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当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには。この書き出しで始まる自伝も、今回で最終回である。 本当はもっと書きたかったのだが、生来の時間づくりがヘタクソ・ぐうたら・段取り嫌いが祟り、道半ばでこの自伝が終わってしまう。それは惜しいので駆け足で書こうか、、、と思ったが、「遅い、のろま」と自他ともに思われても、わずかづつ積み重ねていくしかないとひらきなおって、前向きに道半ばでこの自伝を終わろうと思う。 一点の傑作を作るには、…
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当番ノート 第34期
突然、暮らし方がわからなくなる。 突然、歩き方がわからなくなる。 突然、あり方がわからなくなる。 そんなことがよくあるよね。 ただここに存在するだけのことがどうしてこんなに難しいのか。 ホワイ?と天を仰いで神様に祈って、空に接吻。あら、まるでパープルへイズみたい。えへへへ。つって髭が特徴的なスキンヘットの男の人に抱きしめてもらうと余計な事を考えると気が紛れてとてもいい。 最近は金の事ばかり考え…
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当番ノート 第34期
ようこそ、ようこそ。 私のアパートメントへ。 ひと夏と少しの秋の思い出をダンボールに詰めて、明日私はこの部屋を出て行きます。 (そして例のごとく、ダンボールに仕舞い込まれたモノは今後、開封されないでしょう。) この部屋では私語りとして「岐路」を振り返りました。 岐路を考えることは、自分の構成物を考えることです。 構成物を見るということは、これからのことを想像することでもあります。 最後のお話も、あ…
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当番ノート 第34期
あっという間の千秋楽 私がこのアパートメントの話しをいただき、下書きを始めた頃はまだ夏も来ていない時期でした。拙い連載期間が終わる今、百花園の庭はもう萩も終盤となり、秋本番へと移りました。そろそろ落葉もはじまります。 時の流れは速いですね、今年は特に上半期に私の結婚式・祖母の葬儀と言った冠婚葬祭が続いたので、私にとってはこの連載の話しを貰った時が今年の始まり・・・的な感覚がありました。オ…
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当番ノート 第34期
ジ・アパートメンツの”A Life Full of Farewells”。 駄洒落というつもりでも無いけれど、この連載を毎回1つの作品を取り上げる形で書き始めてから、最終回はこの作品にしようと決めていた。 ジ・アパートメンツはピーター・ミルトン・ウォルシュというシンガーソングライターを中心に、オーストラリアのブリスベンで1978年に活動を始めた。ザ・スミスなんかのジャングル…
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当番ノート 第34期
先週は失礼しました。 本来なら秋田での個展のエピソードから、6年棲んだ横浜のことを書く予定でしたが、絵画のコンクールの〆切があって途中でやめてしまいました。本当にごめんなさい。 一点の傑作を作るには他人との摩擦が必要だ。自分には想像もつかぬほどのスピードで走り続ける人に、伴走もしくは後塵を拝しながらでも走りもしくは歩き続けるべきだ。少なくとも私はそうだ。 2009年7月に秋田市で開催した個展はまさ…
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当番ノート 第34期
眠い。 私はいま、とてつもなく眠い。そんな片足夢につっこんだ状態で8回目のアパートメントを書こうと思う。 時代は変わり。現代人はスマートフォンという手のひらサイズの光る板のようなモノを持ち、その板はもちろんただの板ではなく、電話、手紙、CDプレイヤー、新聞紙、写真機、家計簿、掲示板…等の役割をすべて担ってくれるのでとても便利で、しかもそれはどこでも持ち運べるので電車、会社、カフェ、自宅はもちろんト…
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当番ノート 第34期
考えというのは、どこかに偏りがちなものだ。 口論になったり、排除したりされたりする。 程度の差こそあれ人の考えは偏る。それが良いとか悪いということではない。 社会の中では自分でえらんだ正解が、正解じゃないコトは多々あるし、 正解と確信するからこそ喧嘩になるし、生きにくくなったりする。 でも、他人がどう言おうと”これが私の正解だ”と何か芯になるものはあったほうが良い気がする。 それがなければいつまで…
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当番ノート 第34期
私が日本人に知って欲しい「ネウボラ」 えっ!??ネウボラってなに?って思いますよね、私もこの単語がサラッと言えるようになるまで時間がかかりました(笑)ネウボラはフィンランドにある出産妊娠子育て支援センターです。簡単に説明すると、妊婦と幼児への知識豊富な保健師さん(ネウボラおばさん)が妊娠が解った段階から就学前児とその家族の相談や定期検査をする施設です。 フィンランドの女性は妊娠した…
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当番ノート 第34期
久しぶりにやってしまった。それなりに高い買い物だったから、勢いが大事だと思って確認を怠った。 古着屋で良さげなスラックスを見つけて、試着して気に入って、ろくに値札の確認もせずにレジに直行した。黒か灰色のスラックスをしばらく探していたから、着てみた上で気に入るようなら、議論の余地はないだろうと思った。翌日、早速着て出かけて太陽光の下で見ると、どうも色味がある気がする。 不安になって「これ黒に見える?…
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当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには他人との摩擦が必要だ(前にも書いたけど)。 自分には想像もつかぬほどのスピードで走り続ける人に伴走、もしくは後塵を拝しながらでも走り、もしくは歩き続けるべきだ。少なくとも私にはそうだ。 前回は、東京の千川に移り棲み秋田の個展に向けて体制を整えたというところまで書いた。 秋田の個展は、またしても失敗であった。制作時間はたっぷりあった、実際たくさん作品ができた。それでも失敗した。原…
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当番ノート 第34期
お決まりの胃腸炎で私はだいぶまいっている。 ネガティブな言葉しか出てこないし、まだ今日吐いた大量のパスタが鼻から出てきそうで気持ち悪くてたまらず、何を食べてもだめなので薬をのんで断食している。接種するのはポカリスエット。胃が痛い時は背中もとても痛くてたまらないのでどうにか緩和しようと断食状態でヨガに行ってますますフラフラになってもう私はダメだとのたうち回って、やゔぁい。忘れていたが今日はアパートメ…
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当番ノート 第34期
同窓会は、いろいろ辛い。 大人になって集まってみると、よくもまぁこんなにジャンルの違う人たちとやってきたものだと思う。 久々に旧友と会うと、他人との境界線、”カテゴリの違い”を感じる。 (そしていつも飲んでいるメンバーが愛おしくなる。) 社会人になったら嫌いな人とは付き合わなくて良い。 会社勤めもしない私は、尊敬できない上司の言うことを聞いたり、 愚痴の多いお局の相手をするなんて人生の無駄遣いと思…
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当番ノート 第34期
適切なお節介は伝染する 私は根っからの“お節介”だと思っています。幼い頃から基本まわりにお節介な人が多く、お節介の良さと危うさが大好きで、DNAにすり込まれているんじゃないかと思う程です。道に迷っていそうな人を見たら目で追い、目が合ったらすぐ声かけちゃうくらいお節介な感じです。聞こえが良く言うと、困った人を見ると放っておけない性格。首突っ込みたがりと思う人もいるかもしれませんが・・・ そんな私…
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当番ノート 第34期
海外からのスパムメールかと思ったら、名前が読めない。だいたいスパムってアメリカのインテリみたいな名前で来るもんだけど、と思って開けてみたら、ポーランド人からのメールだった。 「お宅の国の文字読めないから、アルファベットで住所教えてくれる?注文したCD届けたいんだけど」 ああ、あれ?確かにこないだダウンロードしたアルバムは「ハードコピーも郵送」って書いてあったっけ。でもこれまで改めてアルファベットの…
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当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには、ある諦念の下で黙々と坦々と作業を積み重ねていくことが絶対不可欠だ。少なくとも私にはそうだ。 この自伝も半分が終わった。前回のテレビの大道具になったところで私はようやく30歳になった。 この第6話は申し訳ないけどあまり面白くない。なぜなら坦々としているから。坦々とようやく坦々と自分の作品に向き合えたのだ。 3ヶ月程、六本木のシェアハウスに居た、、と書くとオシャレなところにいたと…
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当番ノート 第34期
私はごくたまにライブハウスへ行きます。 特にそこまでの音楽好きと言う訳ではないのですが、大きな音を、そしてソレをひねり出す人達を見るととても愉快であるからです。しかしライブハウスは苦手です。なぜでしょう。さあ、わかりません。ここは自分のいるべき場所ではないと思うのでしょうね。とにかく苦手なのでライブが終わったら一目散で出口へ向かうのが常です。 私の信用する友人がこんなことを言っていました。「ライブ…
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当番ノート 第34期
おはようございます、こんな朝早くに会うなんて奇遇ですね。 ええ実は私、朝型なんですよ。 ほら、朝起きると得した気分になるじゃないですか。 だから私のアパートメントからお散歩に来たんです。 うす暗い朝って、冷凍庫を思い出しませんか。 ひんやりしてて、みんな黙りこくって。 それにしても、朝と夕の光って絶対に間違えないですよね。 太陽の角度は一緒で、西か東にいるかの違いなのに なんでこんなに違うんですか…
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当番ノート 第34期
自称“元プロの保育児”な私の感覚 わが家は両親共働きなので、私は生後三ヶ月から保育園に通い。小学生も学童保育に通っていた生粋の保育児あがりでした。 今は普通に保育園に通う子どもが多くなってきましたが、どうやら私達兄弟が小さい頃は生後三ヶ月から保育園に入っている子は、そんなに多くはなかったらしいです。とは言え、逆に生後数ヶ月の子を預けられる施設も多いわけではなく、無認可保育園や認可保育園等…
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当番ノート 第34期
国立新美術館でやっていたジャコメッティ展で「ヴェネツィアの女」を観た。 ジャコメッティの彫刻はこれまでにも何度か観たけれど、よくわからなかった。鰹節みたいな色の、細長い、寡黙な彫刻。煮詰めたら良い出汁が取れそうなんてぐらいの見方しかできなかった。実存主義がどうとかいう、難解な注釈を読解できなければ正体を知れない。そういう類いの芸術だと思っていた。 「試みること、それが全てだ」 回顧展という形でジャ…
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当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには、同じ失敗を何度でも繰り返す事が必要だ、性懲りもなく。少なくとも私には。 2008年春、私は六本木で路頭に迷っていた。文字通り路頭にて生き方について悩んでいた、こらからどうしようかと。六本木のあれは確か、よく思い出せないのだけど、オシャレな場所で、近未来な所で、芝生がキレイで車が行き交う道路が近くにあって車道と芝生の間の歩道で、私はこれからどうしようか迷って、一歩も動けず文字通…
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当番ノート 第34期
何故人は酒を飲むのか。 段々とだらしのなくなる表情、でかくなる声、人でも喰らったのかな?というようなワインで真っ赤に染まった唇、目は座り、ロレツは回らなくなり、ふらついて絡まる足下。話した事はもちろん、どうやって家に帰ってきたのかもわからず、鞄を開けると何故だか大量の豆。きっとあの後も何件かハシゴしてしこたま飲んでしまったのだろうなとすっからかんの財布を見て思い、誰かに迷惑なぞかけていないだろうか…
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当番ノート 第34期
ようこそ、私のアパートメントへ。 この夏は「岐路」、つまりあの時人生変わったなぁ〜と思うことを振り返っています。 岐路の思い出に再び考えを巡らせると ”新しい生き方”を模索できるような気がしています。 今日はミンダナオの文化のない場所で感じたことがテーマです。 私の経験が直接的にあなたの役には立たないかもしれないけど、 何かピンとくるものを共有できたら良いなぁ。 あぁ、そんなに急がないで。 よかっ…
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当番ノート 第34期
類は友を呼ぶって良く言いますが。私は本当にそうだと思います。 友人を母に紹介した後に「どこで知り合ったの?」と聞かれると 「友達と呑んでるときに紹介された」 「よく行く喫茶店で紹介された、今は飲み仲間」 「墨田の○○さんのイベントで知り合った人」等々・・・ よく行く喫茶店や飲み屋で知り合った人が多いんです、知り合い方が学生の頃とはかなり異なり、正に意気投合して仲良くなる事が多いのです。だから、類…
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当番ノート 第34期
大学生のある時期、とにかく朝日が見たかった。 真直ぐな水平線に浮かぶ太陽。熊本にいたときは地理的に見えなかったし、憧れだったのは確かだけど、帰省帰りの大きな荷物を抱えたまま、真夜中に何キロも歩いて見に行くほどの衝動に僕を駆ったのは、フェネスの”Endless Summer”だった。 僕が買った”Endless Summer”はオリジナルのジャケットじ…
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当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには自分の特性を知ることだ、熟知する事だ、痛みを伴うほど。特に欠点を、少なくとも私には。 2001年春に富山を出郷して丸3年が経ち、ようやく私は全てを手に入れた。作品を作るためのアトリエ(旧西塩田小学校という廃校)、軽トラ、制作資金(月収16万円の深夜のレンタルビデオ屋さんスタッフ)、住居(離れで居候)。あとは作品を作るだけである。作るべき作品は既に模型まで用意してあった。久し振り…
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当番ノート 第34期
「愛し合ってるかい?」 というのは日本人ロックンローラー忌野清志郎の有名な決め文句だが。 「愛し合っているかい?」というのはジョンレノンとオノヨーコが言う分には納得がいくが、 私達日本人にはどうも違和感があり、日常でそんなことを決め文句に使っている奴がいたら率直に言って野暮ったいし、 気味が悪いし、うざったいし、信用ならない。 なにかしらのセミナーに勧誘されるか、質問の意図がわからずに助平なことを…
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当番ノート 第34期
たかだまなみです。 ようこそ私のアパートメントへ。 多少、悪趣味なアートを飾っていますが、どうぞどうぞ中へどうぞ。 ドリンクに氷を入れて平気ですか? この夏はというと、29年間の岐路を振り返っていますが、実はあんまり気持ちの良い作業でもないんです。 思い出したくないことは、汚れて手入れの必要な靴みたいに、いつまでも放置されがちだし、 例にも漏れず私も長いこと放ってきたんです。 否、放ってきたという…
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当番ノート 第34期
地域との挨拶 まず、私が子どもの頃、30年位前の話を。 墨田区は地域と家庭の絡みが比較的、他より濃い土地柄だと思います(都会のわりに)。朝の通学路では出会う大人だいたいに挨拶を交わしながら、小学校へ通学していました。私だけでなく私の友人も同じように挨拶をしていたので、地域の空気全体が通学中の子ども達を見たら送り出す。こんな雰囲気が街に満ちていたんだと思います。子ども会も盛んで、プール旅行…
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当番ノート 第34期
運転免許を取って以来、一度も運転していない。 東京に来るまでの人生の中で、熊本の市電以外の電車に乗った回数は片手で数えるほどで、遠出するとなれば足は父の車かバスだった。僕は車社会のただ中で育った。でも東京圏の鉄道生活が長くなると、レールに沿って進んでいる安心感に慣れ切ってしまった。たまに狭い東京の街をぶっ飛ばすタクシーのお世話になることもあるけれど、乗車中も彼らの仲間には絶対になりたくないと思って…
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当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには、失敗しても何度でも立ち向かう精神が絶対不可欠だ、少なくとも私には。 2002年8月、長野県上田市旧西塩田小学校で開催された「海の向こうより山の向こう」という展覧会は、20代前半の美術大学を卒業したり・してなかったりの人たちで構成された実行委員会(私が実行委員長をやらしてもらった)が主催であったにも関わらず、21日間の会期で5603名の来場者があり成功裏のうちに終わった。どんな…
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当番ノート 第34期
ハロー エブリワン。 イェーイ! 元気ですか? 私は今どんなことを言葉にまとめようかなって、考えて選べずにいる。 いろんなことを書きたいと思うのに、気分が乗らなくて、上手にテキストにまとめられなくて、何か嘘をついて、どうにか締め切りを伸ばしてもらえないかなーと怠惰なことばかり考えている。テキストを書きたいと言い出したのは私の方なのに、本当に私はいい加減なやつ。 でもこうやって書き始めてみると、なん…
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当番ノート 第34期
このアパートメントで、私は期間限定の住人です。 ここに来たわけは、「ながれ」です。いつものことですけど。 そのうち、すぐに出て行かなくてはならないので、表札はありません。 せっかく来たんだから部屋の中も、どうぞ見て行って。 壁や床はところどころ傷んでいるけれど、良く言うと味があります。 近々ぜんぶDIYして、素敵な木目の壁に変えてやるんです。 キッチンは群青と水色のタイル張りで、清潔でシンプル。 …
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当番ノート 第34期
前回に引き続き[家族]について書かせて頂きます。 とれえず兄弟 四人兄弟なので私以外にあと三人います。兄は特養老人ホームの施設所長、弟は一般企業、妹は作業療法士、皆それぞれ面白そうな仕事に就き、めちゃくちゃ素敵な伴侶を得てます。兄弟仲もとてもよく、お正月に「隅田川七福神めぐり」の一箇所として忙しい百花園を、兄弟と各々の伴侶は子育てしつつ、仕事の休みを捻出して手伝ってくれるのです。そして正…
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当番ノート 第34期
日曜日、土砂降りのフジロックが明けて晴天だった。 越後湯沢駅から最終日の苗場へ向かう、軽装の人々を横目に帰路につく。上野で友達と別れ、まだ耳の奥でグルグル回っている昨夜の残響が消えないうちに、昨日一昨日観てきた人達の作品を探しにレコード屋に向かう。 レコード屋に入ると、誰かの対談イベントをやっていた。声の主が誰かはわからない。ヒップホップの話をしていることはわかるけれど、なにぶん疎いもので、陳列棚…
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当番ノート 第34期
1点の傑作を作るには他者との摩擦が必要だ、たとえ交流の仕方すらわからなくてもまた、その他者が交流を望んでなくとも。すなくとも私には。 新しい千年紀が幕を明け2001年、私は横浜にいた。1990年代後半、私は富山県の片隅で工場勤務のかたわら美術を志していたが東京からやってきた美術大学の学生たちと出会ったショックにより5年も勤務した工場を辞めBゼミという横浜にある現代美術の私塾に通い始めていた。 この…
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当番ノート 第34期
最近ガンジス川のことをよく考える。というか、思い出したり思いを膨れ上がらせたりしている。 カレーがテーマのグループ展に参加すると決ってから、ずっと繰り返しインドのことを考えている。 今までずっと思い出すことなどなかったのに。 例えば、毎日通っていたラッシー屋さんから見えた8〜11人くらいの男達が花や衣装で彩られた死体を担いで、かけ声を掛け合いながら運動会さながらガンガーの火葬場に向かって爆走してい…
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当番ノート 第34期
築29年のたかだまなみです。そろそろ水回りをリフォームしたいお年頃。 アパートメントで過ごすひと夏は、人生の「岐路」を思い出して過ごしています。 あなたも一緒にどうですか? 私という部屋は仕切りがなくって全部見えるし、声だって筒抜けです。 すみっこには、やりかけて夢に終わった趣味の道具や、何が楽しいか全く不明であろうガラクタが積んであります。 でも、あなたが来て、一緒のじかんを過ごせるのを楽し…
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当番ノート 第34期
今日は「家族」もしかしたら2回に分かれる気もいたしますが・・・ まずは祖母から。*百花園を主に書くので母方は今回お休みします。 百花園の七代目。江戸弁(私は違いが良く判らないのですが、どうやら言い回しが江戸弁らしいのです。)をあやつり、戦後焼け野原になり、野球場改修案が出た百花園跡地を署名を集めて再園にこぎ付けてくれた人です。大正最後の生まれ今日8月8日で91歳になる予定でした。しかし今年…
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当番ノート 第34期
「蒐集」と書いて読みは「しゅうしゅう」だが、僕は最近まで読み方を知らなかった。 「蒐」の字面から、コレクションの完成のために生活を省みず私財を擲ち、修羅道を往く鬼の如きコレクターの姿を想像して、「収集」とは別個の単語だと認識していた。実際は、殆んど同じ意味で使われている。(似たような勘違いをしたことのある人もいるのでは?)僕の場合、初めて見た「蒐集家」という肩書の人物の写真の形相がそうしたイメージ…
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当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには膨大な無為な時間とどうしょうにもない駄作が不可欠だ。少なくとも私には。 1990年後半、私は富山県の片隅にある化学工場に勤めていた。三日働いて一日休みで勤務時間は昼番・夕番・夜番と三交代で作業させ24時間、工場は操業していた。狐色した作業着を着て指示された作業をこなす仕事で、タッチパネルで配管を流れる化学的な液体を調整したり出来上がった製品をフォークリフトで運搬したりしていた。…
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当番ノート 第34期
それでも地球は回っているのだな。っと思う事がしばしある。 みなさんは松崎しげるが唄う「愛のメモリー」という曲をご存知だろうか? きっとたいていの人は知ってるだろうと思う。もし、知らない人がいたら一度は聞いてみるべきだ。 その「愛のメモリー」であるが、私の生まれる何年も前に発売された曲であるにもかかわらず、物心ついた頃には耳に馴染んでいたし、思春期に聞いてた小室ファミリーやジャニーズ音楽のように私の…
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当番ノート 第34期
私は砂漠の女である。 てりたまバーガーの卵そっくりな半熟の太陽に、パキパキと音を立てて水がとび、乾き、飢える。 砂の道には時々ごろりと頭蓋骨が転がっており、「一歩間違えばこうなるな」とあぶら汗をかく。 過酷な場所では、覚悟する人間が勝つ。 もし不意に死んでも、未練に背を向けてクールに成仏しようと心に決めた。 頑張って道を進んで行くと、オアシスを発見し、溺れるほど水を飲んで木陰で休むことができる。 …
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当番ノート 第34期
このたび火曜日を担当させていただく事になった、佐原まどかと申します。 私、佐原まどかは生まれも育ちもスカイツリーのお膝の先、東京都墨田区東向島です。仕事は向島百花園という都立庭園の中で、お土産物・喫茶販売と、園内併設の集会施設でクラス会や法事をされるお客様への仕出し料理・飲み物の提供をする自営業をしております。 一回目の今日は私の源である向島百花園の事を書かせて頂こうと思います。…