-
当番ノート 第38期
これで私の投稿は最後になります。 あっという間でした。このような自己表現の場所があるなんて、とても有り難い機会でした。感謝します。 私は(描く才能)を貰って産まれてきたのだと思います。 幼少期の事を思い出しても、社会人になって振り返っても、自然と周りに絵を描いている人がおり、絵といつもそばにいました。(絵を描け)というメッセージだったのだと今、そう捉えるようにしています。 (描く)努力はこれからも…
-
当番ノート 第38期
散歩 ただ歩く そのことで世界が変わる 自分の頭で考えてもどうしようもないこと 外に出るといろんなものが助けてくれる 風が吹き 人がいて 空が青い アイスクリームを買いにいく ヨーロッパの夕方は長い 一日が全て終わって まだ 外が明るい
-
当番ノート 第38期
ゴールデンウィーク最後の日、私は困っていた。5月の月曜日が5回あることに気づいたのだ。全8回だと思っていたアパートメントの連載が、9回ある。 「なんで最初に確認しておかないんだ……」と過去の自分を責めた。いつもそうだ。大事なところで必ず抜けている。カフェで第7回目の記事を書いている途中なのに、私の頭の中は9回目でいっぱいだった。 そうは言ってもあるものはあるんだし、残り1記事何を書こうかと、冷めた…
-
当番ノート 第38期
嘘をつく自分がそこにいる。 相手に嫌われまいと、ここで働き続けるためだと言って。いつしか僕の中のNoとYesの境界が曖昧になってゆく。そして、嘘をつくたび、僕は自分を見失っていく。浴びせられる暴言を、笑顔で、意にも介さないふりをして受け流してみる。開きなおるんじゃないよ、と言われる。どうして君たちは気が付かないのだろう。張り付けた仮面の内側に渦巻く、ほんとの僕に。 普段から嘘をつき続けるライターの…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 ・大いなる存在 目の前の途方もなく偉大な存在から目をそらすことができないまま、私はその場に座り込んでいた。 エジプトの壁画に描かれている半人半獣のような姿形をしたその人は、私の事に気づいていないはずはないのに、じっと前を見定めたままだ。 この姿はおそらく、私の主観によって作り上げられた神さま的なもののイメージな…
-
当番ノート 第38期
最後は夏の大三角の1つ、ベガが目印のこと座から。ここまでお付き合いありがとうございました。 ** オルフェウスはトラキアの王と音楽の女神の一人であるカリオペーの間に生まれました。音楽の神アポロンが彼に竪琴を与え、音楽の女神たちが彼に演奏を教えたので、やがてギリシャで一番の詩人で音楽家となりました。彼が竪琴を弾きながら歌うと、人々はもちろん猛獣や雑草までもその音色に聞き入りました。 オルフェウス…
-
当番ノート 第38期
芸術療法はカウンセリングの一つとして現在さまざまな人の力になっている。 しかし私のやってみたい芸術は子供の成長につながることだ。 療法ではなくだ。 絵画教室を始めて5年目になる。経験と気づきをどのようにして根拠に変え、必要性を伝えるのかこれから頑張ろうと思う。 可能かどうかわからない。必要なのかもわからない。しかしそういう事はやってみてからわかるものかもしれない。やってみたい。ではなくやってみた。…
-
当番ノート 第38期
わたしの働いているカンパニーでは 年に一度ドイツツァーがあります。 去年は11月から12月にかけて 5週間ドイツの街を周りました。 ドイツツァーの楽しみは何といっても 舞台後にその地のビールを飲むことです。 今日の 劇場 舞台 街を味わい ビールで締めくくる。 最高の時間です。 その中でも去年印象的だったビール達。 Mindenにて ロゴが可愛いかった。すっきりしたビール。 Neuburg で飲ん…
-
当番ノート 第38期
「人はみんな、それぞれ自分にしかできない強みを持っています。例えば『桃太郎』に出てくる鬼退治のシーン。キジは空を飛んで敵を攻撃、サルは素早い行動で相手に近づき、得意の爪でひっかく。イヌは凶暴な歯で噛みついて鬼を退治。みんなが強みを発揮すれば、チームで大きな事を達成できます」 ダイバーシティ研修の動画の中で、そんなことが言われていた。言っていることはすごくよくわかる。よくわかるからこそ、“貢献できる…
-
当番ノート 第38期
その人を、神様だと思っていた なんでも知っているようにみえた 歩むべき道を陽の光で照らしてくれた 僕を生み出してくれた いまになって気が付くとは。全部間違いだったんだ。 なんにも知らない。 照らされた道は、いやに丁寧に舗装されていて、どうやら俺向きじゃあない。 あいつは、俺の精神まで造り上げようとしているのか。 そのことに気が付くのに、二十一年もかかってしまった。不幸というべきか、いや最悪だな。人…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 . (スイピーノでは滞在中、各自の希望に合ったプログラムを組んでくれる。そのメニューをプリントしたもの) セレモニーは、一日置きに行われる。 アヤワスカの強さが増して行くにつれ、だんだんと幻覚のようなものを見るようになった。しかしそれは30秒ほどの短い映像だったり、わかりやすいメッセージではなくてなにかのモチー…
-
当番ノート 第38期
今回は冬の星座ふたご座から。いったいどんな双子なのだろう。 ** カストルとポルックスは神の王ゼウスとスパルタの王妃レダとの間に生まれた双子でした。カストルは荒馬を手なずけるのがとてもうまく、戦略に長けており、ポルックスは拳闘のチャンピオンでした。2人そろってオリンピア競技では数々の優勝をさらい、さまざまな冒険に参加して、勇者としてギリシャ中に名前がとどろいていました。 彼らにはイーダスとリュンケ…
-
当番ノート 第38期
全てに美しさを求める。 絵描きとして感性を磨いていかなくてはいけない。 それには絵以外の事で、常に気をはっておく必要がある。例えば、食べ残した食材でも美しく残す。例えば椅子の置き方でも美しく置く。例えば食器の重ね方でもセンス良く重ねる。それらは普通に生活している人からすると意味のない事だが芸術に触れている者なら必要なことだ。しかしそれらを必要としない世界が多くある中で、美しさを追求することは私は難…
-
当番ノート 第38期
今回は不思議な感じの旅だ。 ここにいるようで いろんな場所に気持ちが飛んでいく。 さっきブカレストの空港で 久しぶりに言葉の単語帳を開いた。 この単語帳は数年前から私が出会った人に その人の好きな言葉 今思いついた言葉を自由に書いてもらっている。 そしてその裏に名前を書いてもらう。 単語帳は1冊100ページで、2冊目になった。 言葉を読み その時のことが思い出される。 それを書いてくれた人とそ…
-
当番ノート 第38期
「大学3年になったら就活も始まるし、自分の長所を見つけないと」と、大学2年の冬、アイルランド留学中にぼんやり考えた。今まで何かに秀でてこれなかった私は、いずれ大量に書かなくてはいけないエントリーシートの「長所」欄に不安を感じていた。 海外は好きだけれど英語が堪能なわけじゃない。留学も、1年間行ってる人に比べたら1~2か月はあっという間。企業にアピールできる「長所」なんて自分のどこを探しても見つから…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 (儀式に使われるものたち) 儀式の時間が近づき、私とりこちゃんは敷地の中央あたりにあるセレモニー会場へと向かった。 ミネラルウォーターのペットボトルと、トイレットペーパー、おでこに装着できるタイプの懐中電灯を持っていく。 会場は広いドーム型の体育館みたいな建物だった。入り口の反対側に扉があり、そこから外のトイレ…
-
当番ノート 第38期
今回は秋の星座がいっぱい登場するペルセウス座とアンドロメダ座をめぐるお話から ** 昔、エチオピアの国をケフェウス王とカシオペア王妃が統治していました。二人にはアンドロメダ姫という一人娘がいて、絶世の美女でした。王妃のカシオペアは娘をとても自慢に思い、毎日侍女や友人たちに娘の自慢話をしていました。 ある日いつものように娘の自慢話をしていたカシオペアは「海のニンフたち(精霊たち)は美しいことを自慢し…
-
当番ノート 第38期
空いている時間に絵を描く事を繰り返していくと、少しずつではあるが絵が上達して来ている事に気づく。 筆の使い方に慣れてきた事と、絵の具の使い方に慣れてきた事。そして筆に吸わす水の量などが体感で感じ取る事が出来たからだ。 身体で覚えてしまえば何年経っても忘れる事がない。誰にも真似をする事が出来ない所にまで行けば、それはお金に変えられる価値になる。 素人が絵を描く時との決定的な違いの1つは、五感で描いて…
-
当番ノート 第38期
私は2013年にルーマニアにやってきました。 何も知らなかったこの国にやってきたのは偶然でした。 履歴書を送り、受け入れられたからここで踊ることを決めました。 Teatrul National Opera si Balet Oleg Danovskiというバレエ団です。 カンパニーでは古典バレエ、創作バレエを上演しています。 黒海沿いのとても小さな町ですが、毎週末にバレエかオペラかオーケストラの公…
-
当番ノート 第38期
私よりできる人、優れている人はたくさんいる。仕事も、好きな歌手について語ることも、良縁に恵まれることも。数えきれないほどすごい人はたくさんいて、自分ができることなんて、その人たちのほんの1部分にも満たない。 「ミホは苦手なことが多すぎるよ」と言われたこともあった。はっきり「NO」を伝えること、飛ぶ生き物が近くをよぎること、魚の丸焼きを頭から食べること。克服したいことは絶えずあるし、いつになったら自…
-
当番ノート 第38期
狭い路地はコの字形をしていて、めっぼう汚くて、だけど人々の熱気に最高潮だ。清掃車がブラシをブン回しながら通り過ぎてゆく。酔いと旨みに満たされた人々に、ルールを守れなんて、まぁ、もとより無理なわけで、空瓶やボトル、食いかすなんかそこら中に散らばってる。だが、それこそ、それこそが。 ここは美食の街、ログローニョ。路地を埋め尽くすはキノコ、フライ、チキン、ケーキ、ワイン、ワイン、赤ワイン白ワイン、ティン…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 . (クスコの夜景) (マチュピチュのリャマ) ・ペルー ついにペルーへやってきた。 アマゾンへ行く前に、標高3400mにあるクスコとマチュピチュ遺跡、首都のリマに寄ったけれど、それぞれ気候も街の雰囲気も違って面白かった。 かつてインカ帝国の首都だったクスコは、インカの石組みとスペイン風の建物が混ざった美しい街…
-
当番ノート 第38期
今回はギリシャで一番の英雄、夏の星座のヘラクレス座から。 ** ヘラクレスは神々の王ゼウスとアルゴスの王女アルクメネーの間に生まれました。ゼウスの正妻であるヘラは嫉妬し、生まれて間もないヘラクレスのゆりかごにヘビを忍び込ませました。しかし、彼はそれを簡単に両手で絞め殺し、ヘラのたくらみは失敗に終わりました。 やがて成人したヘラクレスはテーベの王女と結婚し、幸せな日々を送っていました。しかし、彼には…
-
当番ノート 第38期
ストリートに立つと不安でしかなかった。 依頼を受けても自信がないからだ。本音では皆んな素通りをしてほしいと願ってその場に座って絵の練習をしていた。 それでも依頼は来た。今でも、覚えている。初めの依頼は3人家族だった。まだ幼い赤ちゃんとその両親。依頼を受けたからには自信のあるように立ち振る舞わなくてはいけないと思い笑顔で、そして余裕のある雰囲気で描き始めた。 急に手が震え始めた。 人が見ててもわかる…
-
当番ノート 第38期
ジゼルについて 私の所属しているカンパニーでは今シーズンにジゼルを2回上演しました。 ジゼルは私が初めてプロの団体に加わった時に参加した作品です。 その頃日本で私が所属していたバレエ団ではジゼルをよく上演していました。 ジゼルの二幕はコールドバレエにとってとても難しい場面です。 結婚を前に死んでしまった娘たちが妖精となって森に入ってきた男を死ぬまで踊らせて殺すという踊りです。 顔や体の角度、手の位…
-
当番ノート 第38期
子どもの頃から兄と私は“1人1つ”だった。好きなお菓子も1個ずつ買ってもらっていたし、部屋もそれぞれ、テレビも複数台あったので、見たい番組でケンカすることは無かった。 その代わり、「兄だけが持っているもの」を使おうとすると、嫌がられることが多かった。テトリス、たまごっち、灰色の初代ゲームボーイ。目を盗んでこっそり遊んでいるうちに、兄が飽きて遊ぶ権利が回ってきたり、母がもう1つ買ってくれたりして、最…
-
当番ノート 第38期
なんか、バカみたい。 偉大な、とてつもなく広くて穏やかな、大西洋。そこにそびえる、フィニステーラ岬。 Finnistera… Fin、つまり終わりってこと。誰かに聞いたけど、The end of the world(世界の果て)、なんて言われているらしい。 旅を終えた巡礼たちがたむろして、岩にへばりつく牡蠣みたく待ってんのさ。全く、滑稽じゃないか。 何を待ってるかって? そろそろ時間だ。 空は黄金…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 (ペルーのクスコという都市の、サンペドロ市場にあるシャーマンショップ。手前の大きなサボテンがサンペドロ) ・サンペドロ ペルー出発の1ヶ月ほど前のある日、ちいさなお茶会が開かれた。用意された『茶室』は、六畳ほどのちいさな部屋だ。先生は和紙に漢文で聖書の一節を書いたものを壁に貼った。「わたしはあなたに、天国の鍵を…
-
当番ノート 第38期
今回は13星座で登場するへびつかい座のお話と、その前段としてからす座を少々。 ** 神アポロンはテッサリアという国の王女コロニスを妻にしていました。アポロンは太陽の神であり、かつ音楽の神、予言の神、医学の神であったためとても忙しく、愛する妻といつも一緒に過ごすことができずにいました。そこでアポロンは銀色の羽を持ち、人間の言葉を話せるカラスに、毎日妻の様子を伝える役目を与えていました。 ある日、道草…
-
当番ノート 第38期
私の絵が初めて価値を生み出した時の話。 絵の修行で、成長する方法の1つとして私は(似顔絵)を描く事を指示されていた。 先生の考えた(ecoart)でダンボールにその人の雰囲気を描く絵だ。 先生の元で修行をして間もなくして、このecoartの練習を始めた。これはとても難しかった。今まで絵を誰にも習ったことのない者からしたら、未知の世界で何をどう描けば良いのか分からず、ただ真似をして吸収するしかなかっ…
-
当番ノート 第38期
私は2011年より2年間ポルトガルのマデイラ島でバレエ教師をしていました。 マデイラ島は一年中温暖で暖かく、色々な花が咲き乱れる、美しい島。花の島とも呼ばれ、一年に一度の花祭りでのパレード、道に飾られる花がとても美しいです。 とても呑気な雰囲気の島でどこからも海がみえます。仕事の終わりには海で果物ジュースを飲んだり、海を見ながらビールを飲んだり。。。ゆっくりとした時間の流れでした。 昼寝をしている…
-
当番ノート 第38期
数年前の朝、コピー機の前で会った先輩の前髪が、ふにゃん、と前に倒れていた。いつもはワックスで髪を固め、おでこが見えてキリリとしている先輩。朝だからなのか、それとも疲れているからなのか、髪の毛と一緒になって目もとろん、としている。 「今日は髪型違いますね」と声をかけると、「セットできなかったからね~」と、口元だけ笑って答えてくれた。 その先輩から仕事を引き継いで数カ月後、私はマスカラも、ファンデーシ…
-
当番ノート 第38期
なぁ、どうして、こんな異国の地で、夜中の三時に森の中を歩いているんだ。僕に明確な答えがあるかと言えば、そんなものは無かった。しかし歩き続けるのが僕の精神ならば、それに、ただ柔順に従おうではないか。答えを手にするのは、すべてを終えた後なのだろうから。 二日前、ある不思議な宿に僕は泊まっていた。そこの主人というのは、鉱石をすり潰してできた粉末で絵を描くのだという大それた芸術家であり、いくら飯を食お…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 刺繍をするようになって思うのは、どんな大作も、ちいさな1ステッチの集合だということだ。布の裏から針を刺す、表からまた針を刺す。その繰り返し。 ステッチの種類はいろいろあるけれど、複雑に見える図案も、ひとつひとつ分解していくと単純作業の繰り返しによって成立している。 この世界はなんだってそうだ、だから根気さえあれ…
-
当番ノート 第38期
今回は12星座のひとつで、穂を抱えた農業の神、おとめ座のお話から ** 農業の女神デーメーテールと神々の王ゼウスの間には、ペルセフォネーという一人娘がいました。ある日彼女が仲の良い友達と野原で花を摘んでいると、少し離れたところにとても美しい花が1本咲いているのが見えました。誰もその花に気付いていないようで、ペルセフォネーが近づくととてもいい香りがしました。その花を摘もうとした瞬間、大地がぱっくりと…
-
当番ノート 第38期
絵描きとして学びたいと思い、翌月には仕事を辞めた。住んでいるマンションも解約する手続きもした。無職になった。でも気持ちに不安等少しもなかった。 これからのワクワクする事を想像して軽トラを借りて必要な荷物だけ積み、その人のところへ向かった。それからは、その人の事を(先生)と呼んだ。先生は私の荷物を置けるスペースを3階に作ってくれていた。それから私の厳しい修行時代が始まる。 簡単にまとめると師と弟子関…
-
当番ノート 第38期
劇場はそのものに命があるようで、それぞれ性格があるように感じる。 今まで踊った中で印象的だった劇場 Le Palais de Beaulieu ローザンヌボーリュ劇場。 例えるなら60代の美しいマダム 若手ダンサーの登竜門と呼ばれるローザンヌコンクール行われる劇場。 みんなが10代の頃に通った場所に30代になってから私はやってきました。 安心して踊れる場所だった。とても暖かい雰囲気の劇場。包み込ん…
-
当番ノート 第38期
結構まじめに生きてきたほうだ。規則はあったら守るし、一般的によしとされていることを良いと思って生きてきた。なるべくなら周りの人に嫌な思いをさせないように、でもしっかりと、芯はブラさずにしていきたい。 そんなふうに過ごしてきた私は、社会人2年目の夏休みにカンボジアのトレンサップ村というところに滞在した。今まで海外の人にたくさんお世話になったんだもの、何か恩返しがしたいなぁと思って、小学校の英語と日本…
-
当番ノート 第38期
小麦畑に囲まる偉大な広野。それこそが、スペイン巡礼。またの名をカミーノ・デ・コンポステーラ。熱射の昼下がり。かくも陽気な日差しを浴びて、風は体を透き抜けて、あぁ、どこまでも、吹いてゆく。ピュアな青空に、丸い雲が浮かんで。おや、涼しくなったな、と思えば、見上げてみる。そこに日除け代わりの雲が。雲に感謝するなんて、生まれて初めてじゃあないだろうか。 世界はこんなにも自由だったのか、思わずにはい…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 ・アヤワスカ あのライブの夜が明け、私はペルーの儀式について調べてみることにした。 アヤワスカというのは、やはりアマゾンの原住民たちの間で行われる儀式の時に用いられる薬草と、それを使って作られた飲み物を指す言葉だった。 (上:生えている状態の若木のアヤワスカ 下:成長したアヤワスカの木が切られたもの) アヤワス…
-
当番ノート 第38期
第2回は春の星座の代表格、北斗七星と北極星でも有名な母子熊の星座から。 ** 狩りの女神アルテミスには、森のニンフ(精霊)でカリストという侍女がいました。アルテミスは処女神でもあるため、侍女のカリストも男性には見向きもせずにいました。しかし、そのカリストはとても美しかったため、神々の王であるゼウスが恋をしました。ゼウスはなんとかしてカリストを手に入れようと、アルテミスに姿を変えて彼女に近づきました…
-
当番ノート 第38期
1年間 師を持ち絵の修行をした。 その人は、現代美術家の肩書きを持っている人。 私は、今まで誰からも絵を教わった事がないため、好奇心を持ちながら、その人に弟子入りをした。 仕事を辞めて、無職になったのだ。 勿論、弟子入りするまでに色んな事を悩んだ。 当時の私は、子供を対象とする仕事を慣れない環境の中で働いていた。子供は好きだったが上司とうまくいかずストレスを抱える一方だった。絵は好きだったが、絵で…
-
当番ノート 第38期
私は、チェコのCeske Budejoviceで出会ったスロバキア人の写真家、Veronika Brunova氏と写真を創作しています。 ルーマニアの黒海、チェコの飛行機の滑走路、チェコのピルセン、ベニス、様々な場所で写真を創作してきました。 写真は踊りと違い、瞬間を切り取り残すものです。そして後で自分で見ることができる。 veronikaの目線ではこんな風に見えているのかといつも私は驚かされます…
-
当番ノート 第38期
嫉妬してしまうくらい尊敬しているあの子は、気配りの権化のような女の子だ。飲み会のとき、飲み物が少なくなっている人にはすかさずメニューを渡すか、「ビールで良いですか?」と、その人の頼みそうな飲み物を先回って聞く。あまり食べていない子には、食べ物を取り分けて近くに行き、「気使わずにたくさん食べよ!」と一緒に食べてくれる。常に周りの人が楽しくいられるように考えて動いていて、飲み会の幹事やみんなのとりまと…
-
当番ノート 第38期
マレの表通りを歩いていると、向こうからブロンドの女が歩いてくる。もはや黄金の時代は過ぎたといった風で、紺のスーツで身を包み、軸の短いハイヒールの音を高鳴らせ、急ぎ足でこちらに向かってくる。ふと、一枚のポスターの前で足を止める。仁王立ちで選挙用のポスターの前に立ち、じろりと一瞥をくれると、右手でもってポスターを破り取り、丸めてぐしゃぐしゃにして地面に叩きつけた。さすがのパリジャンたちもこの異様な光景…
-
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 ・算数の問題 子供のころ、たしか小学校の低学年のころだと思うけれど、知り合いの大人からこんな問題を出された。(もしよかったら、あなたも考えてみてください。) Q. 等間隔に並んだ9つの点を、一筆書きの4本の線で、全て通るにはどうすれば良いか。 私はいろいろと試してみた。どうしても、4本の一筆書きで全ての点を通る…
-
当番ノート 第38期
はじめまして、金曜日の当番ノートを担当します、さいとうです。 今回の連載では星座とそれにまつわるギリシャ神話のお話をベースに、さまざまな人間模様について少し立ち止まって考えてみようと思っています。 なぜいまさらギリシャ神話か。それは自身の幼少時代の記憶にさかのぼります。 関東とは思えないほど田園風景の広がる地域の生まれなのですが、少ない地元自慢のひとつは満点の星空が見えることでした。天体観測が趣味…
-
当番ノート 第38期
私の小さい時の夢からの話。 私はいつも絵に囲まれていた。 小学1年生の時、当時大阪の小学校に通っており、その学校も50年という古い歴史をもった学校で生徒が近寄ってはいけないようなところには、お化けが出そうな薄暗い場所に配電盤が置いてあったりした。(幽霊教室)(幽霊階段)などと生徒の間では広まっていた。 私ももう昔の記憶のため、確かな事は伝えられないが本当にあえてお化けが出る雰囲気を作っているかのよ…
-
当番ノート 第38期
はじめまして。 これからこのアパートメントの滞在でどのような出会いがあり、 自分自身が何を見つけるのか、とても楽しみです。 私は今ルーマニアの黒海沿岸の小さな町にあるバレエ団で踊っています。 今年の3月の初めに1年に1度のガラ公演があり、自分の作品を上演することができました。 どこにいてどこに行くのか それをテーマにコロンビア人の同僚と作品を創作しました。 2人で創る 2人の関係性 自分がそこにど…
-
当番ノート 第38期
時々私は、自分のまわりにある世界がすべてのような気がして、どこにも居場所がないと思ってしまうことがある。失敗をしたり、コミュニティにうまくなじめなかったり、人に迷惑をかけてしまったり。そんな時「もう誰ともいい関係は築けない」と、自分の箱の中に逃げ込みたくなってしまう。 以前、とある年上の女性から、「自分のやりたいことを貫きすぎると、周りとひずみが起きるわよ。やりたいことがあっても、周囲の人が望んで…
-
当番ノート 第38期
少し、話を聞いてほしい。 これは若者の戯言だ。興味がなければ、左向きの矢印を押して出て行ってもらっても構わない。だがもし、君が答えを求めているのなら、どうか僕の言葉を聞いていってくれ。 問題は、なぜ物を書くのか、というところにある。確信しているのは、これこそが僕のやるべき使命である、ということだ。書くことによってのみ、僕は生き永らえ、幸せを嚙みしめ、そして世界の役に立つことができる。それ…