご賞味あれ ちなみにいま私はクラウドファンディングサービスの運営会社で仕事をしているのだが、別に宣伝をしたいわけではない。というのも、私が支援した時点で、すでにこのプロジェクトは達成済だった。それでも私は支援せざるを得なかった。 納豆が好きだから。まあそうなんですが、それを超…
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当番ノート 第33期
卍第五章 北限の海女シーズン到来卍 読者の皆様、大変お待たせいたしました・・・。 ようやく[海女]のお話に入っていきたいと思います。 そして実生活でも7月1日からシーズンに入りました!(イエーイ!) まずそもそも「海女さん」ってなにかといいますと・・・海に潜り、貝類や海藻などの漁をする女性のことを指します。日本と韓国の2か国のみ存在する職業です。 現在日本には、約2000人ほどいるといわれておりま…
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当番ノート 第33期
僕はお酒ってやつが好きだ。 とはいえ、酒に弱い母方からの遺伝が強いのか、 残念ながら浴びるように飲めるというほどではなく まあ、嗜む程度といったところなのだが。 昔は会社の同僚なんかと結構飲みに行って、 それこそ仕事の愚痴とか、先輩の振り翳す仕事論なんかを酒の肴にしていたのだけれど もっぱら最近は仕事とは関係ない趣味の合う友達や、飲み友達と飲みに行くようになった。 そしてそれよりも何よりも、気の向…
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当番ノート 第33期
僕は音楽が好きで、しかし僕なんかがとってもおこがましいのですが、たまに友人のイベントに誘われては不慣れながらDJをさせていただいています。どんなジャンルの音楽も好きなのですが、今はアコウスティックな音楽が気持ちよくて好きです。 ingsは僕のとても好きなアーティストの一人。彼女が音楽イベントのために来日していた3年前の夏、僕が働いているホステルに来たのがきっかけで知り合いました。とても気さくで柔ら…
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当番ノート 第33期
今週は、ストーリーテリングから離れて、箸休めのようなおはなし。 私の目下の趣味はガーデニング。 2年前にあるきっかけから、九十九里浜近くに家を持った。そこには、庭がありちいさなちいさな畑もある。東京とは別の静かな暮らし。 写真上:ポタジェの風景 北海道生まれの私は、東京生まれ育ちの夫の言う、「紅葉を見にいく」というのが不思議に思った。 紅葉は、秋になればそのあたりで起こる自然現象だったから。東京…
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当番ノート 第33期
半分こえた。 という文句で始めたこの連載も、半分をこえた。 というのは言いたかっただけで、本題は昨日「ソール・ライター」展に行ってきたことだ。渋谷のBunkamuraで開催されていた。 ソール・ライターというのはアメリカ人の写真家で、ニューヨークを舞台に写真を撮り続けてきた。ときどき絵も描いた。 若い頃は芸能人の華やかなグラビア写真で有名になったけど、60歳くらいに引退して、以降は何気ない街の風景…
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当番ノート 第33期
[第四話 大切な仲間について] 突然ですが、皆さんに[仲間]っていますか? 私にはいます。 沢山いる中のひとつが「WHiTEBEACH」の皆だと思っています。 そう、私が所属していたアイドルグループのことです。 そもそも私がWHiTEBEACHをクビになったのは、端的に表現すれば、「素行不良」でした。 一生懸命だったのは間違いないのですが、自分のことばっかりで、メンバーやスタッフさん、ファンの皆さ…
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当番ノート 第33期
魔法の言葉が手に入ったと思ったのに 気づかぬ間に僕の手の端からこぼれ落ちて いつの間にか灰色の抜け殻だけ あの輝きがなんだったのか思い出せない 土曜日の商店街の雑踏の中 僕の目は君の姿を捉えたはずなのに 僕は目を逸らした 君は気づかぬまま僕の横を通り過ぎた 雑踏と僕は溶けて同じになった 千切れた思ひ出つなぎ合わせて 寂しさを噛み殺す 夢に堕ちようとする 手首に漂うジャズクラブの香り 嘘みたいな本当…
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当番ノート 第33期
ホステル(ゲストハウスとも言いますが、僕はホステルと呼ぶのが好き)での仕事は、基本的には掃除がメインの地味な仕事ではありますが、日本全国、海外からのゲストとの出会いは、僕にとって、他の仕事ではなかなか味わえないとても素晴らしい価値あるものです。 他府県の話を聞いたり、海外の料理を作ってもらったり、自分は京都にいながらまるで毎日国内旅行、あるいは海外旅行をしているかのような、少し非現実的を味わえる仕…
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当番ノート 第33期
いつから大人になるんだろう。 成人したら大人なのか、社会人になって自立したら大人なのか…それとも…。 2年前の6月に夫の母を看取った。大往生だった。私たち夫婦のことを「わたしのこども」という人たちがこの世からはみんないなくなった。 義母の葬式の帰りの車の中で、「もうこれで私は大人なんだ」と思ったのだ。55歳にもなった大人が思うことではないのかもしれないのだけれど、「今までは…
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当番ノート 第33期
プレイリスト作りが難航している。 職場の向かいの席の人から、RADWIMPSでひろやすさんが好きな曲を詰め込んだリストをくれという要望をもらったので、ハイ喜んでと答えたものの、いざ並べてみるとしっくりこない。好きな曲だけだとやっぱバランスがね。リストには流れってものがあるし。緩急とか。その人の音楽の好みも考慮しないと。「前前前世」は入れとくべきか。 RADWIMPSってバンドが好きです。というのを…
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当番ノート 第33期
卍第三章 移住生活in岩手県久慈市卍 スーツケースに小型のテレビを入れて、親友たちに見送られ、東京-久慈間を結ぶ夜行バスきずな号に乗り、12時間揺られ、私は単身岩手県久慈市にやってきました。 2016年4月のことでした。面接以来2回目の久慈市です。 久慈市にやってきて、最初にやったことはスイミングスクールに通うことでした。 [海女さんになりたい!!!] その気持ち一心できたのはいいものの、泳ぐこと…
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当番ノート 第33期
薄暗い部屋の中、僕はふいに目を覚した。 ・・・というより頭が痛くてうまく眠れない。 きっと少し酒を飲み過ぎたのだろう。 首の後ろ、頭との付け根あたりにズンとくる感じの鈍い痛み。 こういう時は大抵目の奥の方からも痒いような痛いような感じがする。 そんな痛みに襲われながらも僕は目を開いて こうやってその状況を文章に起こそうとiPhoneの画面を見つめている。 文章に起こしてみるといかに自分が現代文明に…
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当番ノート 第33期
バックパックに洗濯物とチョコレート入れて、珈琲を淹れたケメックスと僕のお気に入りヒースセラミックスのマグカップを手に持って近くの古いコインランドリーへ行くのが僕の休日の朝の過ごし方。 珈琲を取り巻く環境、どんな場所で飲むのか、とか、 誰と、シチュエーション、時間、天気、など 何気ないのだけれど、思い返してみるとお気に入りのものがあると思います。 晴れた日の朝の洗濯待ち時間の珈琲の、ぼーっと過ごす時…
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当番ノート 第33期
ハーナのおはなし屋さんは、こどものおはなし会とおとなのおはなし会の二本柱。こどもの「ハーナのおはなしキラキラ箱」にはベースになる物語があるのです。 「ハーナのおはなしキラキラ箱」おもな登場人物 ☆ハーナの生い立ち ハーナは、おはなしの国で育ちました。 生まれてすぐ誤ってキラキラポストに入ってしまい、おはなしの国に来てしまったのです。ハーナを拾ったのがあの有名な花咲かじいさんでした。おばあさんを亡く…
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当番ノート 第33期
「いま、とある事情で共同生活してるのですが個性的すぎてもうストレス溜まってきました。寮で暮らしてて朝から夜まで一緒です。1人部屋ですが友人が乱入してきて断れないので夜更かししてしまいます。どうやったらストレスを感じずに楽しく共同生活を送れるでしょうか。」 ・・・ 2年前の夏、友達3人と車でアメリカを横断した。そのとき、一本道、ひたすら地平を追い続ける車中で、暇を明かすべく「究極に真摯なお悩み相談」…
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当番ノート 第33期
【第二章 戦力外通告からの・・・】 戦力外通告と恰好つけて表現してみましたが、読者の皆様がお察しの通り、実際はただのクビでした。大事なことなので、もう一度言います。クビです。 当時は自分なりにも一生懸命にアイドル活動に取り組んでいたので、正直、かなり途方にくれましたが、とりあえず、急なイベントが入ったりするアイドル活動のために シフトの融通が利くからと某アパレル会社の倉庫のアルバイトに当分は専念す…
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当番ノート 第33期
バスに揺られながら見る景色から今日はなんだか色という色が全て抜け落ちているようなそんな気がした。 僕のヘッドホンからはいつものようなギターの轟音ではなく、静かで心地よいジャズのメロディーが流れている。 (情景にジャズを絡ませるだなんて、なんか村上春樹憧れっぽくてむず痒いですね) とはいえ僕はジャズといってもそんなに色んなものに精通しているわけではないし 聴きたいと思えるものは大体何曲かに決まってし…
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当番ノート 第33期
僕はTalbotで珈琲を淹れたり、他のお店やイベントでコーヒースタンドとして出店したり、ドリップコーヒーワークショップを行なったりしています。仕事以外でも、朝、珈琲を淹れますし、休憩の時も夜眠る前も必ず珈琲を淹れます。珈琲が好きなのです。 僕が珈琲を淹れるようになったのは、18歳の時、喫茶店で働くようになってからでした。 地元弘前にある小さな喫茶店。ネルドリップと水出しコーヒー、僕の親くらいの年代…
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当番ノート 第33期
ストーリーテリング Storytelling って日本語では「語り」。どちらも知る人ぞ知る・・・。 私にはストーリーテリングがしっくりくる。 ストーリーテリングは、語り手が物語を覚えて、聞き手に語るので、同じ物語でも語り手によって違った味わいを持たせることができ、聞き手の年齢や反応を見ながら語る言葉を変えることも可能なところが自由なところだ。物語を覚えて語ることは、物語に佇む時間が必然的に長くなる…
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当番ノート 第33期
郵便受けがあふれそうになっていたので、2週間ぶりくらいにダイヤルロックを回した。嵩ばるちらしの中に電気料金の紙が埋まっていて、額を確認してから破いて捨てた。 必要な情報も、高鳴る伝言も、いまや絶対に電波を這ってやって来る。宅配便の不在票だけはたまに不意を突いてくるけども、それだってほとんどはLINEで予告が入る。「送りたいから住所教えて」。「土曜の午前中指定でいい?」。 それで、マンション広告の束…
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当番ノート 第33期
アパートメントをお読みの皆さん、初めまして、こんにちは。 前田比奈と申します。 私は千葉県茂原市出身で、現在岩手県久慈市に移住して【海女】をやっています。 そうです、私【あまちゃん】なんです!じぇじぇじぇ~! 第1回目は、なぜ私が海女をやるようになったのか、自己紹介をしつつ、お話していきたいと思います。 【第1話 私が海女を目指したきっかけ】 私は平成4年3月21日に母親の地元である神奈川県茅ケ崎…
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当番ノート 第33期
僕は多分、昔から自分の中に浮かんだ考えや思い出した出来事、 思い出の類のことをずっと頭の中でグルグルと考えては掘り下げていくのが好きな性質のようだ。 そしていろんなことに思い至り、妙に納得したり更に疑問を増したりしている。 そいつによってその日一日の気分が大きく左右されたりするので、 全くもって厄介だと思うのだけれど、こればっかりは完全なる癖というやつで治しようもない。 大体、治したいなんてこれっ…
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当番ノート 第33期
今年の初め、管理人であるLeikoさんからこのアパートメントでの連載のお話をいただき、 今日から2ヶ月間入居させていただく事となりました。竹内俊人と申します、宜しくお願い致します。 何か世の中に対する不満や社会に対する罪滅ぼしの気持ちを発信したいだなんてざっくり考えていて、 丁度そのタイミングでお話を頂いたものですから、すぐにやります!と返事をしたのですが、 いざ書くとなると何をかけば良いのかさっ…
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当番ノート 第33期
ストーリーテラーって何ですか? 3年ほど前から自己紹介をするときに「ストーリーテラーです。」と名乗ると「なんですか?それ?」となるので、「おはなしを語る人です。」と言うと「ああ、朗読ですね。」と返ってくる。(そうだよね。そう思うよね。)と思いながら見た目の違いはほとんどないようにも思うのだが「違いがあるとすれば、観客との間に媒体(本とか紙とか)を持たないでそのまま素語りをするんです。」と話すと、「…
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当番ノート 第33期
半分こえた。 と思ったのは、25歳のときだった。人生の中で、家族と一緒に暮らした年数を、離れてから暮らした年数が追い越した。 12歳のとき実家を出て、中学1年生から下宿生活を始めた。中高一貫校で、そのまま大学で東京に来て、今も都内で働いている。実家は広島市にあって、中学高校は岡山の東の方、兵庫寄りの山の中にあった。通おうと思っても、新幹線と在来線を乗り継いで片道2時間以上かかる。だから、家を出るこ…