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当番ノート 第32期
フランス人に書を見せると、決まって飛んでくる一番目の質問は、「これは一体何が書いてあるの?」だ。 「かな」もあるけれど、「かな」の書だって変体仮名交じりだったりして、今の日本語の感覚から読み解くには少々時間がかかったりする。漢字のカテゴリーだと大体中国語の古典文献から取ってきたものを書くことが多い上、私は中国語が分かるわけではないので、こういう反応が飛んでくると正直困る、けれど好奇心旺盛なフランス…
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当番ノート 第32期
先日、中目黒にあるCafe & livespot FJ’sというお店がリニューアルすると言う事で、partyとやらにお呼ばれしてきた。そんなpartyなんて滅多に行かないし、その後の用事もあったもので少し顔を出すという生意気な感じでお邪魔する事となった。お店は大きい通りに面してはいるが、駅から少し離れた場所でのんびりした空気の中。路面に向かって扉が開いており、晴れた夕暮れがとっても気持ちよ…
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当番ノート 第32期
2ヶ月間あっという間でした。 3月にアパートメントで記事を書くことが決まり、4月に1店舗、5月に1店舗の立上げに参画する事になりまして、考えていた10倍くらいの忙しさになっていまいました。 アパートメント関係者の皆様には大変なご迷惑をおかけいたしました。 (いつも原稿が遅れてすみませんでした汗) やっと仕事が落ち着いたところで、ラスト投稿です。 今思えば全8回(9回かな?)の構成組みをすればよかっ…
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当番ノート 第32期
隣の男性が、囲炉裏の火を前に、焼き加減を細かく調整しながら真剣にほっけを焼いている。 その様子を私とサザエさんはにこにこして眺めている。 いい具合に焼けてきたところで、ほっけをお皿にうつして、3人は互いのおちょこに日本酒を注ぎ合う。 そして、3人で杯を交わす。 「乾杯!」 ゲストハウスの部屋に戻ってきた時、既に先客がいて、見慣れたヘアスタイルの女性の後ろ姿だと思ったら、サザエさんだった。 「あれ、…
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当番ノート 第32期
二カ月の連載を振り返ると、これまでの自分のこと振り返ってしまった。 こうして、文章を書いているけれど、昔から文字を読むことは好きだった。 他の人が何を楽しんでいるかはよく分からない。 誰かを喜ばせようと行動することもほとんどない。 自分がしたいことをするばかりで、今もそうなってしまっている。 文字とは、絵本や小説が好きだったのではない。 ゲームの説明書をよく読んでいた。 家にはゲームの説明書が多く…
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当番ノート 第32期
この記事が掲載される頃には、私はもうブルターニュの田舎へ行っている予定なのだけど、この記事を書いている今、私は日本にいる。 一年ぶりの日本。実家のある街まで帰ってきたのは、実に二年ぶりのこと。二年も家へ帰らなかったことは初めてではないか。最近ではYouTubeのおかげで、日本のテレビ番組が少し遅れて、しかし次の日には観れるということを覚えて、たまに観たりして、『ふむふむ、日本は今こういう感じなのだ…
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当番ノート 第32期
「いつまで音楽続けるの?」「どうなりたいの?」 要は将来のビジョンとか目標とかを問いたいのだろう。それでも、どう答える事を求めているのか迷う事が多い。ちょっと長く深くなりすぎない程度に、答えになるかどうか分からないけど気持ちを紐解いてみる。 ある時、知り合いがライブを見に来てくれた時に私に言った。「ちょっとひどい言い方かもしれないけど、自分はミズハちゃんの歌を聞きに行ってるんじゃない。音楽に対する…
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当番ノート 第32期
「樋口さんは最初とっつきにくい人だと思いました。」 会社の女性スタッフに最近言われた言葉です。 僕は多くの方にとってとっつきやすいタイプ(自称)だと思います。 そんな僕がなぜそんな事を言われなきゃならないのか。 それは僕のせいなのです。 わざと話しかけたり目を合わせないようにしているのです。 なぜそんな事をするのか・・・ それは、僕がセクハラと思われるのを恐れている臆病者だからなのです。 スズメの…
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当番ノート 第32期
「きたー!」「着いたね!」 想像以上に登りごたえのある道を登り終えて、 私たちは衣張山の山頂にたどり着いた。 山頂からは、海と山に囲まれた鎌倉の街が見渡せて、 歴史の授業で鎌倉は攻められにくく守りやすい地形だと習ったことを思い出す。 山には深い緑色の木々がこんもりと広がっている。 海と空は淡い群青色で、どちらも似た色をしているから、境界線が曖昧だ。 空には白い雲がふんわりとたちこめていて、雲の切れ…
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当番ノート 第32期
大学2年生の夏休み。 神戸から東京へ走って帰ろうとした。 そこに比喩とかはなくて、走って帰ろうとした。 荷物はハードカバーの本が入らないくらいの小さなリュック一つ。 中身は、スマホの充電器と 何万円かチャージしたSuica、財布 それと、Tシャツとランニング用パンツ ほとんどノープランで、 なんとかなるかなあと思っていた。 結論から言うと、そんな甘いことはなかった。 神戸から三重県伊賀市で諦めた。…
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当番ノート 第32期
あれだけお稽古したはずなのに、やはり白い紙に向かうと、恐い。それは自由に書けばいいと言われているようでもあり、と同時に、見えない罫線が張り巡らされているようにも見えるからだ。せっかく作品のアイディアが浮かんできても、いざ紙に向かって筆を入れてみると、それは見るに耐えない字だったり、思い描いていたものとは全然違ったりする。せっかくのアイディアは、その瞬間に墨の泡となって消えてしまう。 もっと、思い描…
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当番ノート 第32期
おひとりさま、にいつから慣れていただろう。 私が物心ついた頃には、ウチには母親しかいなかった。父親がいることは知っていたし、たまに会う事はあったけど一緒には住んでいない。そんな状況を、今思えば子供ながらどう捉えていたのかは、よく覚えていない。母は普段仕事に出ていて、日が暮れてから自転車で帰ってくる。ブレーキの音で母親が帰って来た事に気づく。薄暗い家に響くブレーキ音を、今でも何となく覚えている。兄が…
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当番ノート 第32期
妻に草間彌生展に誘われました。 草間彌生展なんて、ミーハーなやつらがデートするか美術かじった難しい顔してるやつらでどうせ溢れてて、パシャパシャ写真撮りまくってるだけなんだろ! 自分は集中力も無いし、興味もないし、とうんたらかんたら言ってたら、 心が荒んでいると心が狭くなるらしいよ、と妻に諭され首を掴まれた犬状態で六本木へ。 さて、芸術やアートの事は歴史も鑑賞方法も全く分からないし、そもそも草間彌生…
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当番ノート 第32期
翌朝、目を覚ますと部屋に寝ているのは私だけで、横に並んでいる布団はみんなきちんと畳まれていた。 どうやら私が一番の朝寝坊らしい。 布団をめくって、うーんと背伸びをする。 障子から差し込む朝の光が心地よい。 今日もお休みで、気ままに過ごせる1日なのだと思うと嬉しくなる。 連休が取りづらい仕事で、夏以来連休が取れていなかった。翌日仕事だと思うと、休みの日でも気持ちが安らげなくて、いつも疲れていたような…
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当番ノート 第32期
頑張れっていう言葉はあんまり好きじゃなかった。 頑張っている人には頑張れなんて言う必要はない。 頑張ってない人にだけ言えばいい。 だから、頑張れという言葉は 「頑張ってないように見えるぞ」 という意味なんじゃないかと思っていた。 高校野球の応援は、今でもよく覚えている。 バックスクリーンに反射する掛け声、 グラウンドを揺らすブラスバンド。 湿気のある夏の球場にはたくさんの応援があった。 特別に野球…
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当番ノート 第32期
青山杉雨に金子鷗亭、手島右卿、篠田桃紅、石川九楊、柿沼康二… 昭和から現代まで、好きな書家の名前を挙げればキリがない。(もちろん今のパリの先生も。) 私が好きな書には、何か共通していることがあるのかなと思って、そういう視点でもう一度画集を眺めてみる。黒と白のバランス、力強さ、モダンさ、空間の取り方・見せ方、線の美しさ… どこか光があり、風が吹き抜けていくような感じがあるとこ…
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当番ノート 第32期
「30過ぎたら、年取るの早いよ〜」 最近よく言われる、この言葉。これ以上早くなったら、あっという間におばあちゃんである。 — オトナになると時間が早く過ぎるように感じる、っていうのは結構多くの人が感じているんじゃないかなと思う。小学生の頃の夏休み1ヶ月はすごーく長く感じたのに、今では1ヶ月なんてあっという間に過ぎ去っていく。過ぎ去る、という表現は何もなかったかのようで嫌だけど、その表現が合うくらい…
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当番ノート 第32期
株式会社WATは2017年5月時点で、会社設立から4期目の途中。 3年前、6人くらいでわちゃわちゃやってた頃から、今ではスタッフは約50人ほど。 (週3のアルバイトもいれて、ですが) 人が増える度に初期の頃を思い出しては色々あったなー、とか感慨深くなります。 さて、会社のフェーズに合わせ、人材も増えたり減ったりしてきました。 3歩進んで2歩下がって来たわけで、水前寺清子に見事に予言されていたと言わ…
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当番ノート 第32期
時計の針が、ちょうど夜の10時を過ぎた。 ふと囲炉裏がある方へと目を向けると、囲炉裏の火がほとんど消えかかっている。 さっきの宴会の盛り上がりから一変して、今はみんな百合ちゃんの話に静かに耳を傾けている。 「あの日はちょうど今くらいの、秋が深まりだした季節で。 ただこの時期って、台風も一緒にやってくる季節なんだよね。 天気予報では、行く日にちょうど嵐がくるって言っていて、行くかどうかちょっと迷った…
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当番ノート 第32期
2017年4月 大学を卒業して企業に就職した。 というのは僕の出会った中でも、 多数を占める同期の人の話である。 彼らとは今までと連絡の取り方や、スケジュールの合わせ方がまったく異なる。 しかし、卒業してから一カ月もしないうちに なんらかの形で集まろうとする仲である。 そんな彼らには、今までになかった持ち物が一つ増えている。名刺だ。 こんな僕でもいくつか頂いた名刺を持っていて、色んなことが書かれて…
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当番ノート 第32期
フランス人で画家であり、書家でもあるファビエンヌ・ヴェルディエのことはアトリエで知り、画家のジェジンヌ・アルプスのことは、ある日、パスの中からふと目に入った、画廊のウィンドウで知った。 ファビエンヌ・ヴェルディエについて、詳しいことは是非、彼女自身による中国滞在記であるベストセラー「静かなる旅人」を読んで欲しい。一部、涙なしには読めない箇所があり、私も書をする人間として、怒りと悔しさで涙が出た。読…
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当番ノート 第32期
アカデミー賞各賞を総なめ、惜しくも作品賞を逃しつつも多くの人々から高い評価を得た『ラ・ラ・ランド』。私も公開の次の日に映画館へ観に行き、その作品の完成度と音楽の与える力を身を以て感じる事が出来た。とにかく隅から隅までロマンチックで、でも最後の最後に下す主人公の決意はとてもリアルで、自分自身にも重ねて共感する部分が大きかった。そしてとにかく、エマ・ストーンが可愛すぎる。表情豊かで、キュートとは彼女の…
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当番ノート 第32期
みなとみらいに株式会社リビタさん運営のBUKATSUDOという施設があります。 僕達WATもコーヒースタンド運営で関わらせて頂いています。 OPENから間もなく3年、シェアスペースと聞いてナンジャラホイ?という時代からスタートし、今では横浜のコミュニティの1つを形成する素晴らしい場所になっています。 BUKATSUDOのグランドオープン時期に開催された「場をつくる選曲講座」。 第一回講義のサブタイ…
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当番ノート 第32期
「乾杯!」 ビールやチューハイが注がれたグラスがいくつも交わり、軽快な音を立てた。 おつまみやお菓子の袋が並んだテーブルを、10人ほどの男女の若者が囲んでいる。 その輪の中にりんごちゃんと私も一緒になって座っている。 輪の中にいた1人の少年が 「僕、これから料理作るんで、みなさん座っててください。」と言って、 腕まくりをして団らんスペースのそばの台所に立った。 他の人たちはみな、おぉー、さすが!と…
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当番ノート 第32期
将来の夢はプロ野球選手。 甲子園に出場して、ライオンズにドラフト1位で指名されて、 メジャーリーガーになる。 ありふれた、子供らしい夢を持っていた。 楽しいことと言えば、野球で活躍したときのことで 今でもスコアブックを見返すこともある。 少年野球の記憶はたくさんあるけれど、毎年4月頃に西武ドームでキャッチボールをしていたことをはっきり覚えている。 小学校に入学する前からチームに所属していた僕にとっ…
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当番ノート 第32期
去年の夏に、スリランカへ二週間、そしてモルディブへ一週間滞在するという、文字にするとまるで夢みたいな旅行を夫とした。 そもそも、どうしてスリランカ、モルディブへ行くことにしたかというと、何を隠そう、それは私の父のせい、父版「鶴の一言」のせいである。私の父はいろいろとマニアックな研究をしているのだけど、まず、その研究テーマ不動の地位に、中国、チベットがあるとして、その流れからここ数年は仏教、そして自…
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当番ノート 第32期
※「じゃない」のイントネーションに注意 — みなさんはより安い物を選びたいですか? そりゃ同じ何かを買うなら、より安いものを手に入れたいと思うし「格安」とか「お得」とかそんな言葉に目がいってしまう。お金は出来るだけ使いたくないし、無料より安いものはないってよく言うし。私もそこまで裕福なお家ではなかったので、というより母から「うちはビンボーだからね」と教え込まれて育った故(多分母の戦略にまんまとのっ…
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当番ノート 第32期
スタッフからこんな相談を受ける事があります。 人と上手くしゃべる事ができない、どうやったら話が盛り上がるのか、と。 僕は言います。 「合コン「さしすせそ」を使いなさい」ドヤッ 男性を褒めるためのマジックワードである、合コン「さしすせそ」。 それは何も合コンテクニックに限った事ではないのです。 <合コンさしすせそ>ーーーー さ:さすが! し:知らなかった! す:すごい! せ:センスいい! …
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当番ノート 第32期
その日は、すっきりしない天気の日だった。ぼんやりとした色の空で、少し雨が降り出しそうな気配がしていた。 でも鎌倉って晴れ渡った快晴の空よりも、こういうぼんやりした色の空の方がしっくりくるのはなんでだろう。 私はそれまで乗ったことのない湘南モノレールに乗って、聞いたことのない名前の駅へと向かっていた。 その駅に到着して降りると無人改札だったので、本当にここで降りても大丈夫なのか心配になる。 改札を出…
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当番ノート 第32期
僕はどこかに出かけた帰りの電車で決まって先頭車両に乗る。 先頭車両ではなくて、最後尾でも構わない。 とりあえず、一番端っこの車両に乗るようにしている。 そうするようになったのはいつだったか忘れてしまった。 それでも、どの電車が最初だったかは覚えている。 大学に通うために利用していた西武新宿線だ。 西武新宿線の終点は西武新宿駅。 帰宅のための40分ほどの乗車時間はできれば座りたい。 そう思って空いて…
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当番ノート 第32期
学生の頃、アメリカ人やイギリス人のネイティブの先生に、最初の方の授業で、先生に何でも質問していいと言われると、「好きな日本語の言葉は何?」と質問するのが好きだった。 違う国から来て、私たちの国の言葉を、ある種私たちが持っていない特別なフィルターを通して覗いた場合、それはどんな風に聞こえるのだろう、どんな意味合いを持つのだろうと思った。だから、今でも覚えているけど、「意味はまだしも、自分は « ワガ…
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当番ノート 第32期
いよいよ3回目。そろそろ書こう、音楽のこと。 ひとまず言いたい事は、タイトルに書いた通り 音楽が一番苦手って話。 — –私は曲を作るのが苦手です。 そもそも作曲という事も大した勉強はしたことがなくて、知識が乏しいという要因もある。最初の頃はそれでも、自身から出てくるメロディーは全て”オリジナル”だと思って、それを形にして披露する事に意義を見出していた。もちろんだけど、インプ…
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当番ノート 第32期
どんなお仕事されている会社なんですか? 僕が名刺交換の時に質問されるNO1頻度のセリフです。 「飲食の会社です。店舗運営とプロデュースをしている会社です。」 と僕は答える事にしています。 僕は株式会社WATという会社で働いています。 未だにWEBサイトも無い(ずっと製作中)謎の組織なのです。 (注:ちゃんとした会社です) 僕は、大学は建築学科出身、新卒で建設コンサルタント会社に入社し、在職中に一級…
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当番ノート 第32期
鎌倉に行く前にちょっと寄り道して、私の旅する理由と、旅にはまったきっかけについて少し話をさせてほしい。 人が旅をする理由。それって色々あると思う。見たい景色があるから。憧れの土地だから。なんとなく。 私が旅する理由の一つに「ゲストハウスでの出会いに惹かれるから」というのがある。 ゲストハウスで、お互いに交わるはずのなかった人生を送っていた者同士が出会い、同じ部屋に泊まる。それってすごく不思議で…
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当番ノート 第32期
今回は「秋の蝉」について、 エッセイを書こうとしていた。 が、季節感もなく自由すぎる。 いかがなものかと悩んでいたところ、 雷が鳴った。春の雷である。 飛行機が墜落してきたかのような あまりにも大きな音だった。 春に大きな音の雷がするなんて、 どこか雰囲気のある呼称があるに違いないと思う。 「春 雷」 と、検索してみた。 結果は 「春雷・春に鳴る雷のこと」 結局、それを見て、 僕は「秋の蝉」につい…
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当番ノート 第32期
日本の芸術は、茶道でも華道でも柔道でも合気道でも剣道でも、そう。「書道」とは書の道であり、その道のりはひどく長い。一生勉強である。A long way to go. 十年勉強しても、まだ、赤ちゃん。前に、フランス人で合気道の大家と話したことがあるけれど、彼自身も、文字通り、いい具合のおじいちゃんなのだけれど、「自分の腕ではまだまだ日本の先生には認めてもらえない、ほんとうに長い」と苦笑しながら話して…
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当番ノート 第32期
恐らくどんな人だって気づいている ” CDが売れない時代 ” 理由はたくさんあるだろうし、”時代の流れ”ていうくらいの必然性があったのかもしれない。 でも、そんな世の流れに反して私は今、新しいCDを作ろうとしている。 それは何故か。 — 前回、初めてのCDを作った話をしましたが、この秋再びCDをリリースする為にいよいよ動き始めた。とは言え、昨年末からライブ活…
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当番ノート 第32期
「県人会」という言葉をご存知でしょうか。 同じ出身の県・地域の人たちが集まって飲む、そんな会が東京では行われているようです。 ぼくにとって県人会は崖の上に咲く一輪のきれいな花、青春の残りカス、つまり「憧れ」です。 僕は幼い頃、引越族でした。 理由は父親の転勤です。 県人会やってます!地元サイコー!系のSNS投稿はいつでも羨ましい。 僕は県人会参加のパスポートを持っていない、そんな気持ちになるのです…
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当番ノート 第32期
きっとひどく仕事に疲れていたんだと思う。あの時のことを振り返ると、そう思う。ただ、その時の感覚は、仕事そのものに疲れていたというより、仕事を取り巻く閉塞的な空気に長くやられているという感じで、だいぶ自分を殺してきた期間が長く続いていた。でもそういう時こそ、かすかに残っている感性とか自分らしさみたいなのが、これだと思うものに強く反応する。 普段テレビなんか見ないんだけど、なぜかあの日はつけていた。…
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当番ノート 第32期
「位置について」「プレイボール」「キックオフ」 多くのスポーツに存在する始まりの合図。 その合図の後にいくつもの物語が生まれる。 「On your marks」 それはトライアスロンの始まりの合図。 スイム・バイク・ランの三種目を連続して行う競技。 ある人には過酷と言われ、 ある人には絶対にやりたくないと言われるスポーツ。 それなのに、トライアスロンに魅了される人がたくさんいる。 僕もそのうちの一…
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当番ノート 第32期
今でも時々、自問してしまう。私は会社員だったのに、気が付くと書道漬けの日々。Facebookでしか私の近況を見ない友達には、より一層訳が分からないことだろう。『どうしてまりちゃんはこんなことになっているのか』と不思議がらせているに違いない。その辺のみんなよく分からない、気になるところをクリアにしたい。今に至った経緯について書いてみようと思う。 ちなみに私の書く文章は、長いというかしつこいというか、…
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当番ノート 第32期
うたを作って、歌っています。どうも、アパートメント第32期火曜日担当のアワウダミズハです。 「何を書いてもいいんだよ」と言われ、ぐるぐる考えて締め切り前日。プロフィールは別であるけど、折角こうやって書く場を頂けたので色々とアワウダの中身を知ってもらえたらなんて厚かましく思っております。 まずはアワウダミズハの始まりから。 — 歌う事を始めたのは、なんて決まった事はなく大抵の皆様と同じよ…
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当番ノート 第32期
僕の今まで培ってきた知識を文字に起こせば世の中のためになる! だから文字に起こして披露したいんだ! そんなプレゼンをアパートメント編集長の鈴木さんに話した記憶があるのですが、後から考えますと世の中にどれほどの役に立つ知識が自分にあるのだろうか?と、なんであんなこと言ったのか不安になってきて、何を書いていいか分からなくなってしまいました。 その後、5周くらい考えた結果、もっと何を書いていいのか分から…