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当番ノート 第1期
今日は暖かかった。 久しぶりに鴨川にいってたっぷり陽にあたってきた。 辺りいっぱいにサンバが鳴り響いている。いつも数人の若者たちが太鼓やら鈴やらを持ち寄ってはこうやって鴨川で打ち鳴らしているのだ。 春の鴨川に地球の裏側の音が鳴っている。 鴨川は鴨川と言うだけあって、本当に鳥が多い。 シラサギ、アオサギ、トンビ、ハト、オシドリ、スズメ、ホオジロ、カラス……数えだすとキリがないが、とにかく始終そこらを…
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当番ノート 第1期
未だに別れというものにはまったく慣れない。 それがどんな環境であれ、どんな一年であれ、別れというものが年に二、三回はあるもので、いい加減に別れに対する所作をスマートにこなせる大人になりものだが、こんな時いつも僕はまったくもって頭も感情が追い付かないのだ。 だから結局今も何を書いていいものか考えあぐねているのが現状だ。 ここでコラムを書かせていただいたこの二か月間、回を重ねてコラムを書いていくほどに…
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当番ノート 第1期
あの夏がなかったら、僕はダメなオトナになっていた。 あの「熱い」夏休みが、もし、なかったら。 人生の中での分岐点っていうのがあって、きっと誰にでもあって、 そう、ターニングポイントっていうやつ。 僕の場合、そのターニングポイントの最初で最大のものは小学校4年生の時に訪れた。 のび太みたいな子供だった。成績は中の下、リコーダーもドッヂボールもダメ。図工だってへたくそだった。 1年生からずーっとダメな…
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当番ノート 第1期
夕方、ふと仕事をする手を止めて窓に目をやると、 鮮やかに燃える夕日と、赤く染まった雲が向かいのビルのガラスの壁に映し出されていた。 それに気がついたボクは、席を立ち自動販売機の休憩スペースから眼下に広がる新宿の街を見下ろした。 街は夕日の赤と陰のグレーの二色に染まっている。美しくてどこか物悲しい。 その赤い風景を見ながら、実は自分が今見ている向かいのビルの後ろでは 世界が地面から崩れ落ちている、そ…
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当番ノート 第1期
素直に、さみしい。 こちらに入居させていただき二ヶ月、早いものですね。 週の当番ノートを書き続けられるのか、綴れるかどうか、不安だったのだけれど(笑) 漠然と、表現力を身につけたいと感じた三十代。 巧く話すと云うよりも、あたまの中に在ることを的確に伝えたいという欲求が突如として現れる。 脳みそがイメージすることを、そのまま現せる人を天才と呼ぶのだそうだ。 邪な思いではなく、格好よくでなくて、話すこ…
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当番ノート 第1期
音のない環境が欲しい。最近ふとそんな事を思った。 話し声から環境音にいたるまで一切を遮断した完全なる無音空間。 考えてみれば生きていくうえで人はとても多くの音に囲まれている。 一番無音に近い自分の部屋の中でさえ、換気扇、冷蔵庫、かすかに聞こえる車の音など少し耳を傾けてみるだけで様々な音がしているのが解る。 もしたとえ両手で耳を塞いだとしても、その手の中では己の体の活動する音が地鳴りのように響いてい…
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当番ノート 第1期
1+1=2 自分は1978年9月10日に生まれた。 ライオンはネコ科の動物である。 3月の次は4月である。 オリンピックは4年に1回やってくる。 これは「知っていること」。 木から落ちたら痛かった。 恋をするとウキウキする。 去年の9月にもらった梨はおいしかった。 手にすくった雪の嗅いだら夕立の雨の匂いがした。 部屋は多少散らかっていたほうが居心地がいい。 これは「本当に知っていること」。 先日、…
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当番ノート 第1期
いつもよりちょっとだけ早起きをして アラジンの石油ストーブに火をつける。 バリエッティでコポコポ淹れたエスプレッソをたっぷりの牛乳に注いでから テーブルの上の朝刊を広げる。 端から順に目を通している間に息子がもしゃもしゃの頭で起きてくる。 「おはよう」「ん、あ、おはよう」 しばらくすると娘がまだ幼い時の面影を残したような顔でリビングでくつろぐ犬に寄り添う。 「おはよう」「おはよぅー」 「パン、焼こ…
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当番ノート 第1期
高円寺に越してきて早いものでもう1ヶ月。 この街に来てからというもの、ボクは他の街で服を買っていない。 社会人になって東京に来て間もない頃はよく古着を買っていたのだけど、 古着好きは今も変わっていないみたいだ。 今日も古着のカーディガンを買ってきた。 紺地にボタン部分が黄色の、合わせが逆のカーディガン。 レディースなのだろうかと店員に聞いてみると、 80年代のものだとメンズでも個性を出すために合わ…
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当番ノート 第1期
大気の匂いが変わってきた。 まだ寒い日もあるけれど、からだで感じる春のおとずれ。 お隣の杉山さんが云う通り、春は気持ちが不安定。 山の木々たちの緑が淡い色になりわくわくドキドキだったり、いたずらに雪が積もってみたり吹き飛ばされそうなほどの風が吹いたり。 からだはこころ次第だと考えているのだけど、この季節はときに逆転してしまう。こころがからだに転がされている。 そうそう、鼻のはなし。 ニオイフェチ。…
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当番ノート 第1期
引越後、なかなか片付かなかった家ですが 本日やっと収納がやってきました。 これで本が出せる。 ということでさっそく組み立て。 やはり、収まるところに収まるというのはきれいですね。 – 全然話が変わりますが、3/14、入籍をいたしました。 別に年貢を納めたわけではありませんが、 学生時代から10年近くお付き合いしたり、しなかったり(?) という彼女とです。 役所では、 「小栗旬さんと一緒…
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当番ノート 第1期
オリジナル曲二曲目も要約形ができはじめ、これでようやく軌道に乗るなと胸をなでおろしている。 最近ことさら強く思うのだが、何かを作るというのは己のイマジネーションとのあくなき闘いではないかと。 閃きを具現化 説得力を持たせるには経験値 頭を動かせ 腕を止めるな 終着点は見えているか? そこに載せられるべき言葉と音とそれらに嘘はないか? 誰のためじゃない。 己のための自己満足の集大成を求めて戦う、戦う…
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当番ノート 第1期
東日本大震災から一年が経った。 震災のあと、2つの記憶が残った。 一つは「祈る」ということ。 もう一つは「歴史」について。 震災の直後、実家にかけてもかけても電話が繋がらなかったあのときの気持ちは生涯忘れることはないと思う。2日目にやっと繋がったときのあの安堵感も忘れないだろう。 電話が繋がり、安否の確認ができるまでの間、ただただ祈り続けていた。 何も為す術がないとき、それでもなにか為さねばいられ…
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当番ノート 第1期
あれ? 今は夏に向かってるんだっけ? それとも冬に向かってるんだっけ? 今日みたいな中途半端な気温の時に起こる さかさま季節。 こどもの頃からそう呼んでる。 さかさま季節。 さかさま季節は夏でも冬でもない微妙な季節に起こるんだ。 このさかさまクンは馬鹿に出来なくって、 ちょっとした気分の揺れに影響しちゃうから。 うきうきの気分の時はコロコロ可笑しくって、 沈んだ気分の時はあれよあれよと不安になる。…
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当番ノート 第1期
風呂につかりながらtobaccojuiceの「ママ」を聴いていると、 いつのまにか0時をまわり、13日になっていた。 ボクは本日13日をもって30歳になる。 時というのはゆっくり流れているようで実にあっという間で、 ちょっと前って思っていたことが実は数年前のことだったりするのである。 そういえばtobaccojuiceをCDを誕生日プレゼントにくれたあの子とも何年も会ってないんだななんて思っていた…
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当番ノート 第1期
まったくもって、足腰が衰えている。というより、明らかな運動不足。鈍っていることが否めない。 先週の当番ノートを書き上げた後に上京したの。 スーパーひたちに揺られ、山手線、井の頭線、井の頭線、山手線。恵比寿のホテルに。 すてきな30周年のパーティで、賑やかに華やかに。400名のご招待、すげ。 とても愉しい会食でした。 去年、ガウディがお世話になったよしさん家族にもお会いでき再会を嬉しくかみしめて。 …
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当番ノート 第1期
東日本大震災から今日でまる1年がたちました。 皆さんの中では“まだ1年”でしょうか。 それとも“もう1年”でしょうか。 3.11から僕の中で変わって、心がけていること。 それは 「会いたい人には 会いたい時に 会っておこう」 ということです。 少し昔話をしますね。 僕は親の仕事の都合で全国を転々とする転勤族だったもので 小学校には3つ、中学校には2つ通いました。 子どもの頃の転校というのは本当に一…
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当番ノート 第1期
ぶしゅんっぶしゅんっとくしゃみが止まらないのは多分、誰かの噂話のせいではないのだろう。 ちょいと前にはやったインフルエンザもどこ吹く風の健康体、今更風邪を患った訳でもない。 着々と季節が変わろうとしているのだ。 世間も人も忙しない、変化の波はさながら打ち上げられた白球のごとくきれいな放物線を描きな がら思うよりも早く押し寄せる。 僕はと言えば心も体もまったくもって不用意で、今日がもし何かが変わる開…
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当番ノート 第1期
冬が本当に心から嫌いだ。カマキリの次くらいに嫌いだ。 冬が好きです、という人などいるんだろうか? まぁ、いるんだろうけれど。 先日『皇帝ペンギン』というドキュメンタリー映画を観た。 ペンギンは大好きだ。けれどもペンギンの気持ちは察しかねる。 外敵が少ないからという理由で極寒の地にそうやって突っ立っているのか、君たちは。 殴られても蹴られても、僕は常夏の国がいいなぁ。 今度うまれて変わったら常夏の国…
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当番ノート 第1期
5階のエレベーターのドアがゆっくりでもなく、早くもなく、そういうスピードで 閉まるあいだ、ゆうちゃんはずっと僕に向かって頭を下げていた。 身体に気をつけてな、って皺だらけの笑顔を向けた後で。 昨日は半休を取って、ゆうちゃんのお見舞いに行った。 今年はじめて春らしい暖かい日だった。 病室にひょっこり顔を出すと、一回り小さくなった姿でベッドの上に正座した。 もう何年も会ってなかったから何となくバツが悪…
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当番ノート 第1期
最近雨続きなのでなかなか思うように洗濯もできない。 でもなぜだろうか、雨の日って全然キライじゃない。 植物を育てている人でもないので「恵みの雨や!」とか言うつもりもないし そう思うわけでもない。 ただ、しっとりとした空気だったり、水の跳ねる音だったりが すっと深いところに入ってくる感じがしてとても心地よい。 雨の雫が落ちる姿を見ながら、雨の雫が水たまりに落ちる音を聞きながら、 日本酒なんか飲んだら…
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当番ノート 第1期
あたりまえ。 日常は変わるはずがないと、何の不安もなく過ごしていた。 いわきは東北地方だけれども、温暖で暮らしやすい。 台風も福島沖に逸れる。天災は少ない土地。 雪が積もった日は、交通網は麻痺してしまう。目的地にたどり着くのはいつもより倍くらい時間を要す。のは大げさではない時もある。 そんな雪の日の夜には人っ子一人歩いていない。のは嘘。 閑古鳥が鳴くのは、ほんと。 うみとやまに囲まれた、うつくしま…
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当番ノート 第1期
何かの雑誌でちらっと見た、 「世界人口100億の時代」というワード。 僕らが学生の頃に習った世界の人口は60億人でしたが 今の子どもたちは70億人と習っているそうです。 100億なんて、意外とすぐなのかもしれませんね。 物事は増大する方向にしか進まないのでしょうか。 国内市場は飽和状態。更なる成長を求めて世界へ…、とか。 そうじゃない方法って、ある気がするんだけどなぁ。 活動の単位が大きくなってし…
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当番ノート 第1期
この一ヵ月間、全てを一人でこなすという自分でも途方もなく思うような作業を目標に掲げ、 加えて何も解らない状態からスタート。 慣れないソフトを扱い、頭をかきむしりながら 「ああでもない・・・こうでもない・・・」と呟く姿はさぞ滑稽に映っていたに違いない。 完成度という意味においてはまだまだ至らず、聞き苦しい点など多々あるものの、 やっとの思いでバンド解散後初の自分の作った「曲」と言えるものの原型ができ…
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当番ノート 第1期
ここ何日か目覚めがはやい。 朝というよりはまだ夜の、陽が昇り出すにはいくぶん早い時間に目が覚めてしまう。とりあえず着替えて、朝食を買いにコンビニへ行くのがここのところの日課となっている。 空が白みはじめる前のひと時は、地球のいちばん静かな時間だ。 すっかり宵っ張りになってしまい忘れてしまっていたが、僕は一日の中でもこのひと時が大好きだった。部活をしていた学生の頃は、よくこの時間を選んでランニングを…
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当番ノート 第1期
ふたりの写真展「apart」に行けなくてごめんね。 最終日に顔出す予定だったんだけど突然の不幸な便りが舞い込んだりして行けなかった。 僕がふたりと知り合ったのは、この写真展でも数多くの写真が見られたであろう 東北の仕事が一緒だったから。 僕にとっての東北の仕事は単に手伝いで、バイトみたいなものだった。 クリスマス休暇を利用して東北での撮影の3泊。 誰とも友達にもならずに、話すこともなく終わっても不…
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当番ノート 第1期
今の新しいアパートに引っ越してから2週間目。 相変わらず部屋は片付かないけれど、新しい家から新しい会社のビルへの通勤にも慣れてきた。 高所恐怖症だから絶対やばいと思っていたエレベータにも大分慣れてきて、今週に入ってからはほとんど何も感じない。こうやって文章に綴って改めて冷静に見てみるとなんとなく恐ろしい。慣れは人間の感覚を鈍化させる。 そう、慣れというのは本当に恐ろしいと思う。 IT技術においては…
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当番ノート 第1期
こんな時がたまにおとずれる。 決して望んではおらんのだが、致し方ない。 兎にも角にも繋がりが鈍いのだ。 今回もいちばん近いことから始まるわけで、iphoneが反応しなくなる。 秋にホームボタンの不調で新しいものに替えていただいたばかりで、まだまだ壮年期。 だのにだのに、勝手にvoiceoverがオンになり電話すらかけられない。 パスコードの解除ができず。 Faxが送信できず、itunesから音が出…
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当番ノート 第1期
最近よく耳にするダンシャリという言葉。 周りの会話にも「あ~ダンシャリだよね」と適当に交ざっていたのですが モヤっとしか意味は知りません。捨てる、とかそういうこと? 言葉の感じからするに、「デラックスなご飯!」 「ほうら、米粒が立ちます!」(ドヤ顔)みたいな風に感じていました。 僕がmottoとしている「守破離」に似てるな、くらいの認識です。 - さあ、いよいよ今週末は引越。 平日でも少しずつ作業…
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当番ノート 第1期
製作中の音源をアップします。 high up in the sky まずは上の「high up in the sky」をクリック。
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当番ノート 第1期
先日、市内のビルの最上階から洛北の山並みを見ていたら、不意にあるイメージを思い出してしまった。 以前、といってもずいぶん幼いころの記憶。 実家の二階の窓から見える山の向こうには雲の工場があって、どこからか連れてこられた沢山の子供たちがそこで雲作りをさせられている。いつも山向こうから雲が起こるのはきっとそこに工場があるからに違いない。 誰に言われたわけでもなく、なぜかずっとそう考えていた。 山陰の暗…
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当番ノート 第1期
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当番ノート 第1期
ここ数日は朝の眩い日差しで起きている。 ・・・カーテンがないんですね。はい(笑) 今回引っ越した家はなんとも窓の多い家で、擦りガラスの窓から明るい日差しが差し込んできます。 今は冬だからちょうどいいくらいの時間帯に日が出てくれるので目覚まし代わりにはちょうどいいわけです。 ・・・なんて結局カーテンを買いに行く時間がとれていないだけなんですが、ね(笑) でもそのおかげか実際ここ数日気持ちのよい目覚め…
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当番ノート 第1期
下弦の日に…月に書きはじめます。 入居者の方々はとてもすてき。 週を重ねるごとに、思いを馳せる。 いつか、アパートメントで集いたい。 余談だけど、いま夫にアパートメントの方たちはみな伝えるのが上手なんだよと話すと、 何を伝えたいかでうまく書かなくたっていいじゃないかと、直木賞をとるわけじゃなしと どや顔で云いはなった。ほくそ笑んでいやがる。 大事なことなのは、頭ではわかっていた。 生き…
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当番ノート 第1期
こんなタイトルで、さぞアーティスティックな内容を期待された方。 残念でした。物理的な嗅覚の話です。 先週一週間、僕はインフルエンザまがいの風邪で倒れておりました。 生来のアレルギー性鼻炎で、いつの頃からか「匂いがない生活」を続けておりましたが この風邪を機に(?)、なぜか嗅覚が復活したのです。 いや、ほんとになぜだ? 人体のフシギ。 そんなわけで毎日いろんなものをクンカクンカして暮らしています。 …
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当番ノート 第1期
環境が己を作る。とは誰の言葉だったろうか? 僕らは日々変化している、記憶から細胞に至るまで同じものは一日たりとてない。 だとすれば人一人の人生を一本の筋道だった線として形成させているパーソンは本人の中になどは存在していないのだろう。 少なくとも僕には、人は己の中に己を見いだせない生き物であるように思える。 以前、僕はとある町はずれの木造二階建て、五畳半のアパートで一人暮らしをしていた。 隙間風に凍…
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当番ノート 第1期
マザーグースの歌にこういう歌がある。 おとこのこって なんでできてる? おとこのこって なんでできてる? かえるに かたつむりに こいぬのしっぽ そんなもんでできてるよ おんなのこって なんでできてる? おんなのこって なんでできてる? おさとうと スパイスと すてきななにもかも そんなもんでできてるよ (訳:谷川俊太郎) 考えすぎて思いがドウドウ巡りになってしまい、出口が分からなくなってしまった…
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当番ノート 第1期
今日みたいな中途半端な季節は一年の間に何度か訪れる。 真冬は終わりに近づいているし、だけど春にはまだまだ遠い。 先週からシベリア上空から強烈な寒波が来ているらしく今年は雪の日が多い。 けれど、今日はパーフェクトに晴れている。 アパートメントの屋上からは青空に飛行機雲がストレートに伸びて行くのがよく見える。 さっきから紙飛行機の翼を調節しながら、リタとルチェがひなたぼっこをしている柵を超さないギリギ…
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当番ノート 第1期
ボクには、数年前から憧れに憧れている人物がいる。 彼は世界的に有名な音楽家で、奏でる音楽は、荒々しくて、優しくて、とても素直で誠実だ。 歌詞やいろんな映像を見ながら思うのだけれど、 彼は、とてもシャイで不器用な人間なんだろうなと思う。 発する言葉はときに端的で、いろいろな誤解を生んでしまいそうで、 いろんな事柄に心を揺さぶられては、悪く言えばブレにブレているように見えるかもしれない。 でもきっと彼…
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当番ノート 第1期
さて、こちらの洋館に入居させていただいてから早いもので一週間。 ぱたぱたと時間が流れてゆく。 料理屋の仕込みに追われ、いや全く持って追われてはいないのだがそういうことにすることにする。 まだ誰にもお会いしてないのだけれど、 右隣の杉山さんは玄関のドアが閉まるところをお見かけした。 お姿はまだ。残念。 お隣ということもあり、いろいろ、ニオイやうるさくないかとか諸々、気に留めている。 我が家は夫を筆頭…
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当番ノート 第1期
偶然にもこのアパートメントへの入居と機を同じくして 僕自身も引越をすることになりました。 何のことはない、距離にして2.5kmくらいしか違わない 隣の駅に越すだけなんですけどね。 昭和の匂いが満載のレトロマンション。 夕方に家の内覧に行った時、遊歩道を通る風の感じや 最上階の窓から見える夕日がとてもきれいだったのを見て 「ああ、これはビールがうまいわ。絶対。」で、決めました。 僕も含め、田舎から出…
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当番ノート 第1期
目覚ましいテクノロジーの進歩はいつしか我々をも進化させうるだろうか? 僕の幼い頃は携帯電話なんてなかった。 パソコンも一家に一台普及していなかったし、CDよりもカセットテープが普及していた。 こんな事を書いていると途端に自分が随分と年老いてしまったように感じる。 まだ若いがそれでも多少年を取った。 少なくとも人生を悲観しながらぼんやりお酒を飲めるぐらいには。 だがこの明け方の浦島太郎のような心持は…
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当番ノート 第1期
目覚めてからなんだか落ち着かない。 部屋にいても落ち着かないので外に出る。本屋、レコード屋、スーパー、と歩いて昼になり、来たことのない喫茶店を見つけて入る。窓側の席に着くと朝からのそわそわが急に止まった。なんだ。この席に座りたくて落ち着かなかったのか、と自分のお尻を見る。 自分の居場所を求めてさまようお尻。 この小一時間、お尻に街を歩かされていたということだ。 たまたま電話があって落ち合った友人と…
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当番ノート 第1期
このアパートメントの名前は何だったっけ。 たぶん、名前なんてどうでも良かったし、実際名前は必要とされていない。 僕の中での「名前」の優先順位はいつだって低いのだ。 この古い洋館みたいなアパートメントに引越してから今日でちょうど一週間が経つ。 一階には管理人のショートカットのちょっと美人の踊り子が小鳥と暮らしている。 いい響きでしょ、ことりとくらすおどりこ。 踊り子さんはいつも肩にヒヨドリを乗せて庭…
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当番ノート 第1期
ボクは今、家の荷物を段ボール箱に詰める作業の合間を見計らってこの文章を書いています。 もうすぐこの慣れ親しんだアパートの一室から引っ越して、新しい街で新しい生活を始めるのです。 ・・・っとあたかも田舎からはるばる上京するような口ぶりなのだけど、 実のところはというと会社のお引っ越しに合わせて近くに引っ越すというだけ。 こんな機会だからと、昔から住みたいと思っていた土地に物件を決め、 楽しみなことこ…
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当番ノート 第1期
アパートメント兼ギャラリー。 青山通りを外国産の車で闊歩。 じぶんの店を構える。 この三つが二十歳になるまえに構想、否、妄想していたこと。 かおりさんとはるちゃんから入居のお誘いがある少し前に、ふと思い出したのである。 記憶の中から甦った貧乏学生時代の夢。 少年よ大志を抱け。 大志かどうかも定かではないけれど。 妄想でも空想でも絵空ごとでも、 思い描くことは真っこと大事なんだと、今さらながら。 安…
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当番ノート 第1期
先日、学生時代からの友人が奥沢の喫茶店でライブをする というので久しぶりに一人でいってきました。 ライブというには小さすぎる、ギターとピアノの弾き語り。 急な出演で告知も充分でなかったらしく、お客さんは十数名程度でした。 お客さんは彼をよく知る方ばかりで、 終始あたたかなムードでライブは終わりを迎えました。 いろんな音楽プロデューサーと呼ばれる人たちから声をかけてもらって デビューする、しないとい…
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当番ノート 第1期
また二日酔いだ・・・。 というより今、いったい何日酔いなのだろう・・・。 安酒を来る日も来る日も浴びるように飲んで、時に暴れ、叫び、泣き、記憶を失くして頭痛と共に道で目覚める。 鉛のように重たい体を引きずりながらアルバイトに向かう道すがら、また思う 「俺は馬鹿か・・・」と。 去年4月、6年間苦楽を共にしてきたバンドが解散した。 理由は簡単、全員が全員と一緒に居る事にうんざりしたから。 積み上げてき…
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当番ノート 第1期
「六角堂ってここからどうやって行くんですか?」 柳馬場六角の交差点で修学旅行中らしい学生三人に呼び止められた。 京都市内で暮らしていると道を聞かれることが多い。聞かれることが多いよねぇ、と話すと「そうかぁ?」と知人。道を聞かれたことなど一度もないと言う。道を聞かれやすい人というのがいるらしい。僕はそうなのだろう。 「このまま真っ直ぐ行けば右手に見えてくるよ」言い終わるより先に指さす方へ三人は駆けて…
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当番ノート 第1期
小中学生の時代の大の親友は、高校入学するとすぐににナントカという新興宗教に入信してしまった。 信仰の自由は自由として否定するでもなく、勧誘されるでもなく、まあ、そのままなんとなく疎遠になった。 他の仲良しだった友達は、地方都市に転勤したり、結婚して遠くへ行ったりで地元には今でもやりとりする ような仲間は残念ながら見当たらない。 高校はちょっと離れた私立を選び、夕日の綺麗な港町の学校まで毎日片道二時…